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ログイン七十八回目。
次元口を自分で開けるという話を聞いてから、何処か同じ星に行く事にした。
という訳で、前回と同じく“水の星”にやって来た。色々と謎な“渋谷の星”でも良かったんだが、遺跡調査をやってみたかったんでな。
“水の星”に来て早々、例の旅人が言っていた事が本当かを試してみた。
試した結果、自分で次元口を開ける事は可能だが、一度の来訪につき一度だけのようだ。ついでに、この“次元口を開く”という行為は二度以上同じ星に行った時のみのようだ。つまり、初回の星ではこれを使う事は出来ない。
帰りの次元口は一応一時間後に開くらしいが、今回はそれに乗る事は無いだろうな。
降り立った場所………水の中だが、マップを見る限り同じ場所のようだ。ここから南下すれば例の遺跡群に着くのだが、その前にこの星の住人が何処に居るかを調べるか。
例の旅人………名前は結局教えて貰えなかった………が言うには、この星の住人は魚人族というらしい。もっとも、彼がそう呼んでいるだけだが。
魚人族というとヒラメ氏のような姿を思い浮かべてしまうが、見た目は大分違う。星が違えばこんなにも違うのだなぁ。
今回は時間を気にする事も無くなったため、遠くまで探索に行く事が出来る。
TYPE_R_03も『暇だから』という理由で探索を手伝ってくれている。TYPE_R_03で全身を覆い、泳ぐという行為に最適化。及びTYPE_R_03自身の身体を薄く引き伸ばす事で周囲に広く拡げ知覚範囲を伸ばしている。そのお陰でマップ情報が爆速で解明されていくのだ。これは凄まじく便利だが、便利過ぎて常時使う気にはなれないな。
「ん? 何だあれ」
オレが居る位置より遥かな下に泡のようなモノが見える。随分デカいな………。行って見てみるか。
「生命体反応有りであります」
誰か………いや何かが居るのか。あの泡自体がその生命体なのかもしれないな。TYPE_R_03を装備しているとはいえ、警戒は怠らないようにしよう。
警戒しつつ近付き分かったのだが、水中に浮かぶただの泡のようだ。いや、同じ場所に固定されているのは、どう考えてもただの泡ではない。泡の表面は白く濁っていて内部の様子は分からない。しかし、TYPE_R_03が言うには、この泡の内部に生命体反応があるとの事だ。
うーん、これは一体何なんだ?
「とりあえず、攻撃してみるであります?」
いや、この中に居るのがこの星の住人だった場合を考えて、敵対行動をするのは良くない。ここは出来るだけ友好的にな。
これは泡だよな? という事は、触ったらどうなるんだ?
『待て。そこからは入れん。入りたいのならば、少し回り込め』
水を伝って何処からか声が聞こえてきた。まぁ、状況的にこの泡内部からの声だろうな。
今居る場所から回り込むと、少し色合いの違う場所を見付けた。ここから入れという事か。
手で触れてみると、そのまま腕が泡内部に埋まる。それによって泡が破れる事も無い。やはり、ここが泡の入口のようだ。
泡内部に侵入すると、泡の住人が待っていた。
「こんな深海まで来る魚人………魚人だよな? まぁ、いい。で? こんな僻地まで来て、私に何の用だ? いや、貴様等の目的は聞くまでも無いか」
オレを出迎えたのは、女性型の普人族の上半身で魚の下半身が付いた種族、所謂人魚とかいう奴だな。
この人魚は、オレの事を魚人と呼んだな? 魚人族じゃないのか? いや、魚人族とあうのは、旅人に聞いた事だったな。この星の住人の呼び方は違うのかもしれない。
「あー、こちらに敵対する意志は無い。突然押し掛けてきたオレに警戒するのは当然だとは思う。こちらとしては、この星………いや、場所について聞きたいだけなんだ」
「それは丁度良い。私も貴様に聞きたい事がある。貴様は何処の所属だ? 何処から来た? 魚人が深海の水圧に耐えられる筈が無い。その黒いドロドロのせいか?」
え? この身体、案外丈夫だなと思っていたが、大丈夫だったのはTYPE_R_03のお陰だったのか?
目の前の人魚は、魚人に対して敵対心バリバリだ。隠そうともしていないので、種族的に敵対しているのかもしれない。とりあえず、オレはそういうモノではないと誤解を解いておくか。まぁ、星の敵と言われる可能性も有るが。
「他の星から来た? 魚人の姿は仮初? なるほど。荒唐無稽な話をして私を惑わすつもりだな。それで、貴様が来たという星?とやらはどんな所なんだ? そこでも魚人は居るのか?」
信じないと言いつつもノリノリじゃねえか。




