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バックトゥザ令和  作者: グレープヒヤシンス
23/60

2度目のタイムスリップ

 学校祭が終わり、気の抜けた学校生活が続いた。キャメル工場もビール工場も夏休み頑張った分って言うか、夏休みバイトに出ていなかった人達が入りたいとの事で、9月は予定無し。手持ち無沙汰にしていると、

「平成のエイミーに貰った紙袋開けよう!」

エリーが思い付いて、箪笥から持って来た。葛根湯達も呼ぼうと思ったけど、中身を下着と予想していたので、花音と3人で開けた。

「やっぱりね!Fカップね?また成長したもんね!」

エリーは僕のサイズを両手で確かめて、着替えるよう勧める。

「可愛い!」

花音もファッションショーをリクエストした。同じサイズのがもう1着と、Cカップが2着それぞれ上下セットだった。

「こっちは誰の?私にはちょっと大きいよ?」

ちょっと(・・・・)?」

エリーが意地悪にツッコミを入れた。

「私が入れてたアレ使ったら?」

花音はプッと膨れて、

「ガキンチョが生意気な事いわないの!」

キャッキャとふざけ合って、同封の手紙を読んだ。


『昭和のエイミー様

学校祭は楽しめましたか?

学校祭の次の日曜日の午後6時、タイムスリップが起きます。着ている物や手に持っている物、リュックや肩掛けカバンは持って行けるので貴重品はしっかり準備してね!

道場の裏に7人手を繋いで時間を待っていてね、はぐれると面倒だからね。

素敵なタイムスリップを楽しんで下さいね!

平成のエイミーより』


 えっ?今日だよ!あと1時間も無いじゃん!!

男子部屋に行って事情を話し、セブンは老師を迎えに電器屋さんに走った。

 どの時代に飛ぶのか解らないので、教科書類と着替えをパッキングして、ゾウさん、ちーちゃん、師範に挨拶しようとしたが、普段は居るはずの時間帯なのに3人とも見当たらない。急いで手紙を書いて、帰って来た老師と道場の裏に走った。着替えなんかそれ程無さそうなので、身軽だと思っていた男性陣はみんな大きな荷物を担いでいた。

「これ?ああ、老師の荷物だよ!」

ピーさんが笑って答えると、

「レトロブームで高い値が付くんだ!」

老師の鼻息は荒かった。


 あと5分、段々緊張してきたので、深呼吸。

「どんな時代に行っても頑張ろうね!」

エリーが皆んなに声を掛けると老師が、

「実は、4人で相談している事が有るんだけどね。」

言いづらそうに切り出した。

「前の時みたいに変身してさ、もし男女分かれたら、30分触り放題って約束したんだ。エイミーって言うか英太と約束の時は、あり得ないと思っていたし、強引に押し切ったから、あきらめたけんだど、今度は4人で合意の上の約束だから干渉無しだからね!」

老師の執念にも驚いたけど、葛根湯達が合意したのは、もっとビックリだね。


 ぐらりと、揺れ気を失う。


 元の場所で目を覚ました。7人で輪になって手を繋いで、右手にはエリー、左手には知らない女の子。葛根湯達と花音は昭和44年のまま、エリーは更に幼くなったんじゃ無いかな?と言う事は、左手の女の子って老師?正路?

 周りの景気は、前回程の様変わりって程じゃなく、住宅の間に有った玉ねぎ畑が減って、そこに家が建っていたのと、廃材で出来ている道場にブルーシートが貼られていた。事件現場って言う訳ではなく、隙間風対策だよねきっと。道場を建て替えたのは1977年で昭和52年の筈なので、それより前で昭和44年から52年の間で、道場の老朽化の具合から、52年寄りじゃないかな?あと、年単位でスリップする訳じゃ無い様で、花壇にはチューリップが咲いていた。終わりかけなので5月後半かな?

 師範、ゾウさん、ちーちゃんは元気にしてるかな?表に回って道場を覗くと、グッと背が伸びて、アスリート体型になったゾウさんが子供達に稽古を付けていた。

「おっ、エイミーお帰り!懐かしいな、6年ぶりだな!ってもしかして、一瞬で来たのか?」

「って事は、昭和50年?あちゃ最悪。」

老師、いや正路?がガクリと膝をついた。正路のご贔屓球団は、前の年10連覇を逃し、超スーパースターが引退して、即監督に就任したんだけど球団史上初めて最下位になったシーズンとの事。

「えっ?もしかして老師?」

ゾウさんが驚いていると、ちーちゃんが、やってきて、

「お帰りなさい、お部屋はそのままにしてあるからね!今夜はカレーよ、ごはん、足りないわね、追加で炊かなくちゃ!」

ちょっとだけ背が伸びたちーちゃんは、身長以外ですっかりオトナになっていた。ハタチだもんね。

 さっき慌てて荷造りした物を6年ぶりに部屋に戻す。こうなるなら、部屋に置いたままでも良かったんじゃないかな?カーテンを開けようとしたら、カーテンレール代わりのプラスチックのクリップが風化していたようで、ボロボロと崩れ、カーテンが落ちてしまった。持出さなかった物は6年分の経年劣化している様だ。ただ、キレイに掃除してあったのに驚いたのと、裸電球から蛍光灯に変わっていて少し時代が進んでいるのを実感した。

 荷物も片付いた頃、ピーさんがやってきて、

「老師の部屋、こっちでいいよね?老師は今まで通りでいいって言うんだけど、そう言う訳にも行かないだろ?」

「オッケー、席替えしなくちゃね!」

エリーの指示で荷物を移動。奥から花音、僕、エリー、正路。そんなに荷物も無いのでサクっと完了。

 葛根湯達が、正路の荷物を運んで来た。

「お宝はあっちの押入れに入れて置くよ、女の子の方が、荷物多いでしょ?」

荷物と正路を置いて、3人は男子部屋に帰って行った。

「ねえ、名前どうする?呼び方決めようよ!」

花音は、提案しつつ、何か考えていた。

「ああ、それなら『マサミ』って呼んで貰おうと思ってたんだ。もし変身したらって、考えてたんだよね!」

「いいね、判り易いし呼び易いよ!」

僕が納得すると、マサミは、

「マサミ()の、()○コが無くなって、マサミ!」

「オヤジギャグはいいから、ちょっと見せなさい。」

エリーはマサミの新しく出来た膨らみを確かめて、

「うん、このサイズ!平成のエイミーからプレゼントだって!」

マサミは受け取った紙袋を覗くと、何の動揺もせずに取り出し、シャツを脱いで器用に着けていた。

「外すのは、何千回もイメージトレーニングしていたけど、着けるのは考えて無かったな、思ったより簡単だな!よし、今のうちに触られて来るよ、あとになって女子の暮らしに慣れたら、羞恥心も女子になると触られたくなくなるかも知れないだろ?」

そう言って、下着姿で男子部屋に行ってしまった。

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