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バックトゥザ令和  作者: グレープヒヤシンス
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登山遠足

 織田先生が来て一週間とちょっと。今日は、登山遠足。前にいた時代では宿泊研修と登山遠足の補習として、土日の一泊で登ったんだよね。遭難しそうになってビックリだったけど、あの事件が織田先生の進路を決めたなんて、感慨深い話だよね。

 貸し切りバスで登山口まで行ってそこから歩いて登る。街中は結構変わっているけど、山に近づくと、(キチンと覚えている訳じゃないけど)殆ど変わっていなかった。登山道に入ってしまうと、6年前と、ほぼほぼ変わっていなかった。

 自己申告の体力別でAからCの3クラスに分かれていて、Aクラスは頂上まで、Bクラスは上の沼、Cクラスは山小屋のある下の沼まで登る。森先生はもちろんAクラス、織田先生もAクラスの引率に加わっていた。僕達もAクラス。マサミは即断でCクラスって言ったんだけど、僕と花音が頂上を目差すって言うと、あっさりAクラスに寝返った。

 ちょっとハイペースで登って、お昼を上の沼で食べる予定。他のクラスは下の沼でお弁当らしい。今のところは、このペースでも全然余裕だね。ガンガン登って山小屋で一休み。織田先生は、ストレッチや水分補給、カロリー補給等等、かなり専門的な指導をしていた。よく見ると、足元は普通の運動靴じゃなく、登山用の靴を履いていた。しかも、昨日今日履いた物じゃなく、かなり年季が入っていた。リュックは日帰りの割にはかなり大きめで、中身を聞くと怪我の応急処置の消毒液や包帯、ハチに刺された時の薬、熱射病とかで倒れた人ようのシートと日除けなどなど困った時グッズがこれでもかってほどに詰まっているそうだ。

「遠足で教師があたふた出来ないでしょ?」

大学に入ってから、森先生を師匠に、市内の中高生が登山遠足で登る山は全て制覇して、生息する動物の情報なんかも頭に入っているそうだ。笹薮にヘビを見つけても、

「毒は無いから平気よ!」

余裕綽々だった。

 お弁当の時間。予定通り上の沼まで来ていて、おにぎりを頬張った。森先生は6年前よりはちょっと進歩して、ピントは手動だけど、シャッター押せばほぼ大丈夫なカメラで何枚か撮ってくれて、織田先生は一緒に写ったりして、ちょっとだけ普通の遠足のようなほのぼの感を味わった。お昼にしては短い再スタートで頂上を目指した。

 頂上が近付き、視界が広がって来ると、6年前(体感では数ヶ月前)は急に湧き出した雨雲で遮られていた絶景が目に飛び込んて来た。1251メートルの頂上で記念撮影。ちょっとだけ休憩して下山。

「降りる方が危ないから、スピード出ないように気を付けて下さいね!」

織田先生は、的確なアドバイスをしてくれて、安全に降りると、Bクラス、Cクラスに追い付いた。

 実質Aクラスの体力がありそうなコでも、山小屋でのんびりしていた、体力温存組が、無駄にはしゃいでいて、走って降りたコが転んでしまった。織田先生はさっと近付いて、応急処置としっかりした口調でお説教。ヒステリックに声を張り上げることなく、危険性を解説。森先生より、先生っぽいかもしれない。転んだコは、膝を擦りむいたのと手首の捻挫。膝が軽症だっのでそのまま無事降りきって、遭難騒ぎにはならなかった。

 帰りのバスはおやつの話題で盛り上がっていた。44年の時は、元の時代で定番だったお菓子が発売前だっりして市場でガッカリした事も多かったけど、50年に来ると、大好きな『きのこマウンテン』が発売されたので、迷わずゲット。ホントは『たけのこビレッジ』がチョコが多目で1番好きなんだけど、そっちは見つからなかった。少し遅れて発売なのかもしれないな。

 花音は、『チョコビスケットパイ』がお気に入り。元の時代ではいろんなバリエーションがあったけど、1番好きなタイプがオリジナルらしく、この時代にもあった。ふかふかのマシュマロをビスケットで挟んで、チョコレートでコートしている。2つに割った時、マシュマロがニュっと伸びるのがたまらないそうだ。ここがクリームのタイプは、あっさり割れてしまうのが趣に欠けると力説していた。

 マサミは『ブイチュウ』。44年には『ガムチュウ』という、(たぶん)リニューアル前のお菓子があったけど、元の時代の味に格段に近付いていると満足そうに齧っていた。

 朝も思ったけど中心部に近付けば近づく程、車窓からの景色がかなり変わって見えた。もちろん場所によっては差があるけど、たった6年で随分変わって見えた。もしかしたら、これからの44年で変わる分より大きく変わったかもしれない。途中、大通と札幌駅で遠くから通っているコを降ろして、前の時代には無かった区役所や高層マンションを過ぎて学校に到着。一部の部活のコ以外はそのまま下校。ラッキーな事に、水曜日でスーパーがお休みなのでバイトは無かった。時間もギリギリだし、これからバイトだったら大変だったね。3人でおやつ談議延長戦をしながら、のんびり道場に帰った。

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