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山と谷がある話  作者:
02.海へ行こう
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 侵入者さん達はアルが察知したのであり、オレの知覚には全くピンと来ていないのてま、何処へ行けばいいのか分からない。それを察したのか、アルの姿が滲み出てくる。その姿はぼんやりと認識出来るのだが、気配とかが希薄だ。何だコレ。


『隠密モードのレベルを下げました。今は統制管様(お父様)だけが私の姿を認識出来ます』


 見せる者を選んで認識阻害掛けられるのか。何を想定してるのか知らないが、PKとかが捗りそうだな。


 アルに手を引かれながら、例の奴等が居る場所へと案内される。

 因みにオレの姿はアルには“見えている”そうで、高レベルの察知スキルを持っていると看破されるらしい。

 オレは兎も角、アルの姿を見られる訳にはいかない。

 例の奴等を一望出来る場所まで、アルに連れて行ってもらった。

 ここは、奴等が居る場所より高く、階下からは見えにくい、覗き見するには良い所だ。ここでなら、下手な動きをしない限りはバレる事はないだろう。

 こっそりと下を覗き込む。あちらに高レベルの察知スキルを持っている奴が居ないとも限らない。余り堂々とやるとバレた時に面倒臭いからな。


「うわ………。思ったより多いな」


『目算ですが、46体居るようです。どうしましょうか、お父様? とりあえず侵入者は排除致しますか?』


 アレ等が侵入者なら、オレも侵入者なんだが。

 まぁ、とりあえずは盗み聞きと覗きによる情報収集だ。それに、ここはパブリック(公式)ダンジョンだ。(イチ)プレイヤーであるオレが他のプレイヤーの侵入を阻害する権利は無い。

 しかし、46体か。やはり、緑スライム氏とウサギ氏の仲間………クランメンバー総出で来たって所か。

 よくよく見れば見たような覚えがあるような緑のスライムとウサギが見える。と言っても、身体的な特徴を覚えている訳じゃないから別人かもしれない。

 眼下では、様々な種族のプレイヤーと思われる者達が何やら相談している様子だ。果たして、何を話しているのだろうか。あまり物騒な話題ではないといいが。


 *******


 壁を背にして、他より一際大きく厳つい面構えの魚人が地べたに座っている。その魚人の前にプレイヤー達が行儀良く整列している。何だか矢鱈と統制が取れている様子だな。


「マスター! やはり、下へと降りる道は存在しないようです」


 魚人の前に木が進み出て何やら報告している。アレは、どう見ても樹木が動いている感じなんだが、何ていう種族なんだろうか。気になる。木だけに。


『恐らく、樹精霊(ドライアド)樹木霊(エント)かと思われます』


 横からアルの注釈が入る。いやぁ、アルさんは物知りですね。とりあえず、頭を撫でておいた。


「うーん、下へ降りる道は無いですかぁ。何かしら昇降設備等は見当たりませんでしたか?」


 厳つい顔の魚人が、木へと言葉を返す。あの顔と重低音の声質で丁寧口調だと何だか違和感が凄いな。

 下へと降りる道か。オレが降りたエレベーターシャフトしか無い筈だが、まだ見付けてないのかねぇ。しかし、奴等が探索している時に出会さなくて良かったな。アルが察して回避していたのか運が良かったのかは分からないが。


「エレベーターは幾つか在りましたが、劣化が激しくて多くの物は使用不可でした。しかし、一機だけですが動かせる物があったようです」


 ………何だって?



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