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魚人の住処を発ち、例の遺跡まで戻って来た。やはり周囲に魚人の姿は無い。
調査は何でもと言われたが、本当に何でも良いのだろうか。それなら、そこらに生えている海藻の旨い調理方法とか調査しても良いのか?
「魚人達はあんな感じでしたけど、エドさんは何の調査しているんです? それに、あんな対応なのに、ここで調査して何か意味あるんです?」
「俺はこの遺跡がどれだけの広さで、どんな施設が在ったのかを調査してるぞ。アイツ等は今はあんなんだけど、ちゃんと調査すれば次のステップに進めると思うんだよな。首尾よく海洋浪漫を見付けたとしても、俺達二人だけじゃあ、どうにもならない。何をするにしてもマンパワーが必要だからな。今はそのための準備期間という訳だ」
そうかなぁ………。あの態度だと、ここの調査結果を揉み消されるというか意に介さないような気がするんだよな。寧ろ、魚人達はこの遺跡をどうでもいいとでも思っていそうだ。何か別の事から目を逸らさせるために遺跡の調査を依頼したとか、そんな感じがする。
問題は、何から目を逸らさせているのかだが。………人魚か? いや、それなら人魚の居場所を探すように依頼するだろう。
何となくもやもやしたものを抱えながらエド氏と遺跡調査を行う。尚、エド氏とは早々に分かれた。何を調査するのか知らないが、二手に分かれた方が効率が良いだろうとの事だ。
この遺跡の広さとか数値的なモノを測るのなら、TYPE_R_03を使えるオレの方が何かと有効だと思ったが、エド氏のやる気を削ぐ気がしたので黙っておく。
オレはどうしようか。植生でも調査する? と言っても、この星の海藻類は当たり前だが見た事の無い種ばかりなので詳しい事は調べられないかもしれないが。
『えっ。本当に藻類の調査をするでありますか?』
仕方ないだろ。遺跡調査はエド氏が主体だし、オレのやる気が無い。幸い、今のオレは魚人であるため物を食べる事が出来るだろう。魚人に味覚があるのかどうかは知らないが。
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「何やってんだよアンタ………」
暫く経った後、エド氏が戻って来た。エド氏が言いたいのは、今のオレの状態だろう。
今のオレの身体は様々な海藻で覆われている。何故こうなったかは分からない。まぁ、十中八九、TYPE_R_03のせいだと思うが。
『誤解であります。某は海藻類を触手代わりに使えないか、戦力増強を図っていただけであります』
腕に海藻が植わってるんですが? いつの間にこんな事になったんだ。しかも、僅かにだが自分の意思で動かす事が出来る。
絶対悪ふざけしているだけだと思うが、微妙に役に立ちそうなの止めろ。
「うわぁ。何それ。キメェ」
オレもそう思います。以前やっていた腕を“補充”するのとは訳が違う。今のオレは身体各所から様々な海藻が生え、しかもワサワサと動いている。大半は潮の流れで動いているだけだが、数本は意思を持ったかのような動きだ。その見た目が大変宜しくないらしい。
「ところで、それって俺にも出来るのか? と言うか、どうやって生やした」
エド氏には恐らく無理だと思いますよ。それに、身体………主に精神への負担がキツイと思う。普通の生物なら人格破壊されて終わりだろうな。やはりこういうのは身の丈に合った範囲で強化を図らないとならないだろう。
エド氏が帰ってきたので、調査結果をそれぞれ話してお互いで共有しておく。
エド氏からは、周辺マップが送られてきた。エド氏の一口メモも添えられてきたので、割ときちんと調査を行ったようだ。
オレの調査結果は何と言うか………これ渡していいのか?
「遺跡の植生について? 藻類の味? 何だこりゃ。何でもいいからって、本当にこんな事すんなよ」
何かすみませんね。因みに、海藻類は不味かった。何と言うかエグ味がね………。オレには食べ物の良し悪しは未だによく分からないんだが、口中に強烈に広がるエグ味は流石に不味いと分かる。
食糧に困ったとしても、海藻類を食べるのは止めておいた方が良いだろう。………そういえば、魚人って何を食べて生きているんだろうな。
「魚類じゃないのか? 向こうでも魚喰ってたぞ?」
魚人は魚を食べるのか………。同じ魚類だが、関係ないのか?
「何言ってんだ。大型の魚の食い物は小型の魚だろ。魚人は魚類かもしれねぇが、だとしても大型魚類の頂点だ。他の魚を喰って何が悪い」
そういうモノか。永らくモノを“食べる”という行為から遠ざかっていたせいで良く分からないが、そういうモノなんだろうな。知らんけど。
「でも、何か知らねぇけど、ここへ来てから腹が減らねぇんだよな。持久力値も殆ど変動しないし、もしかしたらこの魚人の特殊能力なのかもな」
そうなんだよな。向こうの世界では、これだけ補給も無しに泳いでいれば持久力はカツカツになっている筈だ。しかし、持久力値は変動しないし、空腹度も変化しない。
エド氏は、種族特有の能力かと思っているようだが、もしかしたら、この星の魚人は食糧を必要としないのかもしれない。
ただし、遥か以前に食糧難になり、住処にしていた超巨大な貝の中身を食い尽くしたという話はどうなんだって話だが。
『トワ殿が気付いているのかは知らないでありますが、あの魚共は全て同じ個体でありますよ。全て同じ本体が統率する端末であります』
あぁ、この星の魚人は無性生殖で数を増やすんだろ? それなら、全て同じ遺伝子を持つってのも普通なんじゃないか?
ん? 端末? 何か不穏な意味合いが隠されている気が………。




