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山と谷がある話  作者:
01.山へ行こう
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01

 ログイン一回目。


 ログイン直後の硬直に合わせて振られた鈍器が恐らく後頭部を一撃。

 選択した種族の特性により『打撃属性弱体』を持つ故か、オレのLP(ライフポイント)は全損し死に至った。まぁ、生まれたて(?)のプレイヤーの急所にフルスイングでクリティカルヒットされれば、弱体効果なんてモノが無くても誰でも一撃死だとは思うが。


 死亡時の幽体離脱状態も種族特性だ。オレの種族、不死族(アンデッド)ならば誰でも最初から取得している。幽体状態とは、制限時間内ならば死亡した場所から離れる事は出来ないが、他のプレイヤーやモンスターに知覚されず安全な状態で周囲の状況を探ったり、そのままログアウトも選べるという訳だ。但し、一部の技能(スキル)を持ったモノは除くと書いてあった。………まぁ、留意しておこう。

 オレをキルしたのは、なよっとしたイケメン面のヒト種だ。オレの死体………骨だけだが………から手持ちの品を剥ぎ取ると、地面に赤くバツ印の付いた場所へと戻って行く。恐らくあそこが、オレ達プレイヤーのリスポーン地点なのだろう。………と思っている間にリスポーン地点に靄がかったモノが現れつつある。

 現れたのはぼんやりと薄く光る靄だ。若干、ヒト型を模ってはいるが、全体的に色彩が薄いのでよく分からない。この共同墓地にリスポーンするのは全て不死族(アンデッド)らしいので、恐らくアレは幽霊(ゴースト)を選んだプレイヤーなのだろう。

 物質的な身体を持たない幽霊(ゴースト)タイプは物理攻撃無効の特性を持っていた筈だ。最初期の種族選択の時に見た情報が正しいのならば、あのナヨイケメンPK野郎のバット攻撃では死なないだろうと思っていた時期が私にもありました。


 あのバットには、何らかの効果が盛られていたのだろう。幽霊プレイヤーは物理攻撃を無効化する事が出来ても、武器に盛られた効果によって爆散。フワッとさっきよりも朧気な幽霊がその場に生える。オレと目が合うと『やれやれ』とでも言いたげに肩を竦め首を振り、そのまま消える。どうやらログアウトしたようだな。

 例の場所を見ると、再度所定の位置に戻りバットを振りかぶるPK野郎。………アイツ、次に湧く奴が出るまでそのままで居る気かよ。

 オレはログアウトを選んだ。


 ログアウト後、待機所でゲーム内掲示板を見ていると、さっきのアレの原因みたいなのが書き込まれていた。どうやら、あの初心者リスキルは二つの理由があるようだ。

 まず、第一に不死族(アンデッド)の上位種族に吸血鬼(ヴァンパイア)というモノがあり、そのプレイヤーが先のレイドイベントで多くのプレイヤーの妬み嫉みを買ったらしい。詳しくは書かれていなかったが、本来中立な第三者である筈の編集者の感情が文体に見え隠れする時点で相当な事をやらかしたようだ。

 その影響が、一部のプレイヤー主導で行われている無差別的な初心者不死族(アンデッド)プレイヤーへのリスキルだ。例の吸血鬼は強すぎて対処出来ないから、一方的に憂さ晴らしが出来る初心者をやろうぜって事らしい。本来はやらかした本人か吸血鬼(ヴァンパイア)を狙えばいいのに、無関係な初心者を狙うとはな。甚だ迷惑な奴等だ。

 次に、カルマ(善悪)値の問題だ。このゲームにはカルマ値が設定されていて、プレイヤーの行動如何によって増減するらしい。

 そして、これが一番ヤバい問題らしいのだが、不死族(アンデッド)のプレイヤーをキルするとカルマ値が何故かプラス方向に傾くらしい。恐らくこれはバグだろう………と、様々な掲示板にバグ利用は絶対に止めろと注意喚起されていた。

 この二つが合わさった状況がさっきのアレだ。

 つまり、この状況が解決しない限りログインしてもやる事が無いという事だ。

 甚だ迷惑な話だが。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 須くとは、「当然やるべきこと」や「ぜひともそうしたほうがよい」という意味をもつ言葉です。 もしも「すべて」という意味で使っているのであれば誤用のようです。
[一言] これはバンですね
[一言] 何一切の情報もなく開幕リスキルは初めてのパターンだぁ... 思い切りの良さ、気に入った
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