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山と谷がある話  作者:
02.海へ行こう
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 そういえば、水底を歩いていけたらいいなと思ったが、そもそもオレは水に沈むんだろうか。まぁ、でも骨だけだし浮く事は無さそうだな。水中だから地上と同じようには動けないだろうが散歩するだけだし別にいいか。

 オレの腰まで水に浸かった後、一気に深くなるようだ。あっという間に水面が顎下に来るが、気にせずそのままズブズブと水中に入っていった。

 ここら辺はまだ明るいな。ただ、前方を見る限りどんどんと下っていく様子だ。湖の広さがどんな物だか把握していないが、矢鱈と深くなるような気がする。光が届きにくくなると面倒だな。オレには夜目が無いので、光源が無いと殆ど見えなくなるんだよな。

 幸い、ここはまだ水深が浅い方なので周りがよく見える。何の種類か分からんが藻や水草が茂っており、そこに小魚が群れている。

 魚類の考えている事は分からないが、突如として近付いて来た不審者みたいな感じでオレを警戒して隠れてしまった。見た所、敵対的な生物は今の所居なさそうだな。小魚達を後目により深い所へ潜って行く。

 歩く度に骨の間を水がすり抜けていく。地上とは違った感じがして面白いが、少々歩き辛いな。歩かずに泳げばいいのかも知れないが、生憎オレは泳ぎ方を知らないし、泳ごうとしても骨の間を水が通るだけだからな。

 遠くの方で何かが動いた気がする。それなりの大きさだったので、何かしらのモンスター的な何かだろう。オレの所に来ないといいな………。

 段々と下って行く途中、藻類が森のようになっている中を通る。藻類が身体に絡みついてくるのがウザい。迂回したい所だが、見渡す限りこんな感じだ。やはり、ここを通るしかないのか。………いや、それとも戻ろうかな。オレは絡みつく藻類を引き千切りながら前へ進んでいく。その内抜けるだろう。多分。

 ………ところで、この藻類の森に入ってからチラチラと視界の端で何かの影が蠢いてるんだよな。何かが居ると思われる方を向いても、その姿を見る事は出来ないが、オレの直感は何かが居るという事を感じ取っている。

 怪しい気配がするから透明化をしたい所だが、ここで透明化しても藻類が絡みついてるから、透明でもそこに居る事が丸分かりなんだよなぁ。………所謂透明マントという便利アイテムを手に入れた筈なのに、今の所全然役に立ってない気がするなぁ。

 視界の端の奴が気になるが、余り気にせず進むしかないか。あちらから手を出すつもりがないのなら、オレとしては特に絡まずスルーするだけだし。


 ………視界の端の奴が増えた気がする。仲間を呼ばれたか? 数的有利を取ってから襲って来るつもりか? そうだ。ここは、一回必殺死んだふりLv1を使って様子を見よう。あちらからも藻類が邪魔してオレの様子はよく見えていない筈だ。

 という事で、オレは死んだふりLv1を使う。その場に骨の身体が崩れ落ち、オレはふわりと幽体状態になる。


 幽体状態で辺りを見渡す。この状態なら藻類に邪魔される事なく周囲を確認出来るから便利だな。藻類のカーテンに奴等のシルエットが映っているのが見える。奴等はいきなり姿を消したオレを見失ったようでウロウロしている様子だ。実際は消えた訳じゃなくて、その場に転がっているだけだが。

 シルエットでしか分からないが、映っている奴は魚類に見える。………いや本当に魚類か? 何か足が生えている気がするんだが? 死んだふり中だとこの場から動けないから、アイツ等こっちに来てくれないかなぁ。それで、異常無しとして何処かへ去ってほしい。

 暫くこちらを探るようにウロウロした後、藻類を掻き分けオレの方に近付いてくる。


「確かにここらに怪しい奴が居たんギョが………」


「前と同じく何かの見間違いだろ。そろそろお前の魚眼取り替えた方がいいんじゃないか?」


 近付いて来たのは魚に手足が生えた謎の生物だった。何だコイツ等? 胸鰭や腹鰭とは別に独立した手足が生えているぞ。もしかして、コレがツィル氏が言っていた魚人………? いや、オレが知ってる魚人と全然違うから謎の生物(ナマモノ)だわ。でも、言葉を話すという事はNPCかプレイヤーだな。コイツ等の会話の流れ次第だが、死んだふりを解除して話を聞くのもアリかもしれないな。





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