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バックトゥザ令和  作者: グレープヒヤシンス
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恋愛対象

「ねえ、少し二人で話したいんだけど。」

思い切って、花音を誘った。部屋ではエリーのチャチャが入るので近くの公園に行った。

「花音、実は僕、ずっと前から君のことが好きなんだ!今でも!」

駆け引きなんて出来ないから、ストレートに告白した。

「有難う、実は私も。」

これが普通の2人なら、めでたくカップル成立なんだけど、

「こんな姿になっちゃって戸惑っているんだ。一緒に銭湯に行ったり、布団を並べて寝たりって、罪悪感があるんだ。」

「私も平気で受け受け容れてる訳じゃないけど、今は何をしたらいいのか解らないから、この生活、この時代を楽しもうと思うの、普通の女子高生だったら、カレシとお風呂とか、お泊まりってあり得ないけど、私達には許されてるんだよ!ラッキーだと思わなきゃ!」

「一緒にお風呂って恥ずかしく無いの?」

「そうね、最初のハードルは一瞬躊躇したけど、エリーが背中を押してくれたから突破出来たよ、あとはへっちゃら!強いて言うと、女の子同士で、発育の差がありすぎてちょっと恥ずかしいかな?」

そう言って、両手で僕の膨らみを揉んだ。

「私の手じゃ溢れちゃってるね!凜達なら丁度いいかも?」

ドキっ!花音が揉んでも、多少くすぐったい程度でなんとも思わなかったのに、彼(女)等を意識した途端、背徳感と言うか、何か後ろめたい行為に思えてきて、違う感覚を味わった。花音を静止しようとする声が、微妙に震え、語尾が裏返った。

「もしかして、あの子達に揉まれてる妄想した?」

多分当たっている。でもソレじゃまるで、男になっているピーさん達を異性と言うか、恋愛対象には見ているみたいじゃ無いか?どうやって誤魔化す?

「向こうの時代でも、あの子達ってライバルだったのよね!」

僕の動揺を察知して、矛先を逸してくれた。僕が道場を継ぐ気が無いって言ったら、じいちゃんが、ピーさん達の誰かを僕のお嫁さんにして、道場を継がせたいって言ってたんだよね、きっとその事だろうな。

「道場を任せるならって、おじいちゃんはリーダータイプの凜、おばあちゃんが冷静な愛梨、お母さんはコミニュケーションが得意な菜々美推しなのよね、私は思いっきり圏外。」

「こっちの時代の英造さんも千鶴さんもそんな事言わないんだよね、やっぱり中学生がそんな事、考えたりしないか。大人になって家業とか考えるんだよね。」

花音は今からアピールしておこうと、ペロっと舌を出して笑った。

他愛のない話で笑っていると、

「ご飯だよ!」

老師が呼びに来た。

「正路とはドキドキエピソード無いの?」

「無い無い!正路とは無いよ!」

正路の方は、異性としての視線で、ちょっと気を使って欲しい位に見ているのには気づいているけど、対処方法が解らないので、気が付いていない事にしている。

「正路とは(・・)って、他の3人との事、しっかり説明してよね!」

続きは学校と言うことで、道場に帰った。


晩ごはんを食べていると師範が、

「当面の食い扶持は目処が立ったから、生きる為に稼ごうとはするな、小遣いの足りない分くらいにして、勉学や部活動を優先させなさい。」

まとまった額の臨時収入があったそうだが、詳細は秘密との事。あっちの時代のおじいちゃん(えいぞうさん)の話だと、今の師範の時代は結構貧乏だった筈なんだけどな。僕等のせいで歴史が変わったんじゃなきゃいいんだけどな。


 ピーさん達はバスケ部に入るそうだ。残念なのは、男子校な事。共学だったら体育館に女子が群がってドラマみたいになるんだけどね。僕等はもう少し考えてからにする。漫研なんかは、ちょっとムリっぽい。他にしたい事が見つかれば始めるし、なければ道場で稽古に励むのも悪くないかな?学校に行けない老師を放置しておくのも可哀相だしね。そう言えばエリーもあの姿で昼間に家にいる訳にも行かないよね?来年も、ここで暮らしていたら、エリーのランドセル姿が見られるかもしれないな。本人も、満更でもなさそうだ。


 食後、部屋に帰ると、

「じゃあ、公園の続き話そうか?」

エリーは僕等の手を引いて、僕の布団に座り込んだ。公園で話していた事は、盗聴していたかのようにお見通しだった。応援6割、冷やかし4割って感じで色々話し込んだ。いや、反対かな?

「そのドキドキって、恋愛感情はすっかり女子って事だよ、具体的に3人の誰かを好きだとかじゃ無さそうだけど、花音に想っている感情がずっと保てるかな?戻るまでは、親友って事で手を打っておけば?」

どう反応していいか解らないし、『僕達、これから親友です!』って宣言するようなもんじゃ無いし、恋人同士ってのもね?まあ、基本的に現状維持だね。


「あっ!」

急にとんでもない約束を思い出した。

「英太君が女の子だったら良かったのにね。」

 正路の家に遊びに行った時、正路のお母さんの呟きから始まった約束。

「バカじゃ無いの?俺って筋金入りのコミュ障だから、英太が女だったら友達になれる訳ないじゃん!」

自信満々に言い切る内容じゃ無いと思うけど、残念ながら正解だろう。

「じゃあ、これから女の子になったら、付き合って貰うように、今から告っときなさい!」

「そんなアホな事、あるかよ!」

「正路、そんな漫画が大好きでしょ?あなたが美少女でもいいかしら?」

親子喧嘩の論点が不思議過ぎてプっと笑ってしまった。

その後もお母さんは、

「もし、そんな事になったら、お嫁さんに来てくださいね、絶対に嫁イビリなんてしないから!」

 正路の部屋でゲームを始めると、正路の調子が悪く、考えられないようなミスを連発した。

「クソババアがアホな事言うから、なんかスランプ。」

僕は、正路のお母さんがそんな漫画を読んでいた事にちょっと驚いたけど、あり得ない設定なので、嫁入りの事も完全否定はしなかった。

「おばさん、面白いこと言うよね!流石に僕等が付き合うなんて考えられないよね!」

正路は、視線を合わさずに、

「もし、そんな事になったら、揉み放題ってどうだ?」

「揉むって?」

「・・・そ、そんなの聞かなくったって!」

正路は僕の胸を突付いた。かなり気持ちの悪い提案だけど、あり得ないことなので適当に流そうとナマ返事、

「放題はやめよう、1分だね!」

「じゃあ15分、生で!」

「僕が変身する前提になっていない?」

「いいじゃん、妄想させてくれよ!」

その後も条件を交渉し、『生で5分』に落ち着いた。

 あり得ない約束が、現実のモノになってしまった。

「あら、可哀相だね!こっちに来てすぐ、正路に会った時、いきなり発情するもんだから、菜々美の背負投げ喰らったんだっけ!」

エリーは、ちっとも可哀相だなんて思っていない顔で大笑い。

「僕、正路と話して来るよ。」

「約束、叶えてあげるの?」

花音は心配そうに聞いた。

「ううん、約束忘れていた事を誤って、改めて無かった事にしてもらおうと思って!」

「で、どうして脱いでるの?」

「どうしても納得してくれなかった場合を考えるとね、正路の前で外すのは、かなり恥ずかしいから、準備しておくんだ。」

2人は呆れた顔になって、

「相変わらず、義理堅いね。ただ恥ずかしさのポイントが微妙におかしい気がするけどね、そんなボリュームでノーブラなんて、凄い破壊力だよ!でも、まあいいか!そこまで覚悟してるんなら、揉ませてあげたら?」

エリーの提案で花音まで真っ赤になっていた。ここに居ては、永遠に弄られるので、無視して正路達の部屋に向った。

「老師なら、走りに出てるよ、そろそろ戻るかな?」

体育の授業も必要最低限しか動かなかった正路が、随分変わったものだ。外で待っていれば2人で話せるかな?

「おかえり、正路!」

「ああ、ただいま!あれ?もしかして、思い出したのか?あの約束。」

正路は耳まで赤くして、約束を履行する気満々のようだ。

「忘れててゴメン、セブンの背負い投げ喰らわせちゃったよね。」

「お詫びに15分に延長?」

「イヤ、無かった事にして貰おうと思って!」

「どうして?楽しみにしてたんだよ!」

「だって、恥ずかしいし、元に戻りたいから出来るだけ、女の子っぽい事したくないんだ。」

正路を説得しようと、タイムスリップと変身を振り返った。先の事を考えると悲しくなって来た。

「ゴ、ゴメン、あんなの冗談に決まってるだろ?」

正路の態度が急に変わり、オロオロして、周りを気にしていた。何が起きたのかと思ったら、どうやら僕が、原因だったらしい。頬に違和感を覚え、指で触ると、涙の伝った跡だった。

「俺、柔軟やってあがるから!」

そう言い残し、道場に駆け込んだ。


「いつの間に覚えたの?女の武器!」

部屋に戻ると、エリーのツッコミが入った。

「お勉強させて頂きました!」

花音にまで冷やかされた。

窓からずっと見ていたそうで、僕の女子力の高さを絶賛。褒められてもちっとも嬉しくないけど、貶されるよりはいいかな?気にしないでおこう。

「5分我慢して、エンドにしておいた方が良かったかもよ、ありゃ完全に落ちたね。モテモテだね!凜達は、牽制しあってるのか、遠慮しているのか動きが無いから、正路の参戦で火花が散るかもしれないね!」

エリーはやけに嬉しそうだ。娯楽が無いから、僕等で楽しんでいるんだろうけど、元の時代での、学校の『富山先生』も、道場の『絵里姉ちゃん』も、面倒見のいい、しっかり者。恋バナに参加する感じじゃないし、もちろん人の恋愛をネタに笑うなんて考えられなかった。そんな指摘をすると、

「だって、こっちじゃ、責任もシガラミも無いからね!しかも子供!向かう所敵無しって、私の事でしょ!」

そう言えば、道場では皆んなのお姉さんって感じで頼られていたから、そんな立場だと、堅目の態度が必要だったんだろうな。もちろん、学校では生徒を弄っている訳には行かないよね。日頃貯めていた鬱憤が今爆発?意地悪とかはしないし、微妙な限度を考えている所は、やっぱり姉ちゃんって、気がするな。

「エイミー、色々自覚しないと、後々面倒になりかねないから充分に注意してね!」

ちゃんとアドバイスもしてくれた。これからの事を考えると気が滅入るけど、いつかは元に、戻れると思って頑張ろう。気合いを入れたつもりが、また涙が頬を伝った。

「なる様にしかならないんだから、焦っても仕方が無いよ!」

そう言ってエリーは、ギュッとハグしてくれた。実際には、僕の膝に乗って抱き付いている様にしか見えないだろうけど、なんか落ち着けた。

「エリー、有難う、落ち着いたよ。」

エリーは膝から降りると、

「ハグでこんな感触だから、やっぱり揉ませなくて正解だったようだね!」

膨らみの先っちょをシャツの上から摘んで笑った。

「やっぱ、ノーブラはヤバいね!さっさと着けなさいな!」

「もう寝巻に着替えるよ!なんか疲れちゃった。」

それもそうだと、寝巻に着替えて電球の紐を引っ張った。

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