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アルは骸骨兵な見た目ではあるものの、オレとは違うスケルトンだ。
オレはヒトベースのスケルトンであるのに対して、アルの見た目は竜種ベースのスケルトンだ。元々の竜種の身体から骨だけ抜き出したらこんな姿になるのかなって感じだ。その骨は、今のオレと同じく少し透明なようだ。材質は一体何なんだろうか。
『お父様とお揃いです!』
「あっ、うん」
スケルトン、そんなに良いモノではないぞ。デメリットが凄いし。
そういえば、スケルトンな見た目になったのだが、これは見た目だけなのだろうか。それとも、身体自体もスケルトンになってるのか?
「アルのそれは、見た目だけだよな?」
『はい。規格調整は可能ですが、流石に私も種族変更は出来ません。ですので、これはお父様の見た目のテクスチャをコピー&アレンジして、私の体表面に貼り付けているだけです』
なるほど。どうやらアレは見た目だけで、種族的にスケルトンにはなっている訳ではないらしい。
背丈的には、少し小さいが特に問題ないだろう。手が届く位の大きさの方がいざとなったら止めやすいしな。
『お父様も私と同じで、星冥竜のお骨で構成されているのを感じられて、とても嬉しいです』
「ところで、さっきから言ってる星冥竜って誰なんだ?」
『私の元となった星冥獣の事です。この惑星に来訪した星冥獣は何体か存在し、星冥獣同士で争っていたと記録されています。私達の大元の星冥竜はその内の一体であり、この基地に所属していた方々のご先祖様と協力関係にあったそうです』
星冥獣って骸獣の元になった奴だろ? そんな奴が何体も居て、お互いで争っていた? それで、友好的な星冥竜とやらがアルの製造元か。………この話しは後にしよう。長くなる予感しかしない。それよりも、アルには確認しておく事がある。
「あー、ところで、オレはプレイヤー………いや、旅人なんだが。分かるか?“旅人”って?」
『はい。私達と同じくこの世界とは異なる世界から渡ってきた“旅人”様ですね。“旅人”は、余り現世には長く留まっていられないと学習しましたが』
「それなんだが、オレがログアウト………この世界から離れている間、アルはどうなるんだ?」
『私は兵器です。お父様の道具ですので、お父様がこの世界から離れた段階で、私はお父様の空間保管庫へ収納されます。そして、お父様がこの世界へお帰りになられた際、私は空間保管庫から強制的に排出されます』
なるほどね。アルとは意思疎通も会話も出来るけど、結局の所はアイテム扱いなんだよなぁ………。
そういえばオレもアイテム化した事あったけど、もし、ヘンシェル氏がアイテムボックスを持っていたら、オレもアイテムボックス行きになったりしたのかな? それはそれで面白そうだと思ってしまう。
ログアウト中は、アイテムボックスに入る事は分かったが、死に戻りとかはどういう扱いになるんだろうか。死んだ場所にアルだけ置いてきぼりになる可能性も無くはない。
もっと言うなら、オレが死んだ場合、他のプレイヤーに略奪される可能性もある。そこで、アルを取られたら最悪だ。まぁ、アルと同行している以上、戦力過多なのは間違いないし、うっかりな事故にだけ気を付ければ早々死ぬ事はないだろう。
「うん。まぁ、とりあえずはいいか。じゃあ、これから宜しくな、アル」
オレは握手をしようとアルに右手を差し出す。それを見てとったアルはオレの右手を両手で包み込み、オレの右手がすっぽ抜けた。
『あっ。………えぇと、はい!これから宜しくお願い致しますね、お父様!』
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人造生物兵器、TYPE_R_05を入手しました。
TYPE_R_05の所有者がプレイヤー名“トワ”に固定されました。
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名称:TYPE_R_05
耐久:■■■■■■■■■■
希少:■■■■■■■■■■
技能:■■■■■■■■■■
概要:対骸獣殲滅用決戦兵器R型と呼ばれる人造生物兵器。統制管と呼ばれる者の命令を忠実に守る冷静かつ冷酷な殺戮兵器。………なのだが、この個体は未だ成長途中のようだ。所有者の育成によって善にも悪にも染まる無垢なる竜種。
所有:トワ
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アル を 手に入れたぞ。