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バックトゥザ令和  作者: グレープヒヤシンス
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ラストスリップ

 残りの夏休みはあっという間過ぎて2学期が始まった、また大星に通う。まだ女子高のままで、菊池先生のクラスに編入した。いつもの様に、編入の洗礼?質問攻めにあった。今までとちょっと違うのは、携帯の番号とアドレスを聞かれる様になった事。一応、パソコンのメールはapril-1@×××××.jpで使える様にして貰っていたので、未開人扱いされずに済んだ。ほとんどとコが携帯かピッチを持っていて、昭和に慣れた僕には凄い未来に来たように思えた。元の時代は全員スマホだったのに、不思議な感覚よだね。

 もうすぐ始まる学校祭では、うちのクラスは演劇をする事になっていて、配役は既に決まっていたので、上手い具合に裏方に回る事が出来た。茶屋のクラスじゃなくてホッとして、無事イベントを乗り切った。

 中間試験では、ちょっと張り切りすぎたかな?秋の炊事遠足では、ノーマルにおイモとかが入ったカレーを作って、合唱コンクールもまずまずの順位で行事をクリア。まあまあ無難に毎日を乗り切った。これまで秋口にスリップしてばかりだったので、久しぶりに秋を楽しんだ。

 バイトはスポットでスーパーの棚卸しのをするくらいで、勿論部活もせずに帰宅部、道場で稽古したり、勉強したりで次のスリップを待っていた。1年生の範囲は暇にモノを言わせコンプしていたので、2、3年生の予習も一回りした所。だんだん寒くなって、期末試験が近付くとクラスの様子が変わって来た。朝、教室に入った途端に質問攻め。中間試験で結構派手な点数取った割に騒がれ無くって安心してたんだけど、ここ来ての大騒ぎ。いつもの様に自分のテスト対策にもなるので、休み時間も放課後も頑張った。

 丁度茂雄も光谷で同じ様な感じだったので、夕方までクラスで友達の勉強を見て、帰り迎えに来てくれる。教室の窓から校門が見えるので、茂雄が来ると解放してくれるのが暗黙のルール。お約束のように、『彼氏のお友達紹介して!』って話しになっちゃうけど、適当に躱している。そのうち強硬派が何か言って来そうな気がするのでちょっと落ち着かないな。葛根湯達が目立ち過ぎない匙加減を覚えた様で、キャーキャー騒がしい状態にはなっていなかった。微妙に探りを入れて来るコも居るので、一緒にお出掛けとか言われそう。その時にはまた正路達、協力してくれるかな?

 道場に帰っても稽古のあとは試験勉強。皆んな余裕みたいで、偶に解らない事を教えあったり、エリーが予想問題を出してくれたりして対策していた。


 いよいよ明日から期末試験。緊張もせずに登校。しっかり準備していたし、エリーの予想問題が結構いいところを突いていたので、サクサクを答案用紙を埋めて、サクサクと試験期間を消化した。

 最終日、午前終わりで道場に帰ると、見たことの無いおじさん?お兄さん?

「次のスリップは5日後だよ、準備しておいてね!」

差し出したIDカードには『坂下 雪雄』と記載されていた。2000年に一緒に来た時以来、姿を見せていなかったので、不思議に思っていたら、他の捜査で、別の時代に行っていたそうだ。スリップの際の変身で今の姿になったみたい。

「これがノーマルな俺かな?」

よくよく見れば、『雪さん』の時の面影はあるんだけど、無精髭にヨレヨレスーツからは、いかにもお嬢様って雰囲気は中々連想出来なかった。

 学校では、帰って来る答案でクラスを沸かせ、来週の球技大会のチーム編成で大騒ぎしていた。予想では、坂下さんの言う次のスリップで居なくなるので、球技大会には参加出来ない筈なんだけど、今から居なくなる宣言をする訳には行かないので、何となく話しを合わせて、取り敢えずバスケのチームに入っておいた。バイトの約束も無いので、先生にコッソリ報告して5日間を過ごした。


 当日は土曜日で時間までは解らなかったから、朝からスタンバイ。田中のじいちゃんばあちゃんも見送りに来てくれていた。

「次のスリップ先は、君達が産まれた後の可能性が高いから、エリーさんみたいにその時代の自分に融合すると思うんだ、どんな感じなのか解らないけど、そこがスリップの終点だと思う、レアケースなのであくまでも予想だけどね!」

坂下さんは、想定される出来事を色々説明してくれた。

 お昼になって、ちーちゃんが作ってくれたお弁当を食べた。いつスリップしてもいいようにと、寒空の下で頬張ったけど、まだそのままだった。ホントに今日なの?心配になった途端、あのグラリがやって来た。慌てて手を繋ぐと目の前が真っ暗になった。


 英太だった僕の記憶がドンドン流れて行った。忘れていた様な小さい頃の事や、気にも止めない様な些細な事なんかが頭の中を通り過ぎた。これって走馬灯ってヤツ?死の直前に見るってヤツだよね?大丈夫なのかな?僕。

 昭和44年の記憶、50年の記憶、平成6年の記憶、平成12年の記憶が順に流れて行った。

次回、最終回です!

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