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脳筋のTYPE_R_03の事は置いておくとして、改めてオレはTYPE_AAとの契約を行う事となった。
まぁ、契約と言っても、TYPE_AAには自意識なんて機能は積んでいない。コンソールの上に手を置いて終了だ。これで、正式にTYPE_AAの統制官へと就任したらしい。と言っても、TYPE_AAを動かせるのは、ここに常駐しているTYPE_R_03なので直接TYPE_AAに命令を出しても無意味らしいが。
『で? 月に居るTYPE機との契約は終わったが、他にやる事あるのか? というか、どうやって戻るんだ?』
『ついでだからTYPE_Oとも契約を試みるであります? 多分、契約自体は出来るかもしれないでありますよ? 流石に某でも恒星級を覆う事は出来ないので、トワ殿が消し炭になるか魔力過多で弾け飛ぶかの二択でありますが』
死に戻り以外に道が無いならやってもいいかもしれないが、普通に帰れるならやらないぞ。それはどう考えても自殺行為だろう。それに、太陽まで行くのにどれだけ時間が掛かるんだ。
『行って来るだけでありますから、光速程度で行けばちょっとの時間でありますよ。まぁ、光速で行くとトワ殿の安全が保証出来ないでありますが』
この超兵器は光速も出せるのか………。ではなく、TYPE_Oに着いてからなら兎も角、移動で死ぬのは真っぴらごめんだ。さっさと地上に帰ろう。
『じゃあ、乗ってきた輸送艦にまた乗るであります。今の時代、ここまで来る事が出来る乗り物は貴重でありますから、アレも再利用するであります。地上の施設が本稼働出来れば、輸送艦の増産も可能かと思うでありますが』
純戦闘用のTYPE機であるTYPE_R_03等は単独でここまで来れそうだが、旅人も一緒にとなると無理だろうな。故にあの輸送艦が必要になる訳か。………まぁ、大抵の旅人はこんな所まで来て何するんだって話だが。
オレはTYPE_R_03に促され、輸送艦の中へと入る。来たばかりのような気もするが、やる事もやったし………いや、折角来たんだから他の所も見てみたいな。呼吸は不要であるが、生身では無理なのでTYPE_R_03に同行して貰う必要があるが。
『観光? でありますか? 言っちゃ何ですが、ここの基地以外は特に何も無いでありますよ?』
それでも、だ。どうせ、こんな所には二度と来ないんだし、不毛の地であってもどんな所か見ておく価値はあるだろう。
『まぁ、トワ殿の希望であれば、従順な道具である某は従うでありますが』
何だか含みのある言い方だな。何やら気が進まないようだが、見せられない所でもあるのか?
『いや、別に。何千年もここで過ごしている某達が言う事でありますよ? マジで何も無いであります。でも、まぁ、やりたいのなら同行するであります。そうそう、使えるかは分からないでありますが、某よりも詳しいだろうTYPE_A_01を使って案内させるであります』
コイツ、途中で面倒臭くなったな。
まぁ、それはいいとして。もしかしたら、コイツ等が知らないだけで何かが住み着いていたりするかもしれないし、とりあえず行ってみよう。一周位ならそんなに時間も掛からないだろう。
輸送艦を離れ、月面基地へと戻って来た。
『話は伺っております。月面観光ですか。しかし、トワさんも物好きですねぇ。TYPE_R_03が言った通り、ここには何もありませんよ? そもそも、ここはTYPE_AAの本体ですからね。トワさんが期待しているような宙域外からの外来種も来ませんし、万が一来たとしても、取り付く前に殺しますし』
いや、景色が綺麗な所とかあるだろ。周囲は満天の星空なんだ。何処か良い場所でも無いのか?
『うーん、強いて言えば、この星系唯一の惑星である、あちらを眺めるのが最高の景色なのではないでしょうか。因みに、この衛星の裏側に行かない限りは何処からでも見えます』
裏側? そこへ行くと本星は見えなくなるのか?
『はい。TYPE_AAの砲身で地表を狙う都合上、星へ向いている面は基本的に変わらないように調整されています。………まぁ、裏側にも予備の砲があるので、調整しなくても良いといえばそうなんですが』
なるほどな。それならば、その裏側とやらを目指してみるか。とりあえず、予備の砲ってのを目的地にしよう。
そういう事になったが、TYPE_F_01は同行しないようで、この基地で留守番しているようだ。………というか、お前は身体を失くして情報思念体に戻ったんだから、元の場所に帰ってもいいんだぞ?
『私は空間中に漂うだけで、自発的に移動が出来る訳ではない。他生物の身体を借りるか、何らかの流れに乗る必要があるのだ。ここから向こうへ戻ろうにも私が乗るような流れが無い故に無理なのだ』
なるほど。足が無くて帰れないと。
しかし、移動手段を持たないとはな。そういえば、今は亡き小妖精が高高度の魔力を吸収した事で、TYPE_F_01が取り憑いたんだっけか。元々は、魔力の流れに乗っていただけだったんだな。
という訳で、月の裏側を目指す旅の面子は、オレと装備扱いのTYPE_R_03、案内役のTYPE_A_01となった。
超兵器が二体が居るので道中に何が来ても身体面では大丈夫だろうが、何だか精神的に不安がある面子だ。特にTYPE_A_01。
『何故です? 私はTYPE機の中で一番の人格者であると自負していますが?』
いや、オレが言えた義理じゃないが、そもそものTYPE機自体が性質ヤバい奴しか居ないだろ。しかも、抑止のための兵器ではなく、星冥獣を殲滅するための兵器だ。そんな奴等の中で人格が良い奴が居る訳なくない?




