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山小屋を出て登山道を歩く。ダーマ氏が整備しているのかどうかは知らないが歩きやすい道だ。
疲れを知らないこの身体ならば、道無き道をも進む事は出来るが、やはりこういう道の方が気分楽で良い。見通しもいいしな。
森林地帯からやや外れ、藪道を歩く。やや鋭い葉を持つ植物が群生しているため、何の装備も無い生身だったらちょっと危ないかもしれないな。オレは斬撃耐性を持ってるし、この葉っぱ程度で傷付くような骨ではない。まぁ、こんな所まで来る輩が、まともな山装備をしていないとは思えないが。
そういえば、山小屋から離れて暫く経つが、ゾンビやらと遭わないな。この高さだとゾンビは居ない設定なのか、それともレイド関連のせいなのか。まぁ、わざわざ死んだふりしてSPを消費しないですんでいるからいいか。
藪道を抜け出し、大きめの石が多数転がる道を歩く。標高が上がってきて、そろそろ森林限界が近いのかもしれないな。見通しがよくなるから、索敵しやすくなるのが利点か。周りに高い木々が無い分、風がよく通るから以前のように吹き飛ばされないようにしないとな。
拓けた場所で周囲を見渡してみる。………ん?あれは?ここから、やや上の方に切り立った崖が見えるのだが、そこに何か………洞窟か?標識が立っているのが見えるが、流石に遠すぎて何て書いてあるのか分からんな。
ちょっと寄ってみるか。
マップに位置を印した後、今まで通ってきた登山道から外れ、目的地を目指して進む。流石に登山道から外れると歩き辛いな。危険な足場がいくつもあるし、一々安全確認をして進まなくてはならないのがもどかしい。
岩をよじ登り、ちょっとした崖を乗り越え辿り着いたのは、岩山にぽっかりと空いた穴。ふむ、ダンジョンの予感。
穴の脇に立てられた標識に『→この先登山道』と書いてあるのを見て、オレは膝から崩れ落ちた。
あの登山道から行けたんかい!
無理して道無き道を行くより、あのまま登山道を進んだ方が早く辿り着けたような予感。まぁ、マップ埋めが出来たと前向きに考えよう。何かあった時に使えるかもしれないし。
改めて、暫定ダンジョンの入口を見る。登山道への案内の標識が立っているし、ここもある程度整備されているようだ。本当にダンジョンなのでは?でも、ダーマ氏は何も言わなかったな?進めば分かるだろうと思ってわざと黙ってたとか?まぁ、ネタバレはよくないからな。それに、事前にダンジョンがあると聞いていたなら、ここに来たかどうかは分からない。オレの事だから、多分スルーしていたような気がする。
今回は頂上に行く予定だったが、この奥を確認するのも良いだろう。
オレは意を決し、穴の中へ足を進めた。




