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山と谷がある話  作者:
02.海へ行こう
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『ご無事ですか、お父様?』


 オレは死んだ。と思ったんだが、無事だったらしい。壁際に押しやられていたから、爆風でふっ飛ばされたのは確かなようだ。

 何故無事だったのかと言うと、オレの隣には半壊した多脚戦車が転がっている。コイツがオレを爆風から庇った事によって、オレ自身の損害は軽微で済んだようだ。

 しかし、(ナマ)っぽい蜘蛛怪人氏は自爆によってバラバラになったのか、周囲に散り散りになった肉片や腕や脚が転がっていた。蜘蛛怪人氏には自爆機能も備わっていたのか。道中の群れが自爆を使わなくて本当に良かった。

 しかし、何でコイツは自爆なんかしたんだ? カーサ博士がオレ達を殺そうとした? いや、ここまで来たオレ達を襲う意味はないし、考えられるとしたらこの蜘蛛怪人氏にはカーサ博士が施した認識機能が意味を為さなかった事だろう。コイツだけ妙に生っぽいし、そういう事もあるのかもしれない。


『これは明確な敵対行為です。今からでも遅くありません。奴を殺しに行きませんか?』


 アルがこの期に及んで何か言ってるので、無言で頭を軽くはたく。


「あとは、このエレベーターシャフトを登っていけば、オレが入ってきた場所に着く。」


 まぁ、ここから結構登らなければならないんだが。それを考えると多脚戦車を失った事は少々痛いが、梯子を登っていけば辿り着くから行きと比べれば楽だろう。アルに連れて行ってもらうという手もあるしな。

 アルに梯子を登っていくと言ったら、オレを運ぶといって憚らないので、任せる事にした。


 というわけで、宙に浮いたアルにお姫様抱っこのような形で支えられながらエレベーターシャフト内を登って行った。

 行きでどれだけ時間が掛かったかは正直覚えていないが、それに比べても大分早い時間で着いたような気がする。

 さて、とりあえずは一階に着いた訳だが、ここからどうやって戻ろうか。

 ここまで色々あり過ぎて忘れそうだが、この軍事施設は海底よりも下の地層に敷設されている。

 そして、オレがここまで来たのは海底にあったハッチから周囲の物と一緒に引き釣りこまれた形だ。

 まあ、オレには無理でも、大抵の難所はアルに引っ張ってもらえば楽勝かなぁ。


『外部との境には、粘度の高い水が設置されておりまして、それで外部との海水や深海生物の侵入を遮っています。通常の生物では、その層を越える事自体が殆ど不可能ですが、私の性能なら容易く可能です』


 アルが若干ドヤ顔な雰囲気で言う。

 それはつまり、オレみたいなクソ雑魚ではここから出る事すら叶わないという事か。

 まぁ、とりあえず例の水エリアまで登るか。下りる時は梯子も階段も無かったから大変だったが、今はアルが居るから大分楽だ。アル様々だな。


『………お父様、この階層に何者かが複数居るようです』


 誰か居る? 蜘蛛怪人がこの階層まで出張って来たのか?


『いえ、骸獣モドキではありません。………これは、お父様と同じく、外部から来た者のようですね』


 外から?

 ふと思い出すのは、一緒に飲み込まれたと思わしき緑のスライムと小柄なウサギの言い争い。あの時は早々に二体とも退場していったが、アレ等が戻ってきたのだろうか。

 それとも、もしかして、あれの他のメンバーがここまで来たのだろうか。あれからどれだけの時間が経ったのか分からないが、一番可能性として有りそうなのはアレ等のクランメンバーだろう。

 何をしに来たのかは分からないが、鉢合わせするのは拙い気がする。でも、どんな奴等が来たのか気になる。

 何者かが居る場所をアルに特定してもらいその付近まで近付いて行く。

 ここからは、オレの存在がバレないように、透明化と気配隠蔽を使いこっそり近付いてみる。因みにアルは隠密モードとかいう奴を使って姿を眩ませた。オレには何処に居るのかまるで分からない。


 さてさて、どんな奴等がどんな話をしているのかな?



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― 新着の感想 ―
[一言] 死んでなかった、だと?! あと最初に会った奴ら忘れてたなあ
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