表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バックトゥザ令和  作者: グレープヒヤシンス
41/60

ピーさんの推理

 何処の顧問だろう?文系かな?粘着しそうな視線が、スカウトに来ているとはっきり証明していた。今回ちょっと違うのは、どうも俺狙いらしい。

「葛西君、ちょっといいかな?」

駄目だとは言えない雰囲気で、他に選択の余地がない返事をすると、前の席に座った。

「学校祭の準備委員を探しているんだ、君に頼みたいんだ、放課後時間あるかな?」

「放課後、今日はバイトが有りますね、15分位なら大丈夫です。出来れば今伺った方が有り難いです。」

「ああ、率直に言うと、会長候補を探しているんだ、1年で準備委員、2年で会計か書記、3年で会長ってパターンだから困る事も無いから、心配無いし、、、」

昼休み一杯粘るんだろうか?色んなパターンでなかなか諦め無い。午後のチャイムでやっと開放された。

 生徒会の顧問の先生は、新卒で、何事にも一生懸命なタイプみたい、ラヴとセブンは、俺と似てるって言うけど、俺ってあんなに熱いかな?噂をしようとしていると、放課後も現れた。また猛アピールが始まるのかと思ったけど、おじさんの先生が助けてくれた。昭和44年にバスケ部に入った時の顧問だった。若い先生を追い払って、

「勧誘しないから、落ち着いて話をしたい、3人揃っている時に道場に行きたいんだが、今週末の都合はどうだ?」

2人と手帳を確かめて、土曜日の午後2時で約束した。3人とも4時半からバイトなので、最大でも2時間で開放されるもんね!

 

 土曜日、約束通り先生がやって来た。高橋先生は物理の先生で、昭和44年の時、二十台半ばに見えたから、四十過ぎって所だろう。師範を見つけ、

「先生、ご無沙汰しております、(はなぶさ)流でお世話になりました、高橋と申します。」

「ああ、タツオくんか?」

「はい、達夫です!」

師範が独立する前の生徒さんらしい。

 44年と50年に突如消えた俺達の足跡を揉み消してくれたらしい。前回再び現れた時、44年を知る先生方に、知らないフリをさせていたのも高橋先生の配慮だったそうだ。今回も数人俺達の事を知っている先生がいるだけど、前回同様見て見ぬフリをしてくれているらしい。

「またもみ消すのも大変だし、前の時代と比べ、カメラを手に入れ易くなったり、現像のコストが下がって写真がより身近に生って居るから、足跡だらけだろう?ずっと居て欲しいし、そう出来るのなら、生徒会長でも、部活でも頑張って欲しいんだがな。また数カ月できえちゃうんだろ?」

 先生は俺達が自由に時代を行き来していると思っていた様だ。事情を話して、次のスリップがいつなのかは解らないし、そもそも次が有るのかも解らないって伝えると、かなりガッカリしていた。

 物理の先生らしく、タイムマシンを科学的に語っていたけど、難し過ぎてさっぱり理解でき無かった。

 

 一応、またいつ消えちゃうか解らないので、公式に残る様な事は極力避ける様にして、部活もしない。ただし、バスケ部の練習には、バイトが無い日に参加する事になった。44年に俺達が参加して、全体のレベルがグッと上がり、以降全道大会の常連になったそうだ。また強くして、インターハイに届くレベルにして欲しいと言ってるけど、そんなにカンタンな事じゃ無いよね。

 元々の時代の事や、タイムスリップの事を聞かれ、当たり障りの無さそうな内容で答えておいた。

「じゃあ、僕よりも、谷川先生が聞きたい内容だな。」

 谷川先生は、国語の先生で、本名非公開のペンネームでSF小説を書いていると、噂されている。

「ナイショでSF書いてるのってホントだったんですか?」

「っん?あ、イヤ、よ、読む方だよ、SF読むのが好きだから、君等の事を聞いたら食い付くだろうと思ってね。」

高橋先生は慌てて否定するけど、どう見ても、バレバレだった。実は、平成では大御所SF作家でやはり、本名非公開だけど、元高校教師で、札幌出身の『後須戸(ごすと) 雷太(らいた)』プロフィールを見ると、谷川先生にピッタリなんだよね。映画化された『ミライ』って作品は、平成から昭和にタイムスリップした高校生が、元の時代に帰ろうとする話で、タイムスリップの科学的な考察は、さっきの高橋先生の解説にちょっと似ていたのは気のせいだろうか?それより、改めて思い浮かべた『ミライ』のあちこちに、俺達の体験に酷似した内容があったので、実は俺達がモデルだったのかもしれないな。

 先生は不完全燃焼って雰囲気で帰って行ったけど、俺達としては、先生達の不自然反応の原因が解ったし、今度消えた時も、学校の後始末も心配無さそうなので、有意義な家庭訪問だった。


「なあ、『ミライ』のストーリーって覚えてるか?」

バイトから帰って、ラヴとセブンに聞いてみた。

「確か、平成に帰った筈だよ!」

ラヴの記憶にセブンも頷いていた。

俺は頭の中を整理しながら、仮説を始めてみた、

「謎の美少女が、遺産相続の問題で従兄弟の両親の結婚を妨害する話だったよね?もしかしてさ!44年に現れた、雪ってコ、正路の従姉妹で、正路の誕生を阻止しようとしてたんじゃないかな?親父さんも、あの美少女も『坂下』だったよな?」

なるほど、日記に纏めておこう。


1986年6月7日(葛)

『ミライ』の作者、『後須戸雷太』は、光谷の国語の谷川先生らしい。しかも『ミライ』は俺達をモデルにしている可能性が高くて、作中の謎の美少女は、44年に道場に来ていた『坂下 雪』で、誕生を阻止されるのは正路だとすると、俺達の体験と物語のストーリーが合致する。正路の父さん母さんの結婚を護る事がが重要なのと、『坂下 雪』が目的を持って44年にスリップしたとすると、自分の意思でスリップできるのかも知れない。だとすると、帰る方法も知っていておかしくない。彼女に付いてもっと情報が欲しい。できれば接触して帰る方法を聞き出したい。


 師範に、44年の名簿を見せて貰うように頼んでみる事にして食堂に降りた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ