第23話 トシマ③
「アジトって、ここからどれぐらいの場所にあるの?」
「歩いて1時間ぐらいだよ」
「1時間か……」
「真っ直ぐ歩いてね」
「真っ直ぐ?」
俺はこの中のリーダー格の男性、大和と話をしていた。
そして大和が言った、真っ直ぐの意味をすぐ知ることになる。
俺達は弁当屋や焼き肉屋跡がある二車線の道を進んでいたのだが、大和たちは物陰にコソコソ隠れながら、モンスターを警戒しながら目的地へと向かっていた。
なるほど。これだけ隠れながら進んでいたら、1時間どころの騒ぎじゃないな。
「潜伏スキルを使うよ。熟練度も高いし、みんなも姿を消して歩いて行けるからさ」
「え?」
俺が潜伏スキルを使用すると、オズオズと物陰から出て道を歩き出す大和たち。
まだ俺のスキルを信用しきれていないらしく、緊張した面持ちだ。
「こ、これ……本当に大丈夫なのか?」「そ、そうだよな。みんなに効果がある潜伏スキルなんて聞いたことねえしよ」「まさか、私たちを罠にはめようとしてるんじゃ……」
罠て。
なんでそんなことする必要があるんだよ。
俺のスキルを信用しきらない大和たちに対して、由乃が頬を膨らませていた。
「司くんのスキルはすっごいんです! 疑うのがバカらしくなるぐらい凄いんです! それでも疑う人は本当のバカです!」
一見大人しそうな由乃の言葉に戸惑う大和たち。
由乃は肩にかかった髪を手で払い、堂々と道の真ん中を歩き出した。
「ほ、本当に大丈夫なのか?」
「本当に大丈夫です。危なくても司くんが守ってくれます。大丈夫じゃない場合は、司くんを超える存在が現れるくらいです。なので心配など無用も無用。安全安心無病息災ですよ」
「俺でもさすがに他人の健康面まで見きれないから。ま、みんながモンスターに見つかることは無いと思うよ。敵が俺の潜伏を超える警戒スキルを持っていれば別の話だけど」
「…………」
俺と由乃は大和たちにアジトの方角を聞きながら先頭を歩いた。
相変わらず大和たちは、怯えた表情で俺たちについて来ている。
「あ、司くん」
「ああ」
歩いている最中、由乃がオークの群れを発見した。
青い顔をして廃墟に隠れる大和たち。
「どうせだから倒していくか」
「はい」
俺はオークを倒して経験値を得ると同時に、大和たちに潜伏の効果を確認させてやろうと考えていた。
オークは人間でも探していたのだろうか、ウロウロと周囲を見渡しながら歩いている。
俺は相手に接近し、拳を腹部に叩き込んだ。
爆散するオーク。
そこで俺はオークたちに姿を視認された。
「ほらほら。こっち来い」
オークたちは武器を振りかざし、俺を追いかけて来る。
途中数発喰らうも、ダメージは0だった。
自分の防御力がオーク相手でも耐えれるか試してみたが、何の問題も無かったな。
俺はそのまま由乃がいる場所まで下がり、大和たちに潜伏の効果を見せた。
由乃はオークに見つかることなく、大和たちに笑顔で手を振っている。
「マ、マジで大丈夫なのかよ……」「す、すげーな……」
目の前で由乃が認識されていない様子を見て、大和たちは建物からゆっくりと出て来た。
俺はそれを確認し、オークたちに攻撃を仕掛ける。
そろそろ次の魔術の熟練度を上げるか。
次は……風だ。
「『ウインドシュート』」
俺の右手から風の圧縮弾が飛び出す。
ボンボンボンと敵を破裂させていき、一撃で数匹のオークを仕留めた。
「ななな……もしかして、上級術とか?」
「いや。下級術だけど」
「「「……いやいやいやいや」」」
大和たちはみんな揃って否定するように目の前で手を振った。
また同じような反応してるな。
俺は嘆息しながら、再度『ウインドシュート』を放つ。
「グギャー!!」「バ、バケモノダ!」
次々に散っていくオークたち。
残り5匹になったところで、由乃が斧を振り回し始めた。
「後は私に任せて下さい! 私も強くなりたいので!」
俺は静かに首肯し、由乃の戦いを見守ることにした。
5匹いるが、由乃なら余裕で勝てるだろう。
俺は今のうちに、自分のステータスを確認することにした。
島田 司
LV99
ジョブ 合成師
HP 5000(+10000)
MP 1811(+3622)
攻撃力 2500(+5000)
防御力 1811(+3622)
敏捷 1811(+3622)
魔力 2500(+5000)
運 1984(+2896)
ジョブスキル
合成
武器スキル
体術 99
弩 99
アクティブスキル
火術Ⅴ 99
水術Ⅴ
風術Ⅴ 3
土術Ⅴ 99
回復術Ⅴ 5
心術Ⅴ 12
空間Ⅴ 2
鷹の目Ⅴ 99
潜伏Ⅴ 99
警戒Ⅴ 99
探索Ⅴ 99
盗むⅤ 99
「…………」
また能力が上昇していた。
コボルトキングを倒したし、コボルトも大量に倒したからか。
それにオークも少々。
俺はまるで新作のゲームを購入した時のように心を躍らせていた。
まだまだ天井知らずに強くなっている。
オークから入手したカードは……
アクティブスキルの『挑発』だった。
ヘイトを自分自身に集めて、仲間を助ける能力か。
これもあったら便利だな。
俺は一通り確認し、ステータス画面を閉じる。
すると由乃も丁度戦いを終わらせたようで、斧をしまって俺に笑顔を向けていた。
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