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Case4 不可侵の少女-O

今回の題名にあるOは

original、私が独自で作った話を指します。

これがつく作品は、

その話に決まったSCPが登場しない。

もしくは、複数のSCPが登場する際に、そのようなTaleが元サイトに存在しない。

という場合を指します。


ややこしいですが、どうかよろしくお願いします。

アイテム番号: SCP-________


オブジェクトクラス: Euclid


特別収容プロトコル:

SCP-________はサイト-8141の家具及び洗面・風呂場を備えた人型生物収容室に収容されます。


SCP-________には1日3回の食事を与えてください。財団職員と同じもので構いません。

財団職員によって、休日を除いた毎日、昼休憩を挟んで1日7時間高校生二年生レベルの学習をSCP-________に行わせてください。

SCP-________には与えられた予算の範囲内で、望んだものを購入することを許されています。



説明:

SCP-________は特異な再生能力を持った現在16歳の女児です。


SCP-________は、SCP-███の収容計画中にSCP-███に襲撃されていたところを財団のエージェントによって保護されました。

その際に、SCP-________の異常性が発現しました。


SCP-________は頭部を切断されても2〜3秒で再生します。

なお、再生前の身体は初めからそこになかったかのようにその場から消滅します。

痛覚の有無は現在調査中です。

SCP-________への実験は財団倫理委員会と現在相談中です。


また、収容時SCP-███により友人2名が【削除済み】されていたことにより、SCP-________は重度の鬱症状にありましたが、三日に渡る夏華博士の処置により回復傾向にあります。


補遺:

SCP-________は一般的な父母家庭で育ったと主張していますが、SCP-________の家庭だった場所に人の姿はなく、入学の際に使用されたと思われる偽装書類が残されていました。



********************



「こんなもんかな」


夏華はポールペンを置き、椅子の背もたれに寄りかかる。


「クリス、インタビューいつからだっけ?」

「2分後です」

「2分……?もうそんな時間か!」


夏華はおもむろに立ち上がると、白衣を身に纏い、真っ黒なアタッシュケースを持ち上げた。


「クリス、その報告書出しといてくれる?」


そういうと、夏華は机の上にあったコーヒーを飲み干し部屋を出る。


一人になった部屋で、俺は昨日のことを思い出していた。




俺は、後ろから来るSCP-4975の姿に気づくのが遅れて、、、

叫んだ時にはもう遅かった。


…彼女の首はいとも簡単に吹き飛んだ。


SCiPは、外で待ち構えていた他の財団職員によって、すぐに取り押さえられ、収容され、サイトへと移送された。


俺はすぐに彼女の元へ向かった。

手遅れは気づいていたが、それでも何もしないわけにはいかなかった。


救えた命だった。


それなのに……


俺は少女の死体を抱きかかえる。


少女は顔は苦痛によって、ひどく歪んでいた。

服にはボロボロになっており、とても人が切れるようではない。それだけで、どれだけ怖い思いをしていたのか、それだけで理解できる。

しかし、意外にも体への損傷は見られない。





………?


体への損傷は見られないだって?

あんなに服はボロボロだったのに擦り傷一つもないのか?

そこで俺は大きな矛盾に気づく。


………苦痛に歪んだ顔?


再び俺は彼女の顔へと視線を移す。

その顔は苦痛で苦々しく歪んでいる。

しかし、顔も傷一つ見られない。


おかしい。こいつはたしかに顔を吹き飛ばされたはず。


俺は吹き飛ばされた顔を探すも、それを見つけることはできなかった。


何故だ?さっきは確実にあった。


俺は一つの可能性に気づく。

それは、こいつが…


「うっ……うう」


それからはもう悩む必要なんてない。

俺はこの化け物の額に銃を当てる。

化け物は周りを確認して少し驚いた表情をして、なにより銃を向けている俺の姿を見て驚いた。


俺はできるだけ落ち着いた口調で言う。


「お前……なんなんだ……?」


一つの可能性。


それは、

こいつが他の奴らと変わらない化け物であることだ。



********************


真っ白な部屋。

何もない部屋。

いや、正確にはトイレやら風呂やらベットやらはあるのだが、それ以外は何もない。

しかし、そのトイレやら風呂やらベットやらも真っ白なのだから、今私がホワイトアウトを起こしたとしても何も違和感を感じないだろう。

……ここに連れてこられてから三日が過ぎた。

食事は美味しいし、勉強に追われることもないのだが、これでは囚人と変わらないじゃないか。

つまるところ、ここから一刻も早く出たいものだ。


「……美奈子……玲奈」


呟きが空中で消えていく。

まだあの日のことは理解できていない。

否、理解してはいけないと頭の中に鍵がかけられているのだ。


ちょうどその時、これまた真っ白な扉が叩かれる。


「SCP-________、お話ししたいんだけど、いいかな?」


その声は、随分と気の抜けた女の人で、不思議とこちらも緊張がとけていく。

それと、SCP-________というのは私を示す番号のようなものらしい。これでは本当に囚人ではないか。

……まあ、お話は願っても無いことなので喜んでさせていただくが。


「わかりました。ところで私はいつになったらここから出られるんです?」

「んー。まあ、その話もあるから、とりあえず入っていい?」

「はーい」


うまくはぐらかされたような気がするが…


真っ白な扉から出てきたのはこれまた真っ白は白衣を着た女性。

しかし、その容姿は博士というにはあまりにも若々しく、ニコニコとした表情とそのショートカットの黒髪からはボーイッシュな無邪気さが伺える。


「ごめんねー。急にこんなところに閉じ込めて。狭っ苦しいでしょ?」

「まあ…」

「あれ?あんまり混乱してない?、まあとりあえず座ろっか」


私とその人は机に向かい合うようにして座った。


「さて、じゃあ先ずは自己紹介からかな。

私は夏華。こんな身でも博士やらせてもらってる。夏華でも夏華博士でも好きに呼んでもらっていいよ」

「じゃあ、夏華さんで。私は友梨です。御館友梨」

「御館……ゆりって花の方?」

「ああ、いや、友達の友に果物の梨です。」

「あー。そっちね。おけー」


夏華さんは持っている書類に名前を書き込んでいく。

まるで取り調べでも受けてるみたいだ。

しかし、不思議と嫌な感じはしない。


「んじゃあちょっと色々聞いてくんだけど、どう?調子は?」


ちょっとなのか色々なのかどっちなんだ…


「まあ、退屈です」


こんな真っ白な部屋にこれ以上いるとなると私は暇で暇死してしまうかもしれない。

夏華さんは辺りを見渡すと苦笑いして言った。


「あー。ビデオゲームとか欲しい?」

「え、貰えるんですか?」

「予算内なら望むものを渡していいからね」

「………ちなみに予算っていうのは?」

「月1万」

「………ちょっと考えさせてください」


何か他にゲームより買うものがある気がする。

というか1万円ってカセットは変えても本体が買えないんじゃ……


「予算増額を要請します」

「要請は却下されました。まさか、オブジェクトの方から言われると思わなかったけどね」


そこで私に一つの疑問が生まれる


「ところで、オブジェクトってなんですか?あとSCPってのも」

「え、ああ何も聞いてないのか」

「はい」


夏華さんは唇に手を当て、少し考えるような仕草をする。


「………ま、いっか。説明するね」

「はい、お願いします。」


そういうと、夏華さんはポケットから白い髪を取り出し、そこに絵を書き込んだ。


「まず、SCPについて。SCPっていうのは、異常な生物、物体、場所、現象……まあ、そんな感じのやつを言うんだよ。まあ、君たちの言う都市伝説とかいうやつ。友梨ちゃんが遭遇したやつもSCPで、その中でもSCP-4975って私たちは呼んでるね」


夏華さんは脚の長い鶏のような絵を描く。

多分、私が出会った化け物を書いているのだろう。

この人、どうやら絵はお世辞にも上手いとは言えない。

いや、もしかしたらトラウマを掘り返さないようにわざと曖昧な絵を描いているのだろうか。

………まあ、前者だろう。


「それで、それを閉じ込めてるのがこの組織ってわけですか?」

「話が早いねー。ここSCP財団はSCP……まあ、オブジェクトととも言うんだけどね。オブジェクトを確保・収容・保護するための施設」

「確保・収容……保護?」

「あーんな化け物ばっかじゃないからね。中には友好的なやつもいるし」

「へぇ…」


友好的なSCP………ちょっと考えられない。

願い事を叶える代わりに命を喰らうとか、そんな感じだろうか。


「まあ、なにより壊したら何が起こるかわからないから、怖いんだよね」

「どういうことですか?」

「例えば、君が出会ったSCP-4975。もし、やつが死んだ時、世界が滅んだらどうする?」

「そんなこと…………」

「断定できないでしょ?もしかしたらあんな見た目でもこの世界を作った神様かもしれない」


食い気味に言葉を遮る夏華さんは意地悪に笑う。

確かに、あんな生物何が起きたっておかしくはない。


「……まあ、言ってることはわかりました」

「ちょっと大げさに言いすぎたけどね。私達はあいつらをよく知らない。だからこそ下手に手を出せないし、研究する必要があるの」

「なるほど…」

「まあ、そんなことは言ってるけど、壊せないってのが本音なんだけどね」


夏華さんは、私に微笑みかける。

先ほどからだが、初対面なのに全く緊張をしないのは、この人の話し方のおかげだろうか。


「じゃあ私も君について聞きたいな」


そういうと、夏華さんは真剣な表情で私に向き直る。

先ほどまでは愉快な女の人という印象だったのに、今では完全に博士という目をしている。


「じゃあまずはじめに。君は自分になにがあったか覚えている?あの日、校舎から出た後」


「えっと……」


私は小さな頭をフル回転させて、あの日の映像を頭から引っ張り出す。

私は、あの男の人……クリスの叫び声に気づいて、嫌な予感がして……後ろを振り向いて……


「死んだ……?」


私はあの化け物に首を飛ばされた……?

私の記憶は次の瞬間には地べたに倒れ込み、上からクリスに銃で押さえつけられている映像に切り替わっている。


「その時何か変なことはなかった?」

「変なこと?」


私は………


「あ……ああぁぁ」


あの瞬間、私の首は一枚一枚皮が引き裂かれ、筋肉という筋肉はその筋一本から肉肉しい音を立て、千切れていく。

それは私の意識を唐突にスローモーションへと変えていった。

終わらない痛みが何時間も……


「ぐえっ……おえっ………」


口から酸味のある生臭い匂いがする。

私は首筋に手を当て、気持ち悪さのあまり嘔吐してしまう。


「大丈夫?!」


夏華さんは倒れこむ私に寄り添い、優しく抱きしめる。

その柔らかい女性の体に私は徐々に冷静を取り戻していった。


「すみません……」

「ごめんね。今日のインタビューはここら辺にしとこうか」


夏華さんは私の吐瀉物で汚れた服を脱がせ、清潔な服に着替えさせると、ベットまで連れてって、そのまま優しく寝かせた。


「また明日来るから、安静にしておいてね」

「…………はい。ありがとうございます」


思い出すのに予想以上に体力を奪われたのか、私は驚くほど素直に眠りにつく。


私は一体なんなんだろうか。







……

………

…………


どこかで声がする。



人が入るには少し狭い真っ暗な部屋。



何か……私は大切なものを忘れてる気がする。



その時、機械音と共に、扉が開かれた。



「…………」


女性だ。

何かを話している。


私は、それが聞こえない。


綺麗な人だな。


私と同じ白い髪をしている。


その女性は私の手を取り、部屋から引っ張り出した。


「……………!!」


何を言っているんだろう?


……わかんないや。


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