第6話 限界突破①
早朝。
俺はまたトレントを狩るため、根城を離れてトレントが集まっている区域までやってきていた。
『潜伏』で敵からは発見されないため、ゆったりとした気分でステータス画面を開く。
そしてゴブリンとトレントを倒したことで手に入れたカードを確認した。
装備に関しては槍や斧などの武器が手に入っていたが目新しい物は特にない。
だが、アクティブスキル『警戒』を新たに入手していた。
レア度・ノーマル ランクB 警戒Ⅰ
潜伏している敵を見つけることができる。
ただし潜伏スキルのランクと熟練度の方が高い場合、見つけることができない。
なるほど。
俺みたいに隠れている相手を見つけることが出来るスキルか。
手元に警戒のカードが4枚あるから、合成しておこう。
レア度・ノーマル ランクS 警戒Ⅲ
半径1キロ範囲の潜伏している敵を見つけることができる。
半径1キロか。
『鷹の目』のことを考えると、熟練度が上がればこの範囲が広がるのだと思う。
戦場に出る時は、常に使うようにしよう。
見えないところからドスンなんて、そんな情けない死に方嫌だし。
「お、クロスボウも合成できそうだな」
レア度・ノーマル ランクSSS クロスボウ+4
攻撃力・特大 スキル・自動装填
合成されたカードを確認すると、『自動装填』が追加されていた。
自動装填――
これまでは手に矢がリロードされていちいち装填しなければいけなかったのだが、これからは勝手に装填してくれるってことか。
うん。これは楽でいいな。
さらに効率よく敵を倒せそうだ。
「これ、また強くなってるなぁ」
俺は高揚しながら、ガチャの画面を開いた。
ポイントは300以上ある。
と言うことは、単純にガチャが300回以上回せるということだ。
ガチャからは、もう新しい種類のパッシブスキルが出ないようで、今までの物と同じカードが排出されていく。
全部やっていると時間がかかりそうなので100回ほどで止めておいたのだが、これでいくつかのカードがLRクラスに合成できそうだ。
LRクラスまでできたカードは――
HP増加(特大)
攻撃力増加が進化した『怪力』
防御力増加が進化した『鉄壁』
運強化が進化した『強運』
自動再生が進化した『神の加護』
毒無効
麻痺無効
魔力消費軽減が進化した『魔力消費0』
「おいおい……魔力消費0って……無限にスキルを使い放題ってことかよ」
変な笑い声が出る。
スキル使い放題って。
さらには『神の加護』――一瞬で傷を回復する。
これまた浮世離れしすぎのスキルだったので、何度も目をこすって確認した。
能力増加系に関しては、能力が3倍になるらしく一気に強さが加速している。
「…………」
急にこんなに強くなっていいんだろうか?
誰に対してかは分からないが、ほんのちょっぴり申し訳なく感じる自分がいた。
だが、手に入れてしまった物は仕方がない。
俺が後できることと言えば……熟練度を上げることぐらいか。
レベルはカンストしてしまっているのだから、これ以上の能力値は望めないだろう。
じゃあ早速、『弩』の熟練度を上げていくか。
俺は『鷹の目』と『警戒』スキルを発動し、物陰からトレントをターゲットしクロスボウを向ける。
「『トリプルショット』!」
スキル・トリプルショット。
クロスボウから放たれた矢が3つに分裂し、トレントの集団に飛び込んでいく。
矢は同時にトレントを3匹消滅させてなお勢いを失わず、計8匹を倒した。
「え……強っ」
なんて驚いている間に、クロスボウに矢が装填される。
かかった時間は――2秒。
熟練度が上がり、さらにリロード時間が短縮されている。
クロスボウに装填する必要も無くなりリロード時間も早いので、トレントを倒す速度が圧倒的に短縮された。
結局この日は、トレントの団体様を12も潰すことに成功。
◇◇◇◇◇◇◇
根城に帰り、またゴブリンを相手にする。
もちろん、攻撃は当てないように適当に。
山根さんは俺の命中率に呆れているようで、嘆息しながら俺に話しかけてくる。
「お前、いつまで経っても上手くならねえな……」
「中々難しいんですよ……」
手加減が。
「そうか。まぁそのうち慣れてくるだろ。というか、そんだけ外すんなら接近戦に切り替えたらどうだ?」
「接近戦ですか……」
やれないことはないだろうが……俺は慎重にいきたい。
クロスボウに関してはそこそこ自信があるが、近づいて戦うなんてまだ経験したことないからなぁ。
喧嘩もしたことないし。
『弩』の熟練度がマックスになったら練習してみるか。
仲間たちもほどほどに強くなってきたのか、ここ数日は楽にゴブリンを倒していた。
これからも俺は、支援しない後方支援で大丈夫そうだな。
戦いが終わり雑用も終わり、俺はステータス画面を確認する。
武器の熟練度はどうなっているのだろう?
島田 司
LV99
ジョブ 合成師
HP 1005(+2010)
MP 363(+182)
攻撃力 502(+1004)
防御力 363(+726)
敏捷 363(+182)
魔力 502(+251)
運 401(+802)
ジョブスキル
合成
武器スキル
弩 99
アクティブスキル
火術Ⅳ
水術Ⅳ
風術Ⅲ
土術Ⅳ
回復術Ⅳ
心術Ⅲ 2
鷹の目Ⅳ 99
潜伏Ⅳ 99
警戒Ⅲ 49
盗むⅣ
パッシブスキル
HP増加(特大)
MP増加(大)
怪力
鉄壁
魔力増加(大)
敏捷増加(大)
強運
神の加護
毒無効
麻痺無効
石化耐性(大)
混乱耐性(大)
誘惑耐性(大)
病気耐性(大)
魔力消費0
HP吸収(強)
高速成長
「…………」
俺は言葉を失った。
熟練度はどうやら99で最高らしい。
だが、熟練度が最大値まで到達していたことに驚いていたわけではなく、レベルがカンストしているのに能力値が上がっていることに対して衝撃を受けたのだ。
ステータス画面に今日の記録が残っているのだが、そこには『レベルアップしました』と言う文字がいくつも並んでいた。
表記レベルは99のままだが……レベルが上がり続けている。
自分のことながら少し怖くなりつつも、それ以上に圧倒的な好奇心が俺の胸を埋め尽くす。
これ、どこまで強くなるんだ?
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