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カーム  作者: 井上翔太
2/2

訓練

二話目です。

「なぜ生きているカーム」

聡は固まった。

「答えろ!なぜおまえが生きている」

 聡は全く動かなかった。すると聞き覚えのある声が、聞こえてきた。

「さっちゃん」

 聡が少し首を動かすと、安藤の部下らしき男に晴美が捕まっていた。

「晴美!」

 聡は今まで出したことない大きさの声で叫んだ。

「うるせぇーよカーム」

安藤は聡にだけ聞こえるように、聡の耳の近くで言った。

「もし私の質問に答えなかったらあの女の首が飛ぶぞ」

「はい」

 聡は震えながら言った。

「じゃあ一つ目の質問、なぜおまえが生きている」

「分かりません」

 聡の体は震えていた。

「分かった」

安藤は聡の答えを責めなかった。

「二つ目の質問、昨日の夜を覚えているか」

「はい」

「分かった」

安藤はまた聡の答えを責めなかった。

「最後の質問、お前は人間か」

「はい」

「分かった・・・死ね」

 安藤は聡の額に拳銃を当てた。

「ちょっと待って、さっちゃんを殺さないで!」

 晴美は安藤の部下の手を放そうとするが、びくとんもしなかった。

「お前の言うさっちゃんはこいつじゃねぇ」

 安藤は、自分の部下と一瞬目を合わせた。すると安藤の部下が晴美のうなじを強くたたいた。そして晴美は気絶した。瞬間安藤は聡を睨み、拳銃を打とうとした。そのとき

「まぁまぁそう気を早くするな」

聡の後ろから、男の声がした。

「ボ、ボス!」

 安藤は驚いた表情をした。しかし、状況はすぐ把握した。

「ボス、気を早くするなとはいったい?」

安藤はボスに落ち着いて聞いた。

「聡君をカーム駆逐隊迎えようと思う。ちょうどあの役が開いているしな」

「そんなの危険です」

「まぁこの小僧の言っていることはわしには嘘には聞こえないのでな、まぁちょっとした賭けだと思ってやってみようや」

「ふざけないでください、あなたは人の命を簡単に賭けるのですか!」

安藤は激怒した。

「お前はわしの賭けが外れるとでも」

ボスが言った言葉で安藤は黙った。そして聡は安藤に、目隠しをされた。

「こっちに来い」

 聡は安藤の部下に腕をつかまれ、引っ張られた。


            十三時間後


「聡君着いたよ」

 聡が目を開けると、右手に袋を持っている若い男が立っていた。聡はベットに寝かされていた。

「ここは?」

「ここは君の訓練場さ」

 男は聡に優しく話した。

「訓練?」

「そう、訓練」

男は笑いながら答えた。

「いや、そんなことよりも、あなたは誰ですか、晴美はちゃんと生きているんですか、僕たちはちゃんと帰れるんですか?」

聡は早口で、男に問い詰めた。

「大丈夫大丈夫、そこまで焦らなくても君がおとなしければ。君たちに命にかかわることはしないよ」

聡は少し落ち着いた。

「僕の名前は小野和樹、君と同じカームさ」

「え!カームってことはあなたは人の寿命を食べているんですか?」

 聡は驚いたが、慎重に質問した。

「いいや、今は食べてないよ」

 小野は袋の中から何か取り出そうとした。

「じゃあなんで暴走しないんですか」

 聡は質問し続けた。

「それはねこのスナックを食べているからなんだよ。このスナックはカーム駆逐隊の皆さんが、何十年も研究を重ねてできた人の寿命と同じ栄養分を蓄えたものなんだ」

 聡は落ち着いた表情で、なとっくした。

「このスナックの名前ってなんですか?」

小野は首を傾げた。

「え?このスナックはこのスナックだけど」

「あ!このスナックっていう名前なんですね」

「よし早速訓練を始めようか」

「はい」

聡は頷いた。

「訓練の内容はこのスナックを完食することだ」

小野はこのスナックを机に置いた。

「さぁ座って」

椅子も引いてくれた。

「分かりました」

「じゃあ食べて」

聡はこのスナックの袋を開けて、おそるおそる口の中に入れた。

「うおぇ」

聡は机の上に、このスナックを吐いた。

「不味い」


「美味い」

「うん、じゃもう一回食べようか」

「はい!こんなうまい物初めて食べました」

 聡は笑いながら二口目を食べた。

「うおぇ」

聡はまたこのスナックを机の上に吐いた。

「どうしてだ!さっきはおいしかったのに」

聡は驚いた表情をした。

「やっぱり駄目だったか」

小野はがっかりした。

「駄目だったて、どういう意味ですか?」

「いやぁ~実は君がこのスナックをおいしく食べれたと思っているのは、僕が君の記憶を変えたからなんだよ」

「え!俺の記憶を変えたんですか?」

「そうだよ」

小野は笑いながら言った。

「それじゃあもう一口食べようか」

「嫌です!」

聡は小野を睨みつけた。

「うーんそうだなぁ・・・じゃあ君の好きな食べ物ってなに?」

「ハンバーグだけど」

 聡はツンとしていた。

「分かった、ちょっと待ってて」

 小野は左にあるドアを開きそのまま左の部屋に入っていった。すると・・・・

≪いや、なんで俺がカームである前提で話進めてんだよ。≫「俺は人間だーーーー!」

 聡は叫びながら、ブチぎれた。そのまま約二十分間ずっと聡は小野の愚痴を、小野に聞こえるように言った。そして左のドアから小野が出てきた。

「お待たせ、愚痴はもうすんだかい?」

「小野―――」

聡は小野に襲い掛かろうとした。しかし聡の動きは止まり小野が持っているものに食いついた。

「はい食べな!ハンバーグだよ」

 そう言いながら小野はハンバーグの乗っている皿を、机に置いた。

「いただきます」

聡はハンバーグを口に入れた。

「うおぇ・・・泥の味がする」

「あはは、君は泥の味なんて知ってるのかい?」

 聡はハンバーグを小野の顔に投げた。小野はそれを食べた。

「さすがこのスナックをつぶして使ったハンバーグ、うまい」

「この味が平気なのかよ」

「ま、僕も訓練したからね、て、そんなことよりも早く君もこのスナック食べれるようにならないと」

 小野はまたこのスナックを袋から出し聡に食べさせようとした。

「嫌だよなんで俺がそんなことしねーといけねんだよ」

「人の寿命を食べないようにだ!」

「俺は人の寿命なんて食ったことねーよ」

聡は小野の腕をつかみながら言った。

「はぁ~いいかいカームは、人間の食べ物に自分が完全コピーした人間、通称本体の寿命を無意識に張り付けて食べている、だがこのスナックは寿命の栄養があるから張り付けなくても食べれるのだ」

「でも俺はカームじゃねぇからそんなことしなくても」

「いや、カームは寿命から美味しさを感じとる、だからこのスナック不味い、しかしカーム以外の生き物が食べても普通にうまいのだ、もしこのスナックを不味いと感じたのならばお前は」

「それ以上言うな!俺は人間だ俺は人間だ俺は人間だ・・・・・・」

聡は頭を抱えながら言い続けた。すると小野が聡の頬を叩いた。

「いい加減自分を受け入れろ!お前はカームだ」


ご愛読ありがとうございましす。これからもよろしくお願いします

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