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山と谷がある話  作者:
11.バカンス(仮)
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 しかし、“大断裂”を進めている旅人(プレイヤー)を特定ねぇ。そんな事出来るのか? 今迄見付かっていないんだろ?

 それに、恐らくだが、主要な都市等には居ない気がする。主要な都市を回っているであろう攻略組とやらが、一切把握していないクエストだからな。

 その点では、“世界獣”も同じようなモノか。アレの発生条件は骸獣との接触が必要だろう。オレの場合は紅曜樹、ヒラメ氏達の場合は深淵の骸獣といった具合だ。どちらも僻地に居るという意味では同じだ。………まぁ、生き残っている骸獣の一体は王都とやらに居るらしいが。

 莫大な利権を得るために、“大断裂”の旅人(プレイヤー)を探しているのであれば、“世界獣”の方もその内探されそうな気がする。

 こちらは、TYPE機という超弩級の兵器を得る………協力体制になるのが特徴か。世界(ゲーム)の攻略を第一目標に掲げている奴等ならば、各種の超兵器は欲しくなるかもな。まぁ、コイツ等を普段の戦い(遊び)で使いだしたらバランスブレイカーも甚だしいが。

 しかし、“世界獣”クエストを始めると最前線攻略は放り出さざるを得ないだろう。TYPE機の要請に従って骸獣討伐をしなけりゃならんからな。流石に、契約を果たさずにTYPE機の性能だけを利用する事は出来ないだろう。そもそも、骸獣討伐に積極的でない奴を統制官に選ぶとも思えないし。

 まぁ、オレは骸獣討伐とかどうでもいいんで、そこらを適当に旅しているんだが。ただ、何故か行く先々で骸獣とかに出会うんだよな………。何だろう………無意識下でそういう場所を選んでいるとでも言うのか?

 ここでまた適当に目的地を決めて、付近に骸獣が居たら、どういう顔したらいいのか分からなくなるぞ。確か、骸獣の残りは十体以下たったか。月に居たTYPE_A_01は、骸獣が何体生存しているかの具体的な数は教えてくれなかったが、そんなには居ないと考えていいだろう。

 オレがこれから向かう先は南方面………南の島でバカンスと洒落込もうとしている訳だが………居ないよな?

 しかし、残りは数体か。居場所が割れているのが二体居るし、オレがそんなに動かなくてもその内終わりそうな気がするな。………そういえば、TYPE機 (コイツ等)は骸獣を討滅し終えたらどうするのだろうか? 目的は果たしたから活動を停止する? 第二の人生?を歩むとか?

 という訳で、TYPE機を代表してTYPE_R_03と04の二体に念話(テレパシー)で聞いてみた。


『あー、そういうのはTYPE機によるんじゃないでありますかね。(それがし)は全てが終わったら、とりあえずトワ殿の星へ向かうでありますよ。向こうに置いてある身体の回収ついでにトワ殿の星を観光するであります』


 なるほど? そういえば、TYPE機(コイツ等)は、この星の(運営)の管理下の存在じゃないんだっけか。

 一応、この星の再生プロジェクト(ゲーム)規約(ルール)に則って行動しているようだが、あくまでもそれは契約だからっぽいんだよな。何だったら、骸獣を殺すための機会を作ってくれた(運営)に感謝している的な事を言っていた気がする。

 (運営)の管理下じゃないから、割と自由だし、骸獣殲滅という目的を果たしたら何処へでも行けるという事か。

 しかし、観光するにしても、オレの星は止めておけ。見るべき所なんて何も無いから。


『当機は、寝ます』


 寝る? 超兵器にも睡眠の概念が有ったのか?


『当機は製造当初から働き詰めです。そこの03や多くのTYPE機が機能停止している間でも当機は稼働し続けていました。これは、主上命題である骸獣殲滅という一大プロジェクトが完了したならば、当機は長い休みに入らせて頂きます。具体的に言うならば、この都市の管理は他の誰かに任せてTYPE_R_03に付いていきます。当機もトワ様の故郷でバカンスです』


 TYPE_R_04等の情報生命体型のTYPE機は、基本的に稼働を続けている状態らしい。それこそ、第一人類種という統制官が絶滅し、(運営)が星の再生に乗り出すまでの間、途切れなくだ。

 まぁ、それなら全てが終わった後は、ゆっくり休みたいという気分になるのも頷ける話だ。ところで、任務完了したら機能停止したいとかは無いのか?


『流石に積極的に停止したい(死にたい)と考えるモノは居ないのでは? 恐らくですが、第一人類種(創造主)が我々TYPE機を生物型として設計創造したのは、星冥獣という強大な害獣を前にしても“死にたくない”という本能を期待しての事だと考察しております。故に、当機を始めほぼ全てのTYPE機は永遠に休みたいと考えるような個体は居ないかと』


 まぁ、そんなモンか。生物の本能として生命維持が働く事を期待しての措置ね。

 そこら辺の話だと、旅人(プレイヤー)はどうなんだろうな。オレ達は、他の星からこの星の第二人類種やらに意識を移しているだけの存在だ。当事者ではないから、この星で起こった事はあくまでも他人事だ。故に生物としての本能が働くとは言い難いだろう。

 オレの場合だと、オレ自身が入っているのが不死者(アンデッド)な上に、元のオレ自体が真っ当な生物なのかが怪しい存在だ。

 生物という意味では、オレよりもTYPE機の方が自然なのかもな。


「えー、トワさん、聞いてます? 差し支えなければ、一旦解散とした後、ロドリックさんが待つとされる冒険者組合で待ち合わせという事にしたいのですが、どうでしょうか?」


オレはほぼ着の身着のまま何処へでも行けるが、他の面子はそうでもないらしい。という訳で、一旦解散して準備を整えた後、冒険者組合にて集合という運びになったようだ。ロドリック氏との待ち合わせは明日だった筈だ。その件もゾンビーフ氏達に伝えておけば、待ち合わせ時間の前後には来るだろう。来なければそれまでって事で。


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