学校祭
久しぶりに登校すると、ちょっと懐かしい顔が、ちょっとオトナに見える気がした。金髪とかメイクとか派手な変身をしたコは見当たらない。時代なのか校風なのか判らないけど、安心出来る感じで良かったな。
早速、学校祭の準備で盛り上がっていた。文化系の部活は夏休み中も頑張っていたそうだ。僕らもお茶のお稽古頑張っていたよね。本職の茶道部に混ざって本格的なお稽古が始まる。前よりは脚の痺れにも強くなったので、ちょっとは楽しくなって来ている。
茶屋の準備も手伝いながら、あっという間に学校祭。金曜日は固めなメニューを体育館で過ごし、茶屋と野点は土日に開く。
さて、土曜日。和服に着替えて出番を待つ。茶屋でお団子でもって誘われてもちょっと緊張して落ち着かないのでパス。
「出番だよ!」
最初のお客様は、校長、PTA会長等々息の詰まりそうなラインナップだった。更に緊張したけど、お稽古通りにおもてなし。なんとかクリアするとホッとして、一気に脚が痺れた。次の出番まではちょっとあるので、他の展示を見て回った。着物姿でウロウロすると、皆んなが一生懸命準備した展示より目立ってしまい、気の毒なので、そっと撤退した。
「四月一日さーん!写真部です!今日は奮発してカラーフィルム入れてます!是非、撮らせて下さい!」
カメラマン達に囲まれてフラッシュを浴びた。目がチカチカしたままなんとか逃げ出して、茶屋に戻った。ちょうど出番だったので、また頑張った。今度は他校の生徒会の視察との事で、生徒会長が案内していたお隣の幌斗女子と丁香女子の御一行様。花音の時は、普通の生徒だけだったみたいなので、よっぽどクジ運が悪いのかもしれないな。
午後、もう一度出番が有るので、お着物のまま。学校祭といえば、模擬店グルメが大きな魅了だけど、シミを付けちゃ不味いので、おにぎりで我慢。茶屋の隅っこで食べていると、先生達が大騒ぎで走って来た。
「アポロ病かもしれない!」
さっきもてなしたお客様の1人が急に目が痒くなり、真っ赤になったそうだ。アポロ病って言うのは、出血性結膜炎らしいんだけど、ちょうどアポロ11号が帰還した時期に流行したため、月からウイルスを持ち帰ったと思われていて、話に尾ヒレが付いて、地球の薬は効かないとか、人類滅亡とか大騒ぎしていた。実際には月とは無関係だったんだよね。
「君、大丈夫か?」
「ええ、潜伏期間を考えたら、今は判断出来ないですけどね。どうしてアポロだと思うんです?」
「幌斗女子の生徒会長が、発症したんだが、昨日来たアメリカのポートランドからの短期留学生徒と一緒にいたらしいんだよ。」
「昨日の今日なら、アポロじゃ無いですよ、潜伏期間5日から14日の筈ですよ!」
良く良く聞いてみると、学校で結膜炎が流行っているそうだ。元々世界的なデマなので、先生まで踊らされちゃうのも仕方がないのかな?
デマは落ち着いて、学校祭の中止は免れた。野点の出番を終え、茶屋でお団子を頂いて一日を終えた。かなりクタクタだけど、充実感たっぷりだった。明日は野点の出番は無いので、のんびり楽しめるかな?
翌日は、出番が無いのでリラックス。制服のままなので、模擬店グルメが楽しめそうだね。午前中出番が残っている花音の和服姿を眺めていると、
「そんなにウットリして花音を見つめるこら、百合っ娘に狙われるんだよ!」
むっちゃんのツッコミは、身に覚えが有るので、一応気を付けておこう。
エリーと老師が来たので、花音の出番の野点を勧めたが、面倒だと茶屋のお団子になった。
「エイミー!そのまま?」
エリーのリクエストで、茶屋の娘衣装に着替えさせられた。ちょうど混んで来てそのままヘルプを続ける事になった。ちょっと空いて来た頃、他のコが交代時間だったので一緒に上がって、花音の上がりを待ってエリー達の案内をした。
老師は初の女子校潜入にかなりのハイテンション。見掛けがおじいちゃんなので、笑って済まされているが、中身を知ってる僕等から見ると、普通の変態だよね。でも3次元の女の子に興味を持つのは、ちょっと進歩かもしれないな。
一般のお客様は3時で帰して生徒だけで閉会式、さらっと終わると思ったが、表彰式があるそうだ。誰がどうやって選ばれたのか解らないが、お祭りっぽくていいのかな?何人か呼ばれて、最後の1人になった、
「昭和44年度、ミス大星は!四月一日英美さんです!」
あらら、百合っ娘ちゃん達のしわざかな?
「アポロのデマから学校祭を救った落ち着きに、私も一票入れました。」
校長まで投票権あるんだ?表彰状は貰ったけど、副賞や特典は無いらしい。イベントに引っ張り出される事があるそうなので、正直迷惑な話だが、元々戸籍も無い僕らを受け入れて貰っているので、まあ恩返しかな?クラスの皆んなが喜んでくれているので、良かったって事にしておきましょうか。お祝いムードで学校祭を締め括った。




