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山と谷がある話  作者:
01.山へ行こう
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 ログイン十回目。


 着きましたるはイッカクの共同墓地。

 死に戻りをしたため、部位欠損状態は回復している。

 前回、あんな別れかただったし、ゾンビーフ氏やツィル氏が居ないかなーと思って来たが、残念ながら会えませんでしたね。

 ゾンビーフ氏には、ちょっと聞きたい事があったんだが、居ないのならば仕方ない。前回の続きというか、マップ埋めを継続しよう。

 この共同墓地からあの山までの道のりで脅威なのは、“黒疫”のキールだけ。しかし、オレには奴を騙せる死んだふり=サンが居る。ダーマ氏は、今のマップ情報が貴重みたいな事を言っていたし、有益な情報を見付けたられたら高く売れるだろう。


 オレは意気揚々と共同墓地を後にした。


 共同墓地を出て数分も歩いていないのにヤバい現場に遭遇し、即座に茂みに隠れて死んだふりをする。

 幽体状態で見やるは、ブラックスライム。何か異様にデカい。この間見掛けた時はあんなにデカくなかったぞ?何喰ったらあんなにデカく成長するんだ?

 ブラックスライム氏はふるふると巨体を震わせ、各所から己の身体を棘状に伸ばし、前方の茂みに突き刺した。勿論オレが隠れている所とは反対方向だ。

 その茂みから飛び出してきたのは黒い獣の影。

 どうやらここに、ブラックスライム(エリアボス)“黒疫”のキール(ユニークボス)の争いが勃発したようだ。

 つーか、コイツらモンスター同士でも争うんだな。てっきり、モンスターはプレイヤーだけを襲うものだとばかり思っていたが、オレが知らないだけでそこかしこでこういうのが、起こっているのかもしれない。


 茂みから躍り出てきた“黒疫”のキールは、ブラックスライムに噛みつき、前肢で抑え込み、そのまま身体を広く伸ばしたブラックスライムに全身を取り込まれた。


 ………えー?何やってんの?


 まさかまさかの展開でちょっと思考が追い付かない。ダーマ氏に恐れられていたユニークボスがまさかの瞬殺。ブラックスライム強すぎでは?

 ブラックスライムに取り込まれた“黒疫”のキールはまだ息があるのか、ブラックスライムの身体がボコボコ変わる程暴れて逃げ出そうとしている。対するブラックスライムは、逃がすまじと収縮を強くしているようだ。ブラックスライム自体が黒いのと、取り込まれている奴が同じく黒いのでよく分からないが、ブラックスライムの内部では強酸によって徐々に溶かされている筈だ。

 もうこうなったら、“黒疫”のキールには勝ち目は無いな。ダーマ氏には、“黒疫”のキールという脅威は消えたという情報を売りつけよう。ついでに、道程も記しておけば良さげかもしれない。


 猛反撃とばかりに暴れていた“黒疫”のキールの動きが大人しくなる。そろさろ決着か?やれやれ、やはりエリアボスである、ブラックスライム=サンには勝てなかったか。

 暫く“黒疫”のキールを完全に取り込んだブラックスライムを眺めていると、身体からプツプツと泡立ってきている事に気が付いた。

 何だ?何かが起こっている?

 なんつーか、めちゃくちゃ嫌な予感がするんだが、気の所為かな?


 ブルブルと小刻みに振動していたブラックスライムの身体が、突如として爆発したかのように大きくなる。


******


WARNING!!


 彩の都市イッカク、共同墓地周辺エリアにて、第四のレイドボス“暴食”のキールが誕生しました。

 つきましては、“暴食”のキールが討伐されるまで、共同墓地周辺エリアがレイド専用エリアに設定されます。


******


 何て?今のはもしかして、ワールドアナウンスってやつか?レイドボス?それに、“暴食”のキール?勝ったのはブラックスライム氏じゃなかったのか?


 元ブラックスライム氏は、六本(・・)の足で立ち上がり、黄色く濁った瞳でこちらを見据えた。


 あっヤベっ。


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― 新着の感想 ―
[一言] ここまでストーリーに絡まない主人公始めてみたよ
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