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Case20 未完成の山間公園

ありえねぇ……


俺は生まれてこの方、オカルトの類なんてただの作り話だと思ってきた。


だが、今回ばっかは信じるよ。


これは…………やべぇやつだ……



********************



「なるほど。それでポルダーガイストを見たと?」


目の前の男。

彼はとある作業員の男である。

彼の働く工事現場の公園では、多数な死傷者及び行方不明者が報告されており、彼は異常現象を確認した数少ない生き残りだ。


「信じられねぇよな……でも!!ほんとなんだよ!!!」

「わかってます。あなたのいうことを疑うつもりはありません」


彼がいうポルダーガイスト。

それは公園の遊具が空へ打ち上げられたり、地中に埋め込まれたり。

はたまた、公園内の物質が高速で動き回ったりしているらしい。


(……まるでゲームのバクのようね)


彼のいう状況は一昔前のゲームの所謂「バグっている状態」に酷似していた。


「それで、他には何か見ませんでしたか?些細なことで構いません」


「女……女のガキを見た」

「女の子を?」

「ああ。不気味なやつだった。何もないところに大声で同じことを何度も何度も……!」

「…………ありがとうございました。お話はこれで結構です」


彼は後で記憶処理を受けることになるだろう。

夏華は男を下がらせると、一人天井を見上げた。

異常性を持った場所。

まだこの人の幻覚という線も捨てきれない。


「…………あの子の出番かな」



********************



「外!久しぶりの!外!」


私は大きく深呼吸をする。

自然の空気はうまい!


「外って……大袈裟だなぁ。偶に外には出てたじゃないか」

「あれは外って言っても財団の施設内じゃないですか!あれを外とは言いません」


財団の施設の外に出たのは……SCP-424-JP。あの傘の時以来じゃないだろうか。


私は今、財団の指示でとある山中まで来ている。

もちろん遊びではない。

財団のお仕事だ。

私の他にも夏華さんと優希さん。その他2人のエージェントと数人のDクラスが来ている。


「やぁ、車酔わなかった?」


車から降りてきた夏華さんが私に軽く手を振る。


「車酔いって……子供じゃないんですから」

「私からしたらまだまだ子供だよ」


夏華さんはニコリと笑う。

そんな私たちを睨む者が数人。


「……まあ、ユリちゃんの事をみんながみんな認めてるわけじゃないからね」

「はい。わかってます」


ここでしばらく暮らしてわかった事。

私の事をよく思っていない人間。クリスのような人は意外と多い。というかほとんどだ。

夏華さんや優希さん。流さんのように接してくれる人の方が珍しい。


「さて、それじゃあ集合!」


夏華さんの言葉を合図にみんなが車の近くに集まる。


「今回の作戦の確認。目的はSCP-480-JPの調査。及び内部に囚われていると思われる少女、SCP-480-JP-1の救出。以上の2点。内部の調査はDクラス三名。及びSCP-________の四名で行う。私とエージェント三名はそれぞれのDクラスのオペレートとSCP-________のオペレート。及び非常時の対策を行う。質問は?」


場が静まり返る。

この場の誰もが了解したという事だ。

SCP-480-JPと指定されたのは、この山間公園そのもの。詳しくはわからないが、おかしなことが起こっているのは間違いないそうだ。


「それでは、今からDクラス及びSCP-________をSCP-480-JPのすぐ近くまで輸送します」


それから、私は誘導されるままに車に乗り込み、数分。

SCP-480-JPのすぐ前までやってきた。


SCP-480-JPは鉄網や壁で覆われており、唯一の入り口も武装した職員で固められている。


私はチラリとDクラスの三名を見ない

ある者は怯え、ある者は刑期が早まる事を喜び、ある者は生き残るために必死に思案を巡らせている


「あー、あー、こちら夏華。聞こえてる?」


夏華さんの声が通信機越しに聞こえる。


「こちらユリ。聞こえてます」


どうやら他のD-クラスも誰かしらから通信があったようで、各々の反応を見せている。


「おーけ。じゃあ早速中に入って」


私は言われるがままに公園の中へと侵入する。


「……うわ」


おもわず言葉が漏れる。


逆さに配置された遊具。

瞬間移動を続ける木。

何もない空間から流れ続ける水。

チカチカと消えては現れる看板。


夏華さんから事前に聞いていた通り。


バグってしまっている。


まさしくそのその通りであった。


「状況を報告して」

「夏華さんのいう通りですね。まさにバグ。遊具が上下反転して埋まってて、木がさっきからあっちこっち……」


瞬間移動している。

その言葉を遮る男の叫び声。


「大丈夫ですか?!」


私は男の声がする方へと走っていく。

……するとそこには、自らの体の半分を木と一体化させ、呻き声をあげている男の姿があった。


「な……なにこれ」

「何を見つけたの?」

「男。Dクラスの人が木と……重なってる」


ますますバグってる空間だ。


私はその男から一歩ずつ離れていく。

しかし、その拍子に小さな小石を蹴ってしまった。


「あっ」


少し蹴られただけの小石は段々と加速していき、やがて近くのモニュメントに風穴を開ける。


「物理法則が……」


その時だった。

近くの遊具がぐにゃぐにゃと形を変えながら私の元へと突っ込んでくる。


(当たるとヤバイ……!)


「近くにバグってる物が!逃げます!」


私は通信機にそう告げると一目散に逃げ出した。

さっきの男の人も、もしかしたらこうやって……。


********************


「……なんだこいつ?」

「どうしました?」

「ガキだ。こっちを見てる」


星影は「なるほど」とつぶやく。

通信機越しのDクラスが出会ったのは、恐らく夏華博士の言っていた例の女の子。

SCP-480-JP-1か。


「もう少し詳しくお願いします」

「詳しくったって……普通の女のガキだよ。5歳くらいか?ピンクの服を着てる」


なるほど。容姿に異常はなし。

異常だらけの空間にとって何もないというのはかえって異常だ。

もしかしたら、この空間の核はあの子なのかもしれない。


「話しかけられますか?」

「あぁ……やってみる」


男の土を踏む音。

少女に近づくにつれてその子の声が聞こえてくる。


「よぉ、ガキ」

「私の名前は山寺 咲」


山寺 咲……。


山寺……?


「ああ、そうか」

「私の名前は山寺 咲」

「ん?あぁ、それはもうわかった」

「私の名前は山寺 咲。私の名前は山寺 咲。私の名前は山寺 咲」


女の子の声は壊れたように同じ言葉を繰り返す。


「なんだこいつ……気味悪いぜ……」

「その子に何処から来たのか尋ねてください」

「マジかよ……なぁ、お前は何処から来たんだ」


女の子はこちらに背を向けて答える。


「ここはすごく楽しいよ」


その声は非常に機械的でとても不気味だった。


「あぁ?そうじゃなくて」

「わたしはいつまでも遊んでたい!!いつまでも遊んでたい!!」

「おい……話を聞けよ!」


その問いかけに少女は答えない。

ただ光を失った目で何処かを見ている。



「……はぁ。なんだ。お前はここに住んでるのか?」

「毎日だって楽しいんだよ!一緒に遊ぼ!展望台に行って、森のなかを探検して、おっきい遊具で遊んでるの!今日も昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日も」


少女は壊れたラジオのように同じ言葉を何回も繰り返す。


「おい」

「明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日も」


その無機質的な声に星影は危険性を感じ、Dクラスへと撤退命令を出す。

しかし、その声は届かない。


「な、なんなんだよ」

「ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと」


男は思わず手を出してしまった。

苛立ちと恐怖に苛まれ、振り上げた拳は少女の顔をすり抜ける。


「は、はは。なんだこれ」

「いっしょにあそぼう」


通信が切れる。

星影はゆっくりと通信機を下ろした。


彼は後悔する。

もう少し強く止めることができれば彼はこのような暴力に走ることはなかったのではないか。


そして思案を巡らせる。


「山寺 咲……って、たしか…」

*御館 友梨のSCP勉強のコーナー*


「このコーナーでは、私、御館 友梨が画面の前の皆様と一緒にSCPを勉強していくコーナーです!今日の先生はこちら!」


「アイリです!」


「アイリということは、紹介するのは?」


「うん!ヤドカリさんについて教えるね!」


「一応言うと、SCP-120-JP『世界で一番の宝石』。オブジェクトクラスはEuclidね」


「ヤドカリさんはね、世界で一番の王様なの。総理大臣よりも大統領よりも偉いの!それでね、24800人の家来を持ってるの!」


(ほんとかなぁ……それ)


「オリンピックに参加したこともあるんだって!」


「いやそれは絶対嘘でしょ」


「あと、ヤドカリさんでキャッチーボールをするとすごく怒られるの」


「そりゃあ怒られるでしょうね」


「あと、目の前でリコーダーの演奏をすると怒るの。リコーダーが嫌いなんだって」


「へぇ……そうなんだ。それは知らなかった」


「そうだ!今日リコーダー持ってきてるから演奏聞かせてあげる!」


「うん!お願い!」


「じゃ、いくよ!」


<あまりにもあまりにも絶望的な不協和音が鳴り響く>)


「……どうだった?」


「……私もリコーダー嫌いだなぁ」





「SCP-480-JPの未完成の山間公園」は

rkondo_001作「SCP-480-JP」に基づきます。

http://ja.scp-wiki.net/scp-480-jp @2014

また、作品進行の都合上仮の名前をつけさせていただいております。


「SCP-120-JPの世界で一番の宝石」はZeroWinchester作「SCP-120-JP」に基づきます。

http://ja.scp-wiki.net/scp-120-jp @2014

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