表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山と谷がある話  作者:
10.再度北へ行こう
420/480

420


 未だ穴が各所に空いている小妖精(ピクシー)の処遇は一旦置いておくとして。オレが足止めされていたのはコイツで間違いないのだろうか。事と次第によっては、二度目の串刺し刑も有り得るとだけ言っておこう。


「だからゴメンって。まぁ、確かに? アンタ達を道に迷わせていたのは私だけど? 生きるために必要なんだから仕方ないじゃない!!」


 道に迷わせる事が捕食行動に繋がるのか? 何で?


妖精(羽虫)は生物を道に迷わせ衰弱させて弱った所に集って生命力を吸い出すのが手口であります。小妖精(コイツ)も似たような生態であります」


 なるほどな。ところで、こちらは骸骨兵(スケルトン)旅人(プレイヤー)と最強兵器なんだけど、どう思う? 道に迷った程度で衰弱死しそうにないが?


小妖精(コイツ)等は見た目通り、知能が低い種族であります。罠に嵌める種族を選んでいる訳ではなく、適当に決めているのであります」


「ちょっと!! そんな訳ないでしょ!! それに、私は衰弱させるとかないから!! 命を奪うなんて野蛮な真似する訳ないでしょ!!」


 さっき生きるために必要な事って言ってたじゃねぇか。衰弱狙いでないのなら、わざわざ道に迷わせる意味は何なんだよ。


「道に迷って途方に暮れた奴に交渉して、外に出す代わりに魔力を要求するのよ。みんな、助かったと思って私に感謝してくれるのよ? チョロいと思わない?」


 つまり、マッチポンプという事か。自分で罠に嵌めた癖に、恩着せがましく代償を要求するのか。何て奴だ。やはり生かしてはおけないな。


「何でよ!! 命を取る訳じゃないからいいでしょ!!」


 まぁ、つまり、さっきの道を堂々巡りしていた状況は解消された訳だ。しかも、それの原因が目の前に居る小妖精(ピクシー)だという事だ。TYPE_R_03が言っていたような、“この先に進ませたくない誰か”がやっている訳ではないらしい。


「え? 何? アンタ達、この森の先に行きたいの? 私が言うのも何だけど、ここは小妖精(ピクシー)が結構居る森よ? 止めておいた方がいいんじゃない? 犠牲になりそうな小妖精(仲間)のためにも」


 小妖精(お前)等の事なんて、どうでもいいんだよ。

 しかし、邪魔をしてきそうな小妖精(羽虫)が、コイツの他にも結構居るのか。オレの経験上、妖精種に好きにさせると碌な状況にならない。森の環境とか度外視して、TYPE_R_03の力を全面的に出して行こうかな。その方が面倒が無い。まぁ、もしかしたら、その余波で森からあぶれた生物が何処で迷惑を掛けるかもしれないが、オレにはどうしようもない。

 そう、全ては妖精が悪いのだ。オレは悪くない。


「しょうがないから、私が道案内してあげる!! お代にそれなりの魔力を貰うけどね!!」


 え、要らない。

 穴だらけだった全身が、ほぼ修復し終わった小妖精(ピクシー)が道案内役を提案してくる。この森に棲息しているだけあって、この森について詳しいのだろう。それに、小妖精(ピクシー)は同族には干渉してこないようで、コイツを連れているだけで小妖精(ピクシー)はほぼ無視出来るらしい。

 鬱陶しい小妖精(羽虫)にちょっかいを掛けられないのなら、それなりにメリットがあるかもしれないが、煩いのが付いてくるってのがなぁ………。

 それに、代金の代わりに魔力を寄越せか。まぁ、オレは魔力(MP)なんてほぼ使わないからいいんだが、それが生命力だった場合は死にかねない。妖精種は基本的に嘘吐き………ヒトを騙す事に戸惑いが無い。魔力と言っておいて、生命力だった場合はどうなるか分からない。


「トワ殿、いいんじゃないでありますか? 面倒になったら黙らせればいいでありますし」


 オレよりも反対派だと思っていたTYPE_R_03は、小妖精(コイツ)を雇う事に賛成らしい。確かに、TYPE_R_03が言うように小妖精(コイツ)を始末する事自体は大した事はない。………まぁ、つまりは、ちょっと試してみて、使えそうだったら生かしておいて、懸念通り使えなかったらそれまでという事でいいか。


「オッケー!! アンタはトワって名前ね!! 私はアリス!! これからヨロシク!!」


 小妖精(羽虫)改めアリスが仲間(仮)になった。お前は同族である小妖精(ピクシー)の風除けとして雇ったのだ。もし、それが嘘だった場合は………分かってるな? TYPE_R_03が、こうだぞ?


「分かってるって!! 私に任せなさい!!」


 羽虫………アリスの無意味に自信満々な返答。………正直、不安だ。何しろ、妖精種は嘘吐きが多い。大事な事なので二回言いました。



今回のバチコン楽しすぎか

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ