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山と谷がある話  作者:
02.海へ行こう
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 改めて暫く地下十七階の通路を歩き回り、マッピングを粗方終えた。道中、入れる部屋も幾つか見付けたが、全て無視して通路だけ埋めてきた。

 行く事が出来る所は全て埋めたつもりだが、改めてマップを見ると酷い。時間を掛けてある程度埋めたという感覚はあるが、地下十七階全体で見ると極々一部である事が分かる。

 上でも思ったけど、どれだけ広いんだよこのダンジョン。縦にも横にも広すぎてキリがない。

 とりあえず、見て分かる所に昇降階段は無かった。流石に上下移動がエレベーターだけの筈はないので、昇降施設はある筈だ。もしかしたら、スルーした部屋の内部にあるのかもしれない。

 マップに部屋のマークは付けてきた。どれが正解か分からないため、一つずつ回る必要があるが探してみよう。



 *******



 何個目かの部屋で怪しい所を見付けた。部屋の入口から死角になる位置に、不審な蜘蛛怪人氏が待機しているのを発見。

 何がどう不審かと言うと、壁に向かって立っている。

 思い出されるのは、シャフト内から壁の切れ目を覗いた時に壁を破壊してきた事。あの蜘蛛怪人氏の見つめる先に隠し通路でも在るのか?

 あの時と同じように壁を壊してくれないかな。しかし、向う側へ行くためには向う側に居る事を察知されないとならないのは本末転倒では。いや、他に手立てはある筈だ。

 とりあえずは透明化して、壁と蜘蛛怪人氏の様子を探っておこう。


 透明化を使い、蜘蛛怪人氏に近付く。今回も気配隠蔽は使っていない。さっきの個体とは違い気配察知が出来る奴なら多分瞬殺されるだろうが、コイツはどうなんだろうか。

 そのまま蜘蛛怪人氏の真横に到達。相手はこちらに気付いた様子は無い。コイツも空気読みが得意ではない奴とみた。今はそれで助かっているので良しとする。


 壁の様子は見てもよく分からなかったので、蜘蛛怪人氏の観察をする。

 ザンバラな髪に一つ目なのは先程の個体と同じだが、コイツの腕を見てギョッとした。四本の腕は肘の辺りから機械に置き換わっており、その先端には銃口のような物が備わっていた。さっきの奴は無手だったのに、コイツは武器腕とか殺意マシマシだな。この先はそれほど重要なのだろうか。壁に穴を空けるためだけのギミックにしては武装が過ぎるような。

 もしかしたらだが、オレは蜘蛛怪人氏を透明化でスルーしたが、本来は戦って倒して先へ進むようなのを想定していたのかもしれない。

 まぁ、オレには関係ないけど。


 どうしようかな。蜘蛛怪人氏にオレが居る事を認識させなければならないが、この殺意の波動に目覚めているような奴に下手に察知されたら、その場で蜂の巣になってしまう。

 ここは、対ゾンビでも使った戦法を使うしかないな。

 オレは、劣化して崩れ落ちたと思われる元扉の欠片を拾い上げ、思い切り蜘蛛怪人氏に投げつける。

 投げ付けた欠片は蜘蛛怪人氏には当たらず、向かっていた壁に当たり音を立てる。思った通りとは行かなかったが、うまく行きそうな気がする。



『異常を感知。脅威対象検出………不可。異常を取り除くため広域殲滅を申請………承認。消却(ファイア)。』


 ジャキンッと音をさせ、武器腕を前後斜めの四方に構える。銃口から光が漏れ出し、オレは慌てて身を伏せる。武器腕から迸るのは青い炎。炎を噴射させたまま蜘蛛怪人氏はその場で一回転し、周囲を火の海に変える。

 オレは万一の事を考えて、部屋外待機していたので助かったが、これは中に居たら絶対に死んでたな。劣化した壁は火炎放射には耐えられなかったのか、赤熱しながら溶け落ち、向う側に道が通じている事が確認出来た。

 蜘蛛怪人氏は部屋内を火の海に変えた後、隠し通路内に向かって火炎を放ち、炎を噴射させたまま通路に侵入していった。

 ………色々良くないが、隠し通路を発見出来たから良かったという事にしておこう。

 問題は隠し通路内に入っていった蜘蛛怪人氏をどうするかなんだが。いや、中に入っていくとは思わないじゃん? シャフト前待機していた奴は、シャフト内には入ってこなかったし、ここに居た奴も壁前待機するものかと思っていたのに、まさか破壊した壁の向う側へ進むとは思わなかった。


 オレは部屋内の温度が下がるのを待ち、隠し通路へと進むのだった。



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