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不死身の少女とSCP  作者: 白髪 九十九
カオス・インサージェンシー編
47/80

Case43 お前の電子レンジの中にはスズメバチがいるし、今まさにお前を刺している

地下室 隠し通路

あの後、メリーに教えてもらって近くの適当な防護服を着た私は地下通路を進んでいた。

道は複雑に枝分かれしている。


「これ……どこに繋がってるんだろ」


先程から適当に進んで入るが、どこにも出口は見当たらない。


「……シャネルさん大丈夫かな」


むしろ私の頭の中はそれでいっぱいだった。

あのペストマスクの男。

なんとなくだが嫌な予感がしたのだ。


「白髪の女。光が見えるぞ」


胸ポケットのSCP-120-JPの声に頭を上げるとそこには確かに薄らと光が見えていた。


「あれは……ダクト?」


地下室からやってきたのに地上のダクト。

気づかないうちに登っていたのだろうか。

確かに道は僅かながらに坂になっていた。


「とりあえず降りてみる」


私は鉄格子を外し、部屋へと降り立つ。

その部屋は水道や冷蔵庫。電子レンジなどが配備してあり、所謂キッチンとなっていた。


「なんだろうここ。とりあえず外に…ん?」


右手の二の腕に痛みが走る。

とはいっても銃弾や斬撃に比べればいたって小さな痛み。

思いっきりつねられたような感じ。


「いったぁ……なにこれ?」


私が自分の二の腕を見ると、そこは赤く腫れ上がっており見るからに痛々しかった。


「虫?」


しかし、あたりを見渡しても虫の姿なんて見えない。

白い清潔感のあるキッチンがあるだけだ。


「いっ……!また……!」


次は右の足。

先程のマイクとの戦闘で破けた右足の部分が赤く腫れている。


「なにこれ………うっ…!」


急に私の体が熱くなる。

心臓の音が大きくなり、身体の熱が急激に失われていくのを感じる。


「な…なに……?」


痛み。身体中を駆け回る痛み。

毒……?

わからない。けど身体中が痛い。


「………が……ぁ……」


あまりの痛みに気を手放しそうになる。

そして、私の足に3度目の痛みが走った。


「……あ………あ……?」


その痛みは先程のものとは違う。

針を刺したようなチクリとする痛み。

まるで注射のような…。


「注射だよ。解毒剤の」

「……だ……え……」

「とりあえず外に出よっか」


その人は私を背負いキッチンから外へと出る。

その人はキッチンとの扉を固く閉めると私を壁にかけ、水を飲ませてくれた。


「あんまり動かないで。薬の回りが悪くなるって……なんだ、SCP-________かよ」

「………王?」


そこにいたのは王 軍陵。

財団のエージェントの一人だった。


「呼び捨てかよ。ひどいなー」

「な、なんでここに!」


確か、王はクリスと一緒に西側にいたはずじゃ?


「クリスとは別行動中。あいつKeterクラスにタイマン張っててさ。馬鹿だよね」

「タイマンって……クリスは無事なの?!」

「さぁ?何?もしかしてクリスの事好きなの?」

「ぶっ飛ばすぞ」


いくらクリスといえどKeterクラスとタイマンで戦えるものなのか?

確かに、Keterっていうのは収容難易度であってオブジェクトの直接の強さではない。

けど、Keterクラスには凶悪なSCiPが多いのも事実。


「ていうか、ここはどこなの?」

「ここはカオス・インサージェンシー日本支部の中央施設……あ、もう動いて大丈夫だよ」


私は腫れていた右手をブルンブルンと振り回す。

確かに、もう痛みも感じない。


「あれってなんだったの?」

「恐らくだけど、透明な蜂とかじゃないかな?試しにもう一回刺されてくる?」

「嫌だよ」


透明な蜂……アナフィラキーシーショックか。

テレビで見た事がある。何か二回刺されると死ぬ可能性があるみたいな。


「待って。何に刺されたかもわからないのに注射打ったの?」

「多分蜂だろうし、蜂の毒に効くやつを」

「適当すぎない?!」

「どうせ死なないしいいじゃん」


本当にこの男は……!


「とにかく、あんまりここで道草食ってる暇もないんでね。僕は行くけど君は?」

「私だって好きで道草食ってるわけじゃないので行きますけど?」


この人と一緒嫌だなぁ……とか思いつつ。

でもエージェントである以上、一緒に行動した方がいいことは事実。

渋々と私は王について行くことにした。



********************



「あんまり暴れないでくれ」

「はいそうですかって止まると思う?」


施設の北。

SCP-049と対峙したシャネルは苦戦を強いられていた。


とにかく数が多すぎる。

SCP-049の操る死体は三十人ほど。

逃げつつ銃で足を狙っても動き続ける。

それに…!


「たぁぁぁぁ!!!!」


この死体、一人一人の身体能力が高すぎる。

一般のエージェントクラス。いやそれ以上だ。

相手は死体。打撃も銃弾も効かない。

本体を叩こうにも奴の手に触れた瞬間アウト。

それに、そもそも近づけない。

さらに悪いことに……


「不味いね…」


先程から動きを止めていた像までもが動き出した。

所詮は火炎瓶。すぐに火なんて消える。

一回の接触なら服を奪われるだけだが、二回目はやばい。即死クラス。

生きていたとしてもまともに戦えないだろう。


「どうしてこんなにも戦いにくい相手が来るかな……」


シャネルはSCPへの対抗策として武道を鍛えた。

しかし、それでも敵わない奴らはいた。

霊体や呪術の類だ。

それに対抗するために知識も学んだ。

だというのに。


「本当に…運が悪い!」


シャネルは近づく死体を蹴り飛ばし壁にぶつける。

着実に近づいてくる死の感覚。



シャネルはゆっくりと瞳を閉じる。

しかし、決して諦めたわけではない。


シャネルは生き残る方法を考えていた。

*御館 友梨のSCP勉強のコーナー*


「このコーナーでは、私、御館 友梨が画面の前の皆様と一緒にSCPを勉強していくコーナーです!今日の先生はこちら!」


「シャネル・カールです。よろしくね」


「シャネルさん!よろしくお願いします」


「今回紹介するのはSCP-1155『人喰いストリートアート』オブジェクトクラスはKeter」


「Keter……ですか……」


「SCP-1155はオブジェクトクラスだけじゃなくその異常性も凶悪なんだよね。SCP-1155は筋肉質な梟のストリートアートで人に襲いかかるようなポーズをしているの」


「うわぁ……不気味」


「しかも眼は人を追いかける」


「怖?!」


「まあ、それだけなら普通にお化け屋敷にありそうな感じなんだけど問題はその後。この絵を見た人はもっと近くで見たい衝動に駆られて、近づいたところを襲われるの」


「絵が襲ってくるんですか?」


「そう。他に人間が見ていた場合この攻撃は成功しないようだけどね。攻撃が終わると被害者とSCP-1155は姿を消して7日以内にどこか他の場所に移転されるみたい。しかも一度狙った相手への攻撃が失敗するとより攻撃的になって人の多いところに移転しやすくなる」


「なるほど……ところでなんで梟なんですか?」


「ん……お前はもうふくろ(う)のネズミだぞってことじゃない?」


「思いつかなかったら無理に言わなくていいんですよ」


SCP-1155

「人喰いストリートアート」





「SCP-1638-JPのイタチごっこ」はVideoGameMonkeyMONO作「SCP-1638-JP」に基づきます

http://scp-jp.wikidot.com/scp-1638-jp @2019

また、一時的に名前をつけさせていただいております。


「SCP-3160のお前の電子レンジの中にはスズメバチがいるし、今まさにお前を刺している」はTanhony作「SCP-3160」に基づきます

http://www.scp-wiki.net/scp-3160 @2018


「SCP-1126-JPの三助の像」はCome_Dream作「SCP-1126-JP」に基づきます

http://scp-jp.wikidot.com/scp-1126-jp @2019


「SCP-049のペスト医師」はGabriel Jade作その後djkaktus および Gabriel Jadeによって改訂「SCP-049」に基づきます

http://www.scp-wiki.net/scp-049 @2009

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