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床に散らばる白い粉を触ってみる。サラサラとしている感じだが、ただの感触だけではよく分からないな。当たり前の事ではあるが。
しかし、密室のような場所にある意味ありげな白い粉………。これは事件の香り………。
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星冥獣、識別名“陽喰鳥”の残骸を発見しました。
ワールドクエスト“世界獣”が進行しました。
称号“光亡き者”が“陽を喰らいし者”に変化しました。
称号“陽を喰らいし者”獲得のため、幾つかのアイテムが変化しました。
レベルアップ!
プレイヤー名:トワ
種族:骸龍骨兵Lv.12→Lv.13
LP:50
MP:100
SP:100
種族能力
打撃属性弱体Lv.2、火属性弱体Lv.1、斬撃耐性Lv.2、刺突耐性Lv.2、水圧耐性Lv.1、生命力半減、持久力超強化、呼吸不要、寒暖無効、飲食不要、死亡時幽体状態可能
保持技能
死んだふりLv.1、透明化Lv.3、気配隠蔽Lv.3、魅了(不死族)Lv.1、変質魔法Lv.1、魔力吸収(陽)Lv.2
称号
光亡き者→陽を喰らいし者、森樹精の友、森守護者の加護、統制管(TYPE_R_Lv.0)、統制管(TYPE_S_Lv.1)、統制官(TYPE_A_Lv.4)、統制官(TYPE_O_Lv.5→Lv.3)、統制官(TYPE_Z_Lv.5)、統制管(TYPE_AA_Lv.5→Lv.3)、統制官(TYPE_G_Lv.5)、ヘイルデン要塞総司令官Lv.5、深森館の管理者Lv.1→2、慈悲なき者、“イッカク”地帯支配者Lv.5
カルマ値:900
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得体の知れない白い粉を見つけたら勝手にレベルが上がった件。
いや、それよりもこの白い粉が星冥獣? 骸獣じゃなくて? 骸獣とかいうボスを一飛びで越えた先に居るような奴の残骸が、何故こんな所にあるんだ?
とりあえず、床に散らばる粉をアイテムボックスに収納した。外で待っているTYPE_R_03に見せてみれば何か分かるかもしれないし。
次に、新しく生えてきた技能と称号だ。
魔力吸収(陽)は何となく分かるが、“陽を喰らいし者”って何だよ。“光亡き者”から変化したという事は、コイツは不死の王関連の世界獣だったって事か?
能力値から、新たに獲得した称号の詳細を見てみるか。
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称号名:陽を喰らいし者
希少:EX
獲得技能:魔力吸収(陽)Lv.-
概要:太陽を喰らった星冥獣の識別名。TYPE_R_00によって囚えた後、専用に開発した牢獄にて封印に成功。
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この称号って、星冥獣自体の事じゃねぇか。オレにこんな付けられたら、オレ自体が星冥獣扱いされない? 外に出たらTYPE_R_03に問答無用で攻撃されたりしない? 大丈夫?
それに、TYPE_R_00だと? 03や04、05の姉妹機………01と02は試作機とか聞いた気がするが、00ってのは何なんだ?
そういえば、“光亡き者”関連のアイテムが幾つか有ったな。ついでに、そいつ等も確認しておくか。
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名称:光亡の箱→陽滅の箱
耐久:1000(自動回復)
希少:EX
概要:陽喰鳥を封印した牢獄の一部から作成された箱。光を拒絶し光から拒絶される。奴等は■■■によって■■■■■から拒絶された。最期までその縛めが解かれる事は無い。
内部に収容したモノの魔力を無制限に吸い込み、無毒化した後大気中に放出する。
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ん? 何かこのよく分からん箱の耐久値ってこんなモンだったか? 何だか目茶苦茶耐久値が高かった覚えがあるんだが、もしかしてさっきの称号のせいか?
それと、説明文が追記されている件。何だかよく分からないが、前は文面が違った気がする。視点が違うというか………。まぁ、いいや使う事無いし。
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名称:光亡き者の外套→陽を滅す者の外套
耐久:20(自動回復)
希少:EX
技能:透明化Lv. - 、気配隠蔽Lv. -、魔力吸収(陽)Lv. -
概要:陽喰鳥の影響を無効化するために作成されたと云われる外套の一部。光関連の汎ゆる影響を受け付けないとされる。
装備している間のみ、透明化Lv - 、気配隠蔽LV -、魔力吸収(陽)Lv.- 使用可能。
所有:トワ
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こっちも何だか変わってたな。
“光亡き者”は太陽から逃げているみたいな文面だった気がするが、今回のは太陽を喰った奴を討伐した者みたいな感じに代わっているようだ。
ところで、“光亡き者”って、てっきり不死の王から生まれた称号だと思っていたが、どうやら違うようだな。
これらの文面を見た感じ、ここで死んでいる星冥獣………陽喰鳥関連のモノっぽい。それなら、何でアイツは“光亡き者”は特別みたいな事を言ったんだ? うーん………謎だ。しかし、言った奴自体が既にこの世に居ないのでそれを確認する手段は無い。
この白い粉以外には何か無いだろうか。残骸に関する物とか、役に立ちそうなアイテムとか。
暫く手探りで探してみたが、特に何もなさそうだったので外へと出る事にする。この部屋までは恐らく一本道だ。他の道が見えないためそう思っているだけだが、帰りも手探りで行けば大丈夫な筈………。
いつもの頼りになる筈の世界地図は、この建物に入った時から砂嵐状にモザイクが掛かっているので使い物にならない。そのため、極めて原始的な方法で位置を確認するしかないのだ。
仕事に追われていたら、いつの間にか五月が終わっていた。




