表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山と谷がある話  作者:
02.海へ行こう
58/460

58

 


 邪魔者が居ない内にさっさと調べてしまおう。オレは誰も居なくなったカプセルの台座まで歩いて行った。

 手が届くまで近付いて改めて思ったが、滅茶苦茶デカいな。一体何が入っているのやら。

 巨大なカプセルは仄かな鏡面仕上げになっていて内部を窺い知る事は出来ない。辛うじてシルエットらしき物が見えるのだが、中に居る奴もデカ過ぎて何だかよく分からない。それに、先程まで蜘蛛怪人氏達の猛攻を受けていたにも関わらず傷一つ無い事を考えるに、かなり強固な造りであり、中に居る奴の重要性が垣間見える。

 直立するカプセルの周りをグルリと回ってみたものの、制御装置らしき物は見当たらない。ここに無いという事は、コレを観察出来るような別の場所にあるのだろう。それっぽい所は………あった。今居る場所より少し高い位置に、周囲からやや突き出た見晴らし台のような場所がある。ちょっと行ってみよう。


 昇降設備が無いとホント不便だな。下に降りるより上に昇る方が大変だったぞ。

 何とか目当ての場所に辿り着き、辺りを探ってみる。ここにはゴテゴテと機械が配置されており、何脚かの元椅子らしき物体も転がっていた。どうやら、ここであのカプセルを制御していたようだ。

 まぁ、知っていた事ではあるが、これらの装置は既に壊れているらしく、ボタンを幾つか押したりしてみても何も起こらない。

 ここからならば、あのカプセルの様子がよく見える。やはり全体的な姿しか分からないが、若干動いているように見える。

 内部に居る奴が生きているのか、何らかの形で動かされているのかは分からないがカプセル側の装置は生きているようだ。………制御側は死んでるのにな。


 うーん、しかし困ったな。ここまで来たんだ。少なくとも中に何が入っているのかを見たい。しかし、どうしようもない。普通の装置ならば、操作出来ないなら壊してしまえって発想が出てくるが、アレは蜘蛛怪人氏達の猛攻に掠り傷一つ付かないような未知の物質で作られている。

 そんな物を相手に、戦闘能力(スキル)が皆無なオレにはどうしようもない。諦めて先に進むか。そうそう、ドローンにポイ捨てされた蜘蛛怪人氏達がどうなったのかも確認したいな。大分グロい事になってるだろうが、銃器類を補修でどうにかブン捕る事が出来るかもしれない。重要施設っぽいアレを諦めるのは名残惜しいが、まぁ、どうにもならないし、先行こ。


 最後にチラリと機器の方を見て、身体を交換した部屋で意味深なカードを拾った事を思い出した。

 カードリーダーらしき物もある。試せる手は打っておこう。諦めるのはその後でもいい筈だ。オレは『R1』と書かれたカードを取り出し、機器に通した。

 少し待ってみたが、特に何かが起こったような感覚は無い。まぁ、他の機械が死んでるのに、これだけ生きていたらご都合主義が過ぎるよねって。



『─────────』



 うん? 何か聞こえる?

 虫の鳴くような小さな音が聞こえた気がした。これはまさか、またさっきのドローンが戻ってきたのか?

 オレは透明化を発動し、来るであろうドローンを警戒する。



『──────────?』



 また聞こえたけど、何故か明確に語尾が上がったな。疑問文という事は、誰かの話し声なのか? しかし、ここにはオレ以外誰も居ない。………居るとすれば、あの中しか無い。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ