95話 凶行1
日曜日になり俺はえりなとの約束があるので午前中早めに起きた。 なんかえりなを意識すると緊張するな。 好きだって伝える事に……
俺がえりなを好きになるなんてな…… まぁでもえりなも俺を好きでいてくれてる。 緊張はするけど成功したらえりなも助かって何も言う事なしだ。
その後が面倒そうだけどな…… 花蓮や沙耶にはごめんと謝るしかない。 こんなどうしようもない俺を好きになってくれてありがとうと2人には本当にそう思っている。
3人ともずっとヤキモキしていたはずだ。 だから今日それに決着をつける。 えりなに想いを告げて。
待ち合わせは午後からだ。 俺はその間ずっとソワソワしていた。 えりなもこんな風にソワソワしているのかな?
時間になり俺はえりなの家に向かう。そしてえりなの家にもう少しで着くという時俺は全身が痺れ急に意識を失った。 なんだ? と思ったがもう見る事も出来なかった。
気がつくと辺りは暗くなっていた。 ここどこだ? 見た事ない場所だ…… それに体の自由がきかない。
「健斗、健斗! 気がついたのね、良かった…… あッ!」
「えりな?」
「健ちゃん……」
えりなは俺に駆け付けようとしたが何者かに腕を押さえられる。 そう、その何者かは花蓮だった。 それと俺は腕を後ろに縛られていた。 そして俺の背中側にもう1人。 そいつは…… 上野だった。
上野、お前何やってんだよ? 上野は黙って俺を見下していた。
そしてえりなの隣を見ると沙耶が倒れていた。 だけど沙耶は頭から血を流している。 一体どうなっているんだ!?
「健ちゃん、目が覚めたんだね。 健ちゃんを誑かしたいけない女2人捕まえてきたよ」
「誑かした? 何言ってんだよ花蓮、お前こんな事するような奴じゃなかっただろ? 上野も! それにここはどこなんだよ!?」
「ここはね、私が住んでる地区にある廃病院だよ、誰も来ないから安心して? それに健ちゃんはわかってないよ」
花蓮がそう言い自傷気味に笑う。
「私はね、好きな人のためならなんでもする。 いつも健ちゃんに言ってたでしょ?」
「なんでもって…… こんな事!」
「それほど! それほど健ちゃんを思ってるの! 本当はこんな事したくなかった、健ちゃんにこんな事もしたくなかった、だけどこのビッチが健ちゃんを誑かして私の健ちゃんを汚した! この汚い女が!」
花蓮がえりなの腕をキツく押さええりなは苦悶の表情になる。
「やめろ花蓮! 上野、お前もこんな事していいと思ってんのか!?」
「いいも何もこんな事になってるのはお前のせいだろ!」
上野が倒れている俺に蹴りを食らわせようとする。
「上野君ッ!」
花蓮が叫ぶと上野がピタッと止まる。
「健ちゃんに何しようとしてるの? 健ちゃんは何も悪くないんだよ? 健ちゃんを気絶させた事は許してあげるけどそれ以上何かしようとしたら許さないよ?」
「くッ…… わかったよ」
なんだ…… こいつ? 花蓮の言いなりなのか? この前まで花蓮に暴力振るおうとしていた上野が。
「上野君がもっと上手くやっていれば今頃えりなちゃんも入院とかしてたはずなんだけどドジるんだもん」
「花蓮ちゃん…… それって……」
「上野君に頼んでね、えりなちゃんが上野君の告白断ったら隙を見て階段から突き落としてってお願いしたの」
花蓮はえりなの耳元で怪しく笑いそう言った。 てことは……
「花蓮、まさか村上も……」
「そうだよ? 健ちゃんに言い寄った悪い女だからお仕置きしたの。 上野君に頼んでね!」
「上野ッ! お前とことん腐ったな、花蓮に頼まれたらなんでもするのか!?」
「てめぇに何がわかる? 俺から花蓮を奪ったくせに」
上野は花蓮がえりなに向けるような憎しみがこもった目で俺を見ていた。
「花蓮、それに沙耶はどうしたんだ? 沙耶ずっと起きないじゃないか!」
「あー、日々野さんは力加減間違えて強く殴り過ぎちゃったかなぁ……」
花蓮はそう言うと片手を見せた。 手にはメリケンサックが握られていた。 嘘だろ? あんなので沙耶を殴ったのかよ?
あんなんで殴られて沙耶は生きてるのか!?
「大丈夫だよ? 今は息があるから。 だけどこれからどうなるかなぁ?」
「花蓮、こんな事したらただじゃ済まないぞ? 捕まるぞ!?」
「うん、そうかもね? でも健ちゃんをこの子達に渡すよりはずっといい。 アハ…… アハハハハッ!」
花蓮はそう言って甲高い声で笑った。




