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Case24 真実の口

正座する私。

それを椅子に座りながら見下ろすシャロット博士。


「…………」

「あの、すみません」


どうしてこうなったし。



********************


SCP-025-FR再収容の後。


「ところで、壊れちゃったけど良かったの?スマホ」


そう。私のスマホはSCP-025-FRによってバラバラに壊されてしまったのだった。


「あー……えっと。再配布的なやつはないんですか?」

「ない事はないけど……」


ミアさんはどこか言いづらそうにしている。


「ないけど……?」

「シャロット博士に直接話さないといけないから……」


シャロット……シャロット?!


「え、本当ですか?」

「うん。しかも結構大切にしてるらしくて前に無くしてシャロット博士のところに行った人は帰ってきてないって」


…………え。


「それ以外で手に入れる方法って…」

「ないね」


…………え。




ということだ。


「要件は?」


その言葉が非常に鋭く私に突き刺さる。


「あ、あの……ですね……」

「暇じゃないから早くして」


怖い。

この人SCPなんかよりずっと怖い。


「あの……スマートフォンを……壊してしまいまして………」


シャロット博士の私を見る目がより鋭くなる。


「………どうして?」

「あの……先日の再収容の時に……」


流れる沈黙。

怖い怖い怖い。

私死ぬかもしれない!


「はい」


私は投げられた物を反射的に受け取る。

それは新品のスマートフォンだった。


「え……」


戸惑う私。


「新しいスマホでしょ?」


シャロット博士は平然とそう言い放つ。


「いいんですか……?」

「……?ないと困るでしょう?」


な、なんだこの人。

もしかして……本当は……優しい……?

いや、そんなわけない。


「本物のシャロット博士はどこに?」

「死にたいの?」


あ、本物だ。


「大方、変な噂でも聞いたんでしょうけど。任務で壊すのは仕方ないわよ。命なんかよりは軽いもの」

「でも……前に無くした人が…」

「アイツは普通に無くしたから。ちょっと実験に付き合ってもらったの」


その人戻って来てないらしいですけど…?


「別に私はSCPの協力に否定派じゃないし」

「殺されましたが?」

「別にいいでしょ。すぐ治るんだし。それに最初に失礼なこと言ったのはそっちでしょ?」


失礼なこと言っただけで殺されるとかもうブラック企業とかいうレベルじゃないんだが?


「……そうだ。スマホついでに実験に付き合ってよ」

「私まだ死にたくないです」

「貴方死なないでしょ」


そう言うとシャロットは椅子から飛び降りて入り口の扉へと向かう。


「ほら、何してるの?来て」

「………はーい」


嫌だなぁ……。


訪れた収容室はSCP-645とナンバーが振ってあった。


「私何をさせられるんですか」

「SCP-645 Euclid。ローマって行ったことある?」

「ローマですか?なかったはずですけど」

「あら残念。でも真実の口って聞いたことあるでしょ?」

「あぁ、まあそれは」


確か人の顔をした石像で口の部分に穴が開いており、そこに手を入れて嘘をつくと抜けなくなる……だったか。

前にアイリが見ていた映画でそんなシーンがあったはずだ。


「SCP-645っていうのは真実の口そのものだよ」

「……前から思ってたんですけど何で結果の判ってるものを私で試すんですか?」

「SCPには認識障害や過去改変を起こすものがあって私達じゃ気付けないものが多いから。もしかしたらSCP-645にだって『本当の事を言ったとしても嘘に書き換えられて腕が噛まれる』って言う異常性があるかもしれない。だとしたら大変だからね」


成る程。

だとしたらしょうがない……のか?


「じゃあとりあえず中に入って私の質問に答えてね」

「はい」


私は収容室の中へと入る。

そこの壁にあったのは間違いなく真実の口。

テレビとかで見るまんまだ。


「じゃあ、SCP-645の口の中に手を入れて」

「うっ……はい」


私は恐る恐る口の中に手を入れる。

至って普通の石像だ。

特におかしな点は見られない。


「じゃあ質問する。嘘をつくかどうかは貴方の自由。じゃあまず貴方の名前は?」

「御館友梨…」


その途端、口に入れていた手に激痛が走る。


「ギャッ!!!!」


私は思いっきり手を引き抜く。

しかし、そこに手首より上は存在していなかった。


は??

なんで???


徐々に再生されていく腕の中で考える。

本名を言ったにも関わらず手を噛まれた理由は一つ。


「騙したな!?!?」


私は窓ガラス越しのシャロット博士を睨みつける。

たが、驚いていたのはシャロット博士も同じだった。


「…………」


シャロットは私の事など意に関せずというように黙々と何かを考えている。


「あの……シャロット博士?」

「あ、ちょっと考え事をしてた。じゃあ次の質問……」


性別

身長

胸囲(ここは嘘言って噛まれた)

ここに来てどう思っているか

何を知っているか

意図して嘘をついているのか


どの質問にもSCP-645は正常な反応を示した。


「………ふむ」


シャロット博士は唇に手を当て何かを考えている。


それにしても何故名前を言ったら噛まれたんだ……?


私の名前は親からもらった立派な……


………?


あれ……?


私の親って………


どんな人だっけ……?


「ねぇ」


シャロット博士の声に私の先ほどまでの思考は停止する。


「なんですか?」

「貴方……異世界から来たわけではないの?」


異世界……?


「違いますけど」


SCP-645は反応しない。


「……地球外から来た?」

「え?いや」


反応しない。


「……幼少期の記憶はある?」


幼少期の記憶……?

なんでそんなことを。


幼少期………


…………


「わからないです」


反応しない。


「ねぇ……貴方もしかして」


シャロット博士が何かを言いかけた途端、甲高い男の笑い声が響く。


「な、なに?!」


私はSCP-645から手を離し声の元を辿る。


「面倒なのが収容違反したようね……」


シャロット博士が睨みつける先。

そこには収容室の操作盤の上のモニター。


そこにはピエロの男が映っていた。


*御館 友梨のSCP勉強のコーナー*


「このコーナーでは、私、御館 友梨が画面の前の皆様と一緒にSCPを勉強していくコーナーです!今日の先生はこちら!」


「……シャロット。ていうか私暇じゃないんだけど」


「ちょっとだけでいいので!ちょっとで!」


「……SCP-021-JP『規則正しいスリッパ』オブジェクトクラスはEuclid」


「………」


「………」


「え?異常性は?」


「はぁ……」


(溜息つかれた?!)


「異常性は左右のスリッパを反対に履いた時に発動する能力で、強制的に左右を戻そうとしてくる。人が履いてるのなんて意に返さずね」


「てことは足が……」


「バッキバッキになるわね」


「うぇ……でもそれならSafeなのでは?」


「SCP-021-JPはその異常性を一度発揮すると近くのスリッパに異常性が移動するの。だからEuclid」


「なるほどなるほど……あれ、本編の方で荒戸がSafeって言ってませんでした?」


「荒戸には二つ目の異常性がわかってなかったんでしょ。まあ私に報告書が来たときにはEuclidだったから気づいたんでしょうけど」


「てことは誰かの足が……?」


「バッキバッキになったんでしょうね」


SCP-021-JP

『規則正しいスリッパ』





「SCP-021-JPの規則正しいスリッパ」は「SCP-021-JP」に基づきます。

http://ja.scp-wiki.net/scp-021-jp @2014


「SCP-025-FRの死の沈黙」はDr Grym作「SCP-025-FR」に基づきます。

http://fondationscp.wikidot.com/scp-025-fr @2017


「SCP-645の真実の口」はMezzo作Voct改稿「SCP-645」に基づきます。

http://www.scp-wiki.net/scp-645 @2008


「SCP-993のピエロのボブル」はTanhony作「SCP-993に基づきます」

http://www.scp-wiki.net/scp-993 @2011

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