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さて、これからどうするか。とりあえず、この人形氏に頼んで死に戻りする? いや、この身体で死に戻り出来るか疑問だな? なんたって、TYPE_R_03は旅人ではなくNPCだ。しかも、オレの身体は既に死に戻りしているようだし、取り残された形のコイツが死ぬ事で、はたしてあの世界に戻れるかどうかは分からない。
「なるほど。帰り方が分からない。帰る星の位置が分かれば送ってやる事も吝かではないんだが、どうだね?」
あの星の位置は分からない。オレの星なら分かるんだけどな。
「いや、あの星は物理的に隔離されているため、私の権限では送る事は出来ない。………うん? あぁ、キミはあの星であんな事をしている目的は知らなかったのか。簡単な話、あの星系は原因は知らないが物理的に隔離されている状態だ。通常の方法では辿り着く事すら出来ない。故に、あの神は他の世界から協力者を募り世界修復という事業を成している訳だな。勿論、一般参加者は知らずとも良い事だからゲームという体を取っているがな」
余り詳しい事は知らないと言いつつも、オレより事情をよく知っているな? 本当にこの人形氏は、あの世界に関わりが無いのか?
人形氏が言うには、あの世界は通常の空間とは違う位相にあるらしい。原因は知らん。そのため、通常の方法では、あの世界に行く事は出来ず、世界を渡る力を持つらしい人形氏でも送る事は不可能なようだ。
あの世界を管理している神………所持している奴でなく、運営している方が、星の修復………空間断絶を何とかしているらしい。恐らくそれが、ゲームでいう“大断裂”を指すのだろう。知らんけど。
旅人達が、あの世界内にある次元口で各星に飛ばされているのは、あの世界と他の星系との関係値を上げる事によって概念的な繋がりを修復しようとしているのでは、との事だ。よく分からんが、そういう説もあるのかな。
現在、あの世界と他の星には非常に細い道が通っており、あの世界からの手助けが無い限り道を通る事は出来ない。しかも、その手助けは旅人が対象であり、基本的に住人は対象外だ。………え? 次元口に住人が乗ったの見た事あるけど、あのヒト達って行ったっきりなのか? まぁ、確かに、あのヒト達がその後どうなったのかは知らないけど。
今のオレは、NPCの身体に旅人の魂が乗ったイレギュラーな存在だ。
人形氏が言う理論ならば、オレの魂だけならば戻る事は出来るかもしれないが、その場合はTYPE_R_03は置き去りになる。
「キミが居る世界の位置が分かるのならば、そこへ送るが?」
とりあえず、オレの星の位置だけ教えておく。
ここに居ても意味無いように思えるからな。向こうに渡る術が無いのならば、オレの星に戻ってゆっくり考えた方が良い気がする。………まぁ、向こうのオレがどういう行動を取るのかは分からないが。
「なんと、近所ではないか。しかし、キミの星は私の事業には参加していないようだな。………まぁ、それはいいか。では、送るぞ?」
その言葉と共にオレの視界は歪み、何も見えなくなった。
目を開けると懐かしい? いや、見慣れた風景だ。
オレの星は、あの世界から勝手に繋がれた次元口は既に無いが、他の星からの繋がりはあるようだな。今迄知らなかったけど。
周囲の水には無数の“オレ”が漂っている筈だ。今のオレはTYPE_R_03であるため、その存在は感じ取れないが、突然現れた余所者が居るという事は直ぐ様分かる筈………。
この星に居る■■の魂は、この星にとっての異物であるTYPE_R_03の中に入っているトワだ。この場合、■■はどうなってるんだろうな。
『あれ? また知らない奴の気配がすると思ったら、何この黒いの?』
現れたのは、あの世界でクオンと名乗っている■■だった。………何かややこしくなるな。コイツの名前は今後クオンでいいや。
『いや、この存在は向こうで見た事があるような………。それに、トワ様の気配が若干在るような無いような。………もしかして、TYPE_R_03とかいう■■様が使役している生物? 何でこんな所に?』
相変わらず勘がいいな。そこまで察しているのならば話が早い。通じるかは分からないが現状を説明してみるか。
最近、怒涛の設定を晒す回ですが、まだこの小説自体は終わりません。ただ、いつ終わってもいいように書いてるだけです。




