04
ログイン四回目。
いやぁ、嫌な事件でしたね(二度目)。
気を取り直して、不幸にもブラックスライムと遭遇してしまった事は忘れ、他のモンスターを探しに行こう。木の枝でも振り回していれば多分イケるだろう。
第三村人………いや、アレは狼か? 丁度よく一匹で休んでいる奴を見つけた。複数で居たらスルーしていただろう。
ああいう獣タイプの主な攻撃方法は刺突属性を持つ噛みつき攻撃であり、それの耐性を持つオレとの相性が良い。
これは、勝ったな。
無造作に距離を詰めるオレ。木の枝を振り被り相手の脳天に振り下ろす。
打ち所が悪かったのかクリティカルヒットしたらしく、狼の頭蓋骨がパカリと割れ、骨の欠片や血、脳漿が飛び散る。
うわ、グロ………。自分でやった事ながら、大分グロい事になったわね。
頭蓋が割られた狼はヨタヨタと起き上がり、グルルと血塗れの歯茎を剥き出しにして唸る。
「って、腐乱犬じゃねぇか!」
墓地の近くだからってゾンビ犬出してんじゃねぇぞ。最初のゾンビより難易度上がってんじゃねぇか。
腐乱犬はゾンビとは思えない速さで距離を詰める。そのままオレに体当たりをし掛けてくるようだ。
「ウボァーッ!!」
小癪にもフェイントにステップを入れながら向かって来た腐乱犬に対処出来る筈もなく、胸にまともに喰らったオレは、胸骨をベキベキに圧し折られつつ後方にふっ飛ばされた。
視界に浮かぶ数値を見るにLPは10しか残っていない。いや、元々種族スキルのせいで半減していたから、10も残ってるというべきか。
部位欠損アラームが鳴り響く中、オレは身動きが取れないまま、腐乱犬に頭蓋骨を噛み砕かれ死んだ。
「コイツ、ゾンビだから一匹だったのか」
幽体状態で冷静に周りを観察すれば、分かる事もある。正常な狼なら複数で行動するのが普通だ。しかし、コイツは一匹だった。そりゃあ、ゾンビだったら生きてる狼の仲間には入れないわ。
「お前も、独りなのか………」
オレはログアウトを選んだ。