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バックトゥザ令和  作者: グレープヒヤシンス
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セブンの生活

 超人気シリーズになるゲームソフトが発売になっていた。中古の14インチテレビとゲーム機とソフトを何とか手に入れた。ブラウン管の画面に画素の荒い画像は、目が余計に疲れる気がするな。今日はピーさんもラヴもバイトなので、一人でゲーム三昧。レトロ感がたまらないけど、クラスメイトは最先端と感動していた。

 ガッツリ進んだ所で、二人が帰って来た。

「おっ、頑張ったな!」

昨日バイトが無かったラヴはもっと先に進んでいるので余裕の表情がちょっと憎たらしい。それでも、攻略情報を交換して盛り上がった。

 明日はピーさんがゲーム三昧の日で、多分追い越されるんだろうな。まあそれは、いいんだけど、明日のバイト、ゴールデンウィークに遊園地に行ったあのコ、島野さんと一緒なんだよね。入れ替わりで会うことは合ったけど、一緒に働くのってアレ以来初めてなんだよね。


 いつものように登校して勉強。部活のスカウトを躱して下校。宿題を片付けて明日の教科書を揃えてからバイトに出勤。

「おはようございます!」

なぜか24時間この挨拶。前はオーナーに注意される程の勢いで話し掛けて来たのに、『おはようございます』のあとは無言だった。

品出しやフェイスアップでなるべくカウンターから離れて仕事をしていた。

「えっ?一本ですか?」

タバコを買いに来たお客さんが一本(・・)欲しいって言って島野さんがフリーズしていた。

ああ、あのオジサン、1カートンの事を一本って言うんだよね、急いでハイライトの1カートンを渡した。前にも同じことでキレてたんだから一本(・・)が共通語じゃ無いって学習すればいいのにね。

 次に来たのは、聾唖者のお兄さん。必ずショートホープを2個買って行く。言葉にならない声と指差しでオーダーするので、ちょっと立ち読みして缶コーヒーを取ってレジに来るタイミングで先にショートホープを差し出すと凄く喜んでくれる。島野さんに伝えてバックヤードの仕事に戻った。そっちの仕事をやり切ってしまって、レジカウンターに戻った。

 また常連さんの来店。近くのタクシー会社の運転手さんが交代アケで毎回同じメニューを頼むので、顔を見たら作り始める事にしている。

「天玉そばと、天ぷらうどんにオデンの玉子入り出来ました!」

立ち読みしていたドライバーさんが発泡スチロールのドンブリを嬉しそうに受け取ってくれた。

「ねえ、湯原くん?ここのコンビニって小料理屋さんみたいな制度なの?」

「あっ、あのドライバーさん達って毎日同じ注文だから覚えちゃたんだよね!」

「で、貴方のお得意様ってあとどのくらいいるの?」

「今の人達だけだよ!」

「いや、一本のオジサンとか、ショートホープのお兄さんとかさ!」

「そう言われると思いつかないな、、、ああ、『赤1つ』ってラークがキャビン迷ったら、『赤って言えば、ラークに決まってるだろ!』って怒ったオジサンは覚えてるよ、あと、エコーのこと『オレンジ』って言うお兄さんもいたな。」

島野さんは驚きの表情で、他のエピソードをねだった。

「そんなに面白い話しなんてそうそう無いよ!」

「じゃあ、お店の人は?」

「オーナーはあの球団のファンだから、勝ったらビールを買いに降りてくるよ、今日もナイターあるから、もうすぐじゃないかな?シフトの変更を頼む時なんかは、スポーツ欄をチェックしてからにするといいよ。それから、いま丁度来た深夜の加藤さんは、寝癖の時が機嫌いいみたい。髪が整ってる時は寝不足らしいんだ。それからね・・・」

島野さんは、急に嬉しそうになって、

「湯原くんてさ、きっと皆んなに優しいんだよね?私に優しくしてくれるから、気があるんだって勘違いしちゃった。調子に乗ってゴメンね。」

「あっいや、気にしないで!遊園地楽しかったし!」

「湯原くんもそうだけど、あとの二人もね凄く男らしいのに、妙に女の子っぽい所あるよね、お姉さんとか居るの?」

「姉ちゃんって言うか、道場の姉弟子の影響はあるかもね、あっそうだ!学校のアルバムとかで昭和44年と50年に『四月一日 英美』『薬師 花音』『雨丸 マサミ』って人捜せないかな?」

「う、うん図書室にかなり古いのもあったと思うよ、貸出ししてるかは解らないけど見て来てあげるね!44年()50年なの?44年()50年じゃなくて?」

「あ、うん、無理しなくてもいいからね!」


 オーナーがご機嫌でビールを買いに降りてきた。

「勝ったんですね!」

「おう!アガリの時間だな、アイスでも喰うか?」

「ごちそうさまです!島野さんも選びに行こっ!」

アイスを食べながら、島野さんを送って道場に帰った。


「ただいま!」

大星の古いアルバムを調べて貰ってる事を伝えると、

「何か手掛かりになるかな?」

ピーさんは前のめりで話に乗ってきたけど、ラヴは、

「情報漏えいになりそうだな。」

とっても冷めていた。それもそうかな?


「ねえ、エイミー達がいつの時代に居るか解らないけどさ、令和に帰るのとエイミー達の時代にスリップするのどっちがいいと思う?」

話題を変えて見ると、ピーさんは即答、

「エイミー達の時代に行って、皆んな揃って令和に帰るに決まってるだろ!」

「それ、ズルいよ!究極の選択は二択なんだって!」

「俺も皆んな揃うのがいいな!でも行き先は令和じゃなくてもいいな、って言うか昭和30年辺りがいいかな?もっと遡って戦後すぐ位なら師範と同年代かな?令和に帰ったら愛梨に戻ると思うんだよね。セブンはどうしたいんだ?」

それも考えてたんだよね。まあ、選べる訳もないんだけどね。俺も、菜々美より隆雄の方がいいかな?

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