第14話 由乃の訓練②
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「ただのお荷物でしかない無能しの俺は最強パーティーを追放され殺害された。しかし気が付くと猫になっていて、『モンスターの力を吸収する能力』と『万物を強化する能力』に目覚めたら元仲間たちも引くぐらい最強に!」
もお願いいたします。
小説の下にあるリンクから飛べます。
SSR デストロイヤー。
特殊能力は持たないものの、純粋な攻撃力はSSRの中でも最高レベルの一品。
それは黒々として禍々しい斧だった。
サイズは由乃の体ぐらい大きく重いらしく、それを担ぐ由乃は、まだステータスが低いためにゆっくりとしか動けないようだ。
デストロイヤーを装備した由乃は猛威を振るった。
動きこそ遅いがトレントを一撃で難なく葬り、戦いに慣れてきた頃には3匹を同時に相手にしていた。
慎重派の俺からは考えられない行動だ。
やられる可能性はまだ無きにしも非ずだというのに、あんな強引に戦って。
と言っても、見ている分にはやられそうな雰囲気は全くないが。
「これぐらいの相手なら、もう楽勝ですね」
「楽勝かも知れないけど、油断はするなよ」
「油断なんてできません。すでに2回殺されそうになっているので」
コボルトキングの時と、コボルトリーダーの時か。
確かに楽勝だったが、相手を舐めてかかっているわけではない。
由乃は真剣そのもの。
どうやら殺されそうになった経験は生きているようだ。
「いつか全部私がモンスターを倒して、司くんを養えるぐらいになりますから見てて下さいね」
「……俺はヒモか」
そんな生活も悪くないかなぁ……
なんて一瞬考えるが軽く頭を振る。
俺だってまだまだ強くなりたいし、そもそも女の子を一人前線に出して後方から眺めているなんて俺にはできない。
あくまで由乃は俺のサポーターだ。
前線に出るのは俺。
できたら危険な目に遭わせたくはない。
もう2回も死にそうになっているんだから。
「……もう夕焼けですね」
「あ。もうそんな時間か」
由乃を連れていると、行動する速度が落ちた。
一人で走る方が速いのだが仕方ない。
この日は2組のトレントを倒すだけで既に夕方になっていた。
俺たちは近くにあるマンション跡を寝床にすることにし、適当な部屋に入る。
そこは4階部分の角部屋で、人が住んでいたのであろう、タンスやベッドそれに冷蔵庫などあらゆる生活必需品があった。
ちなみに冷蔵庫の中は空だ。
俺たちはテーブル席につき、由乃の手に入れたカードを確認することにした。
「あ、結界カードってありますけど、使いますか?」
生活カードの結界。
レア度はSR。
そんなに入手難易度は低くはない。
が、現在3枚あるらしいので、ここは使ってもらうことにした。
「ああ、頼む」
由乃はニッコリと笑い、結界カードを使用する。
するとドーム型のエネルギーが今いるマンション跡を包み込んだ。
「はぁ……なんだか久々に気を抜けるような気がします」
急にペタンと膝をつき、大きく息を吐く由乃。
だがすぐにハッとし、俺の方を見た。
「あ、ご飯用意しますね」
「いいよ今日ぐらい。由乃もこれまでだって……今日も初めての戦いで大変だったろ?」
「いいえ! 司くんの為なら大変だろうがなんだろうが頑張ります!」
俺は手を伸ばして由乃を止めようとしたが、それよりも早く彼女はテキパキと動き始めた。
カードから肉と米を取り出し、俺がいくつか渡した焚火と包丁と、細長い弁当箱のようなライスクッカーを使用する。
「あの、調味料もいただけますか?」
「調味料……どうぞ。後いる物は?」
「しいて言えば、笑顔ですかね」
「え、笑顔?」
「司くんの笑顔があれば、後100倍は頑張れます」
嬉しいことを言ってくれるが、それは見せるわけにはいかない。
程々にしてもらわないと、倒れてしまいような予感。
この子、倒れるまで頑張るタイプだと思うんだよな。
由乃はベランダで、米と水が入ったライスクッカーを木の枝などでを支え、器用に焚火に当てる。
さらに別の焚火を用意し、肉を焼き出した。
ああ。この子がいれば、ご飯のことには困らないわ。
なんというできた女性。
一家に一台ではないけど、いてくれたら本当に助かる。
「できました! じゃあ食べましょうか」
「ああ。いただきます」
目の前には美味しそうな焼き牛丼が用意されていた。
ホカホカのご飯の上に、美味くて甘そうな焼肉が豪快に乗っている。
見ているだけで涎が出てきた。
我慢できずに早速いただこうとしたが……お箸が無い。
カードから出したらいいか。
そう考えホルダーを出そうとしたが……あろうことか由乃が俺の丼を手にし、箸で肉とご飯を持ち上げる。
「あーん」
「あ、あーん?」
言われるがままに口を開けると、由乃は焼き牛丼を俺の口内に放り込む。
うん。肉のうま味とタレの甘みが合わさって、絶妙に美味い。
香りもよくて、匂いだけで食欲も増すというものだ。
だけど。
「……なんで自分で食わしてくれないの?」
「え? 司くんはそんなことする必要ありませんよ! 私が食事の用意も食事の世話もしますから!」
「いやいや。食事の世話は必要ないから。俺はまだ介護なんて必要じゃありませんから」
「……私が食べさせてあげたいんです。ダメですか?」
「うっ……」
ウルウルさせた瞳で、可愛い顔で、可愛い声で、そんなこと言われたら断りにくいだろ。
一人でガツガツ食べたいというのもあるが、なにより気恥ずかしい。
なのでここは遠慮願おう。
「で、できたら自分で食べたいんだけどなぁ……」
「…………」
ちょっぴり涙を目にためるものだから、俺は仕方なく折れることにした。
話し合いの結果一日おきに食べさせてもらうことに決まり、嬉しいのやら恥ずかしいのやら、今日はその後由乃に牛丼を食べさせられることになった。
やっぱり、なんだか恥ずかしいなぁ。
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