表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バックトゥザ令和  作者: グレープヒヤシンス
25/60

マサミの変身

 女の子になったマサミは、お洋服には興味は示さず、老師の時の作務衣のような格好で過ごしていた。ちーちゃんは古着が有るって言っているけど、ほぼ無反応。文句も言わないので、ちーちゃんセレクトに着替えさせた。

「髪も少し切った方が可愛いんじゃない?」

エリーがハサミを持って来て、ショートが似合いそうだと奨めたが、

「ツインテールにしたいから切らないよ、前髪だけお願いするよ!」

お洋服には全く反応しないけど、ヘアスタイルには拘るんだね。正路の時はただ無造作に伸ばしてって言うか伸びていた。老師の時は、ビシッとオールバックにして後ろで縛っていたので、前髪を作って、少し整えただけで、僕がエイミーになりたての時よりは女子っぽく出来上がっていた。


 取り敢えず、外出しても大丈夫な感じになったので、制服を買いに出掛けた。僕達の時は、街中迄出掛けたけど、学校の近くに出来たショッピングセンターで買える様になっていた。資金は老師が電器店で稼いだ分と高値になるのを見越して買っておいた、記念切手を売って賄った。高給取りだった老師は、価値が半減してかなりガッカリ。小遣い程度の僕らはダメージは少ないかな?

 令和の時には入った事なかっな。区役所の側なので見た事はあるけど、普通のスーパーだったような気がするけど、中に入ってみると、大きな吹き抜けがあって、オシャレなテナントも入ったショッピングセンターだった。セーラー服に興奮するかと思っていたマサミは意外と冷静で、

「着るもんじゃなくて、観るもんなんだよね。」

ボソッと呟いてサクサクサイズを合わせた。

 ちーちゃんも付き合ってくれていて、今度の時代に合ったお洋服を買ってくれた。

「私、今はちゃんと働いてるから、気にしないでプレゼントとして受け取ってね!それにこうなればいいって、準備してたのよ!」

有り難く頂いて、着替えてから帰った。持っている中では長い部類のワンピだったけど、周りのお姉さん達と比べると、かなり短くて、女性でも二度見は当たり前って感じ。プールに行った時にビキニが少数派だった時よりも、露出へ強く反応された気がしたので、長いスカートは必需品だった。

 商店街を辿って、数件回り、日用品なんかを揃え、道場に帰った。

「貰い物ばかりだけたど、あなた達が帰って来た時に着られそうなのを残しておいたの。」

ちょっとした古着屋さんの様になっていた物置で、ちーちゃんの着せ替え人形にされた。平日は、制服で充分なので、当面の被服費は心配無さそう。


「ただいま!」

ゾウさんが、葛根湯達を引き連れて帰って来た。別行動だったけど、洋服を買いに行っていたようだ。

「一緒に行けばよかったのに!」

僕が残念がると、

「お姫様のお供は大変だからね、遠慮させて貰ったよ!でも早くてびっくりだよ!」

ゾウさんが笑った。女子のお買い物は時間が掛かると敬遠したらしい。今日は、主役のマサミが女子的な買い物パターンじゃ無かったので、サクサク決めて釣られて僕らもさっさと決められたような気がするな。

 葛根湯達は揃ってデニムを穿いていた。Gパンと言うのが、この時代のスタンダードらしい。

「やっぱり、そのままね!切ってない!」

ちーちゃんは3人のGパンの裾を確かめて笑っていた。


 制服の準備も出来て、翌日から学校に通う。マサミには、学校祭の時みたいにはしゃがないように釘を刺しておいた。

「流石にそこは(・・・)心配しなくていいって!」

マサミは断言するがそこは(・・・)にチカラ入ってない?そこんとこ突っ込むと、

「いや、なんつうか、更衣室とか平静を保てるのか自信無いな。」

花音はあきらかに変質者に対する視線で、

「別の場所で着替え出来ないかな?」

マサミは不服そうに、

「え?エイミーは一緒で問題無いんだよね?」

花音はキッパリ、

「エイミーは、極力見ないように努力したり周りに対する配慮が感じられるんだけど、マサミの場合、完璧女装のノゾキって感じだから、二人は同じカテゴリじゃ無いわ!」

マサミは、凹みながらも、

「言われてみたらそうかもね、これからこのカラダ出来ない過ごすんなら、慣れなきゃなんないよな。」

でも、どうやって?マサミが目で訴えて来た。

「じゃあさ、お風呂行こうか?銭湯。」

「うん、行く!」

僕の誘いにマサミは即答した。花音は躊躇っていたが、

「2人で行って来るよ、エイミーはどうか解らないけど、英太としては、俺と薬師が一緒に風呂なんてあり得ないだろうからな。」

正直なところ、言い辛かった事を言ってくれて助かった。きっと顔に出ていたんだろうな、

「そして、道場の風呂じゃ無く、銭湯を選んだのは、密室で俺と全裸でいる事に身の危険を感じたんだろ?」

犯人を言い当てる名探偵みたいに、マサミは演説した。

「それもあるけど、早く行くよ!」

急いで部屋に戻った。


 銭湯に着くと、マサミはさっさと脱いで、タオルを縦にして前を隠した。僕は、エリーに習ったようにタオルを取り上げ、

「女湯のマナーだよ。」

全裸になったマサミは、永年の習性で手で下だけ隠したけど、鏡に映った自分と目が合ってフリーズしていた。

微妙な雰囲気で、僕や他の入浴客を見る事もしないで、黙々と洗って、さっさと済ませてしまった。


 帰り道、マサミは神妙な雰囲気で、

「なんかさ、女子って不安だよな、上手く言えないけど、女子の防衛本能みたいなのが解った気がするよ。エロい事ばっかり考えていた正路が性犯罪者に、思えるよ。」

この調子なら、学校で騒ぎを起こす心配はしなくてもよさそうだね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ