表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山と谷がある話  作者:
02.海へ行こう
51/460

51

 

 スタミナが充分に回復した事を確認し透明化を発動、壁穴から外へ出る。シャフト内から出た事により、外は通路になっている訳ではない事に気が付いた。ここはちょっとした小部屋のようだな。

 蜘蛛怪人氏の真ん前に居るが、気付いた様子は無い。何らかのアクションが起こらない限り待機状態になっている設定なのか、ぴくりとも動かない。警戒態勢とは何だったのか。

 まぁ、相手が動かないのは好都合だ。無駄に動かれると、それを避けるためにスタミナを使わなければならない。

 小部屋の中には、天井が崩れ落ちたのか身を隠せるような大きな瓦礫が各所に点在している。さながら、これはスニーキングミッションといった所か。ここには巡回している敵が居る訳でも、警報装置がある訳でもない。それに加えオレには透明化を使える。スタミナが尽きない限りはヌルゲーだな。

 そろそろと音を立てないように瓦礫へ向かい、蜘蛛怪人氏の死角に回り込む。


 回り込んだ先に、蜘蛛怪人氏が倒れていた。

 思わずシャフト前待機している筈の蜘蛛怪人氏の方を見る。………ちゃんと居るな。オレの目の前にテレポートしてきた訳ではないのなら、コイツは二体目という事か?

 二体目の蜘蛛怪人氏は瓦礫に寄り掛かり目を閉じ眠っているように見える。もしかして、コイツ死んでる? よくよく見ると、身体の各所が白骨化しており、下半身の機械部分は錆付き機能停止しているように見える。

 うーん、起き上がったりしないよな?


 オレは恐る恐る透明化を解除する。横たわる蜘蛛怪人氏は動き出す様子は見えない。これはもう死亡確定でいいのではなかろうか。いや、でも時間差で襲ってくる可能性もあるような無いような。………考えても仕方ないな。ここは消費したスタミナの回復に努めよう。コイツが生きているにしろ、死んでいるにしろ、さっさとここから出なければならない。



 *******



 再度スタミナを全回復したのを確認し、透明化を発動しつつ瓦礫の外へ出る。向かう先はこの小部屋の出入口らしき所だ。そこへ行くまでの道順は隠れている間にシミュレートしておいた。何か不足の自体が無い限りはスタミナは持つ筈だ。シャフト前待機の蜘蛛怪人氏は未だに動いていない。


 特に何事もなく、出入口前に着いた。壁に四角の枠があるだけの所だが、枠の脇に緑色に光るボタンがある。開くためには、これを押せって事だろうな。


 プシュッと空気が抜けるような音と共に、壁の一部が横にスライドした。後ろから僅かに物音がし、振り向いてみると蜘蛛怪人氏がこちらを見ている。

 オレは透明化しているから、オレが居る事はバレていない筈だ。しかし、扉が開く事によって、不審な音が鳴ってしまった。


『異常を感知。異常除去申請………承認。武装展開………焼却開始』


 その言葉を聞くや否やオレは扉の外へと駆け出す。

 オレの背後から光が迫る。寒暖無効で熱を感じないが恐らく壁を溶解させたアレだろう。とっとと逃げないと丸焼きにされる。

 扉を抜けた先は何処かへと続く通路だ。本来ならば、マッピングに気を回したい所だが、そんな事に構っていられらない。透明化は走り出した時には既に解除している。流石に透明化したまま走ったらスタミナが枯渇する。

 曲がり角を発見したので、曲がった先で泣けなしのスタミナを振り絞り死んだふりLv1を発動。

 幽体状態になったオレは角から来た道を覗き込む。そう遠く無い所に高熱に晒されたのか赤熱している壁と床が見える。そして、蒸気を上げる床面に平然と立つ蜘蛛怪人氏。あそこから、ここまで追って来たのか。

 蜘蛛怪人氏はギョロギョロと辺りを見渡した後、来た道を戻って行った。


 ………ふぅ。危機は去ったようだな。しかし、枯渇寸前までスタミナを振り絞ったのは初めてだな。スタミナ値がゼロに近付くと倦怠感等があるらしいが、オレには感じられない。アンデッドだからか?

 オレは死んだふりを解除し、そのまま通路に寝転がる。緊張の糸が切れたのだ。気絶しない程度にここで休んで探索を再開するか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ヒヤヒヤした
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ