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山と谷がある話  作者:
10.再度北へ行こう
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 そういえば、小妖精(アリス)は上空に魔力溜まりがあるみたいな事を言っていたが、魔力って空中に溜まるようなモノなのか?


『一般的には、極点に近しい地域には魔力が溜まりやすいと言われているであります。ただ、実際に極点に魔力が集まっているかどうかは分からないでありますが。魔力………魔素は星冥獣が外宇宙から持ってきたモノであります。故に、この星の外は魔力で満ちているであります。宇宙からの魔力が大気に染み出し、地上に降り注ぐというイメージでありますね。まぁ、忌々しい事ではありますが、宇宙に魔力が満ちているお陰で、魔力(エネルギー)を馬鹿みたいに消費するTYPE_AA級を(それがし)が気軽に使えるでありますが』


 TYPE_AA………確か、外宇宙から飛来する星冥獣に対抗するための人工衛星《戦略兵器》だったか。外からの侵略者を警戒するために打ち上げられた筈なのに、地上を焼くための機能が備わっているのは何故なのだろうか。

 それと、TYPE_AAの指揮権を持っているとはいえ、あんなモノを気軽に使うな。この間のイッカクの時は出力を極限まで絞ったらしいから街一つで済んだが、本来の出力で発射していたらどんな被害が出ていたのか………。試したくはないが、絶対に酷い事になるのは間違いないだろう。

 オレは平和を愛する事なかれ主義者なんだ。余り物騒な事は仕出かしてくれるなよ。


 魔力(MP)が枯渇した際に魔力不足を解消するためには、生者の場合だと魔力薬(ポーション)を飲んだりするらしい。しかし、胃や腸等の消化吸収するための臓器が無い不死者(アンデッド)はその方法を取る事は出来ず、基本的には自然回復を待つようだ。

 しかし、宇宙に出れば魔力が潤沢に有るというのならば、魔力回復させるという目的を果たすためには宇宙に出れば良いという事だろうか。幸い、不死者(アンデッド)は生命活動をしていないから真空でも大丈夫だろう。………まぁ、問題はどうやって宇宙に行くかなのだが。


『残念ながら、トワ殿や不死者(アンデッド)旅人(プレイヤー)でも生身で宇宙に飛び出したら即死するであります。存在強度(レベル)が高ければ、もしかしたら数秒は大丈夫かもしれないでありますが。………ここの宇宙は生命活動の有無云々の話ではないであります。この星系を満たす魔素………魔力は、元を辿れば星冥獣(外来種)のモノ。同じく外来種である旅人(プレイヤー)管理者()によって、ある程度の耐性を付与されているでありますが、何の対策を無しに宇宙へ飛び出せば星冥獣の残留魔力に身体が耐えられず爆散即死するであります』


 なるほど? つまり、宇宙に行くためには星冥獣の力に耐えられるようにならなくてはならないと? 普通に無理じゃね?

 しかし、目の前のTYPE_R_03(コイツ)や、宇宙に在るTYPE_AA、TYPE_Oは星冥獣の力に耐えられる性能を有している。TYPE_R_03を”装備“すれば、オレでも宇宙に飛び出せるのではないだろうか。………まぁ、今のところ宇宙に用は無いんだが。


「魔力………実は私には魔力(MP)は無いのです。魔法(それ)関連の技能(スキル)を持っていないというのもありますが。トワさんは見た目的に魔法使いっぽいですが、何か魔法をお持ちですか?」


 ラクガン氏は話題に困ったのか、オレに魔法の話題を振ってくる。今のオレの身体は微発光している骸骨に黒いスライム状の何かが纏わりついている形だ。

 怪しさが爆発しているような見た目を魔法使いっぽいと表現しているのだろうか。しかし、残念ながらオレは魔法使いではない。目ぼしい魔法は一つも使えない。一部の技能(スキル)魔力(MP )消費するけど、透明化(アレ)は魔法扱いではないだろう。


「いえ、残念ながらオレも魔法は使えませんよ。ただ、魔力(MP)を消費する技能(スキル)は持ってはいます」


「あぁ。他の旅人(プレイヤー)技能(スキル)構成を聞くのは御法度でしたね。………しかし、魔力(MP)を消費しつつも魔法ではない技能(スキル)ですか。この世界(ゲーム)の設定は中々凝っていますからね。その情報だけでも色々と考察出来そうですが………それはまたの機会にします」


 まぁ、確かに? 魔力を消費するなら、それって普通に魔法と呼ぶのでは?等と思わなくもない。オレが持つ透明化という技能(スキル)は魔法ではないが、魔法から派生した技能(スキル)とか? まぁ、オレ自身がそういった知識(文化)に乏しいから、これだけでは何とも言えんが。


『魔力は元々在ったエネルギーではなく、星冥獣と共に齎された新しい概念(エネルギー)であります。トワ殿が持つ”透明化“は生身………骸骨兵(スケルトン)に生身は無いでありますが。まぁ、分かりやすく言えば、生身を透明に見えるようにするためには、光学迷彩や位相転移装備等の装備を身に付ける必要が有るであります。しかし、魔力の出現によって、元々在った概念を捻じ曲げ都合の良い現象を具現化出来る技術が出てきたのであります。それが、今日で”魔法“と呼ばれるモノであります。ただ、魔法ではない魔法というのも存在するであります。大体のモノは元々は魔法だったけど、生み出される現象が細分化されていくにつれて魔法という分類ではなくなったモノであります』


 なるほど。オレの”透明化“は元々は魔法だったのか。それならば、魔力を消費するという事も頷ける話だ。


『大元の”透明化“という魔法は、ありとあらゆるモノを透明にさせるのでありますが、トワ殿の”透明化“は自身の身体とそれに付属する品のみを”光学的に捉えられない状態”にする技術であります。奇跡を具現するという意味で魔力は消費するでありますが、分類的には魔法とは言えない代物であります』


 ラクガン氏と話していると、TYPE_R_03から注釈が入る。ラクガン氏との会話に入り込んでは来ないが、オレに念話(テレパシー)で話し掛けてくるのは暇だからなのだろうか。


「まぁ、魔力を持っていても役に立つ訳ではないですからね。それに、魔力という概念自体が厄ネタっぽいですし」


 TYPE_R_03の語り口を察するに、魔力関連でも何か色々ありそうだ。オレ達、旅人(プレイヤー)は魔力というモノを何の気も無しに使っているが、魔力が星冥獣由来の物質という事実を知らされると安易に使っていて良いモノなのか判断に迷うな………。

 という考えもあるので、世界考察が好きっぽいラクガン氏にそれとなく教えておこう。


「魔力が厄ネタ? それはどういう事ですか? トワさんは何を知っているのです?」


「まぁ、オレも少し見知った事のから推測しているだけなので、正確なところは何とも言えないんですが。ただ、“魔力”は安全で便利なゲーム要素(エネルギー)とは考え難いって感じですかね」


『因みに。“魔素”を過剰摂取すると、骸獣モドキになるであります。今の時代の生物には骸獣になれるだけの魔素を取り込める能力(キャパシティ)が無いため、モドキ止まりでありますが。………ただし、これはこの星系のモノ限定であります。つまり、外来種には適用されないって事でありますね』


 はい? つまり? 旅人(プレイヤー)が骸獣級に成る事が可能って事なのか?

 やっぱり、さっき危惧した通り魔力関連は厄ネタなんじゃねぇか。

 魔素の過剰摂取での変質。宇宙に行くと魔力の過剰摂取で爆散。存在強度(レベル)が高ければ数瞬は耐えられる可能性。………魔力ではなく宇宙の方がヤバい? いや、ここの宇宙がヤバくなった理由は星冥獣のせいだった。やはり生かしてはおけないな。いや、既に死んでたか。


現実世界のやる事が多すぎるが、こちらのやる事が決まらないため説明回が重なる。

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