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Case30 マジかよ、ンドレッツ・ゲガ最低だな②

「SCPと言っていたか……偶然忍び込んだ訳ではないのだろう?」


私は不自然のないように雪菜さんとゲガの斜線上に入る。


痛いけど…私なら死ぬとはない


「あれは貴方が作ったの?」


雪菜さんの問いかけにゲガは表情一つ変えずに答えた


「あぁ、そうだとも」

「作り方は誰から聞いた?」

「それは言えないね。それを言わない契約で買ったんだ」


買った……?

こんな物を売ってる奴がいるのか?


カオスインサージェンシー。

その名前が頭に浮かぶ。


「そう……私達は財団。このような異常物質の確保及び収容、保護を行なってる。何の目的で使っているか知らないけど大人しく渡してくれないかしら?」

「断る」


ゲガはそういうと引き金を引いた。

弱々しい音が鳴る。



……不発だろうか。

弾が発射されない。


私は幼い時に事故で動かなくなった左足を引きずりながら……


………は?


ゲガが銃を次は雪菜を狙って向ける。


「ぐっ……!」


右足を使い私は斜線上に体を入れ込む。

またしも銃弾は発射されなかったが、私の肩には激しい痛みが残る。


もちろん、私は足を事故で動かなくなってなどいないし肩に傷などない。


「それも……SCP!」

「ご名答」


私はギリギリ痛みが引いてきた足で雪菜さんを庇い、部屋の奥まで逃げる。


「そっちは行き止まりだよ」


ゲガは鼠を追い詰める猫のように一歩一歩こちらへと歩み寄ってくる。


「どうします?!」


雪菜さんは腰にささっている拳銃を取り出すと、胸に引き寄せ構える。


「麻酔弾はあと一発。当てられなきゃ死ぬ」


ゲガは私達が一般人ではないことを知っている。

当然、拳銃も警戒しているだろう。


「なら、私があいつの隙を作ります」

「ハニトラで?」

「貴方じゃないんだから」


それにハニトラは雪菜さんみたいなナイスバディのお姉さんがやるから意味があるのであって私には……いや今そんな事はどうでもいい。


「とにかく、隙を逃さないでください」


そういうと、私は彼の前に飛び出した。


「ふむ……どうした?かくれんぼは終わりか?」

「貴方に聞きたいことがあって…どうしてあんな夢を街の皆に見せたんです?」


ゲガはそれを聞くと構えていた拳銃を下ろした。


「ふむ……そこまで知りたいのなら教えてやろう。私のパーフェクトな計画を……!!」

「おお……」


なんかアホそうだなこの人。


「まず、私は偶然知り合った男に大量の金と引き換えに面白い話を聞いた。それは周りの人間に決まった夢を見させる装置の話。少しばかり作るのは大変だったが……材料はすぐに集まった」


材料……あのドリームキャッチャーやモニターの事か。

いや、それよりも気になるのは。


「人間も……?」

「ああ。金ある所に女あり。私は女性には困らないのでな」

「死体を使ったんですか……?」

「私には時間がないんだ。人が死ぬまで待ってられるか」


…殺したのか。


「合意の元だったんですか?」

「まさか。彼女の泣き叫ぶ顔は唆るものがあったよ。中でも足を切り下ろした時は……!」


……落ち着け私。


……なんで私は地下室で会う人はこんなのばっかなんだろう。


「だが、私は完成させた!それがこの装置さ!」

「夢を見せるんですよね?それをしてあなたに何の得が?」


全ての夢にはゲガが出現し、夢の主に対して一般的に好かれる事を行っていた。

何回も何回も。

何の嫌がらせだろうか。

睡眠不足にでもさせたいのか。


「そりゃあ、決まってるだろう。選挙さ」

「選挙?」


選挙……?

そういえばこの街の市長選挙に立候補してるとか何とか。


「夢を見せる事と選挙に何の意味が?」

「夢と言ってもただの夢ではない!全ての国民には私がヒーローに見えるだろう!これで私の選挙当選は間違いなし!今日だってスピーチが終わり次第抜けてきたんだ!私が市長になるに決まってる!だって!私は!市民の!ヒーローなのだから!!!」


………。


「あの、市民の人の声聞いたことあります?」

「……え?」


知らないのか。


「毎晩、同じ男が夢に出てきて気持ち悪いって」

「……え?」

「あの夢のせいで不眠症になった人もいるって」

「……え?」

「私ならそんな人に投票しないですけど」

「………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!?!」


あ、隙。


「今です!」


私が言い終わるよりも早く雪菜さんの麻酔銃がゲガに突き刺さる。

ゲガはピクピクと痙攣し、倒れた。



********************



その後、私達の通報によりゲガは御用となり、その中にしっかりと紛れ込んでいたエージェントによりゲガの作った装置SCP-2934及びゲガの持っていた拳銃SCP-865が回収された。

ゲガの言っていた組織とは不明だが、SCP-865は本来財団が所有していたがカオスインサージェンシーに盗まれたもの。

つまり、カオスインサージェンシーが何かしら関わっているのは間違いない。


「はぁ…どうにかなったわね」

「……雪菜さんって凄いんですね」

「当たり前じゃない。だって私は夏華のライバルよ?」


とても無免許の私に車の運転を放り投げている人のセリフとは思えなかったが。


無免許運転ダメ。絶対。



********************



先程まで騒がしかったコンピューター室は静まり返り、ただ皆が夏華の声を待っている。


「これで決定。カオスインサージェンシーの日本支部への襲撃は今より1週間後とします」


9人のエージェントはそれぞれに反応を見せる。


「そうね。敵施設内にあると言われるSCPの把握も必要だし」


シャネルは巨大なピアスを弄りながら手元の資料に目を通す。


「そうだな、情報が多いに越したことはない」

「その通りです!流石久馬様!」

マスチットは久馬に擦り寄り、久馬はそれを意にも返さず手で押し除けている。


「ていうかさ、久馬、今時刀はないんじゃないの?絶対足手纏いだしこいつ置いて行こうよ」

「は?王お前何久馬様に話しかけてんの?お前みたいなクソゴミクソ野郎が久馬様に話しかけるとか位が違いすぎるんだけど?その上意見するとか百万回ぐらい死んできた方がいいんじゃないの?」


マスチットは瞳の光を消し早口で罵詈雑言を放つ。

それに王は気にしている様子もない。


「王、銃火器が優秀なのは認めるが刀には刀の良さがある。対人ならともかく、対SCPにおいて手段は多い方がいい」

「へぇ……流石20人も殺してきた人は言うことが違う」


席を立ったのは久馬ではなくマスチットだった。


「てめぇ?!いい加減にしろよ?!あぁ?」

「何?やるの?ブス女?」

「やめろ」


一触即発の二人を止めたのはクリスだった。


「軍陵、その挑発をやめろ。マスチットも落ち着け」


決して大きな声ではない。

だが、その声にはハッキリとした存在感があった。


「とにかく、今日話すことは以上。いいね?」


夏華が一刻も早くこの場を閉めようとする。

ここで喧嘩になられてはひとたまりもないからだ。


「一つ提案があるんけど、いいかな?」


小さく手を上げたのは美郷だった。


「今回、SCP-________を連れて行かへん?」



********************



時計が12時を回る頃。


少女の寝息が静かに響く収容室。


一人では少し広い二人の収容室。


突然、部屋の明かりがついた。


「ユ……リ…?」


アイリは眠い目を擦り扉の方を見る。


そこにいたのは友梨ではなく、二人の男。


一方は異常な筋肉を持った屈強な男。

一方は美形なスタイルのいい男。


「だ、誰?!」


彼らは怯えるアイリへと近づいていく。


「や、いや!来ないで!」


美形の男がニヤリと顔を歪ませる。


その手がゆっくりとアイリの視界を包み込んだ。

*御館 友梨のSCP勉強のコーナー*


「このコーナーでは、私、御館 友梨が画面の前の皆様と一緒にSCPを勉強していくコーナーです!今日の先生はこちら!」


「こんにちは!スーパーウルトラインテリジェンス博士の雪菜です!」


「スーパー…?雪菜さん、よろしくお願いします」


「はい、今回紹介するのはこれ!SCP-873『景気のいいケーキ』オブジェクトクラスはKeter!」


「げっ、Keterですか……」


「そういえば何気に初めて出てきたKeterクラスよね」


「Keterって確か……収容ができていないものもしくは収容は辛うじてできているがいつ収容違反が起きてもおかしくないもの……でしたよね?」


「そう。SCP-873は後者にあたるかな」


「ていうか、景気のいいケーキってなんですか。駄洒落ですか?」


「まあ、そうなんだけどあんまり笑ってられないようなものなのよね。SCP-873は簡単に言うと24時間ごとにその数を倍に増やすケーキよ。放っておくとやがて地球を大尽くすわ」


「某猫型ロボットに出てきそうな奴ですね。でもそれなら全部食べちゃえばいいのでは?」


「甘い!甘すぎて胃もたれするくらいだわ!」


(うぜぇ……)


「SCP-873と某猫型ロボットのシークレットアイテムとの違いはね、その母数が減らないと言うことなの」


「つまり、どれだけ食べても増えることはあっても減ることはないって事ですか?」


「そうよ。現在237個のケーキが財団にあり、Dクラス及び職員の力を借りて全力で減らしているわ」


「うわぁ……」


「さて、色々話したらお腹空いてきちゃった。貴方もケーキ食べる?」


「SCP-873ですか。そうですよね。私達も少しずつ協力していかないと…」


「いや?普通のケーキだけど?」


「何故わざわざ普通のケーキ買ってくるんですか?!」


SCP-873

『景気のいいケーキ』




「SCP-2934のマジかよ、ンドレッツ・ゲガ最低だな」はButtfranklin作

「SCP-2934」に基づきます

http://www.scp-wiki.net/scp-2934 @2016


「SCP-865の紳士のムチ打ち」はSmapti作

「SCP-865」に基づきます

http://www.scp-wiki.net/scp-865 @2012


「SCP-120-JPの世界で一番の宝石」はZeroWinchester作「SCP-120-JP」に基づきます。

http://ja.scp-wiki.net/scp-120-jp @2014


「SCP-871の景気のいいケーキ」はSeibai作「SCP-871」に基づきます

http://www.scp-wiki.net/scp-871 @2011

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