93話 恋心と殺意
バスから出ると某有名な寺や名所などを見て回る。 そういえば上野は…… と居た。 他の男子と見ている、何事もなかったら俺ら今頃一緒に見ているはずだったはずなのにな。 少し心がチクっとしたがどうしようもないので今こちらに来たえりなの方を向く。
「ふう、ようやく健斗に合流出来たわ」
「ちえっ、そのまま私に任せればいいのにお邪魔虫が来たよ、ふん!」
「美咲さん、バスの中で1人だったの?」
「なんで私がそんなぼっちみたいになるのよ? これでも上手くやってるの!」
騒がしい3人組になった所でこいつらといろいろ見て回る。 俺達は「ふぅん」という程度だがえりなは結構真剣に名所や寺に纏わる話などを聞いていた。
こいつは変な体験してるからついつい聞き入ってしまうのだろう。 不意に花蓮が他の友達から写真撮ろうと誘われた。
「写真くらい一緒に写ってやれよ? 別にどこにも行きやしないからさ」
「うーん…… 仕方ないなぁ。 えりなちゃん、日々野さん、変な事しないでよ?」
「失礼ね! とっとと行きなさいよ」
そして男子から沙耶も写真を撮りたいと言われ沙耶も連れて行かれた。 大変だな、あいつらも。
「お前誘われないな」
「私クール系だから。 それに話し掛けるなオーラ出してるもの」
だからさっきから少しツンケンしてたのか。 まぁ元々気難しそうな顔してるのもあるかもしれないけど。
「あ、ねぇ健斗、あそこでお祈りしない?」
「あそこ?」
えりなが指差す方向には小さい祠のような物があった。
「なんでもあそこでお祈りすると2人は良い仲になれるなんてのがあるらしいわ」
「お前そういうの本当に好きだなぁ」
「いいじゃない? 記念なんだし」
えりなに手を引かれ祠の前まで行き手を合わせる。 えりなは何を願ったんだろう? 良い仲ってのは縁結び系か何かかな?
俺はえりなの事を最近意識し出したんだと思う。 えりなの心が穏やかになっていくうちに俺の中のえりなへの意識も変わっていったのかな? なら俺はえりなと……
「よし! 神頼みってのがアレだけどね」
「何祈ったんだ?」
「内緒! こういうのは言わない方がいいのよ!」
1日目はその後宿泊宿に行き男女ごとに部屋に入る。 部屋のメンバーはクラスの見知った男子だし、ただ上野はそこにいない。 まぁ考えても仕方ないか。
今日は移動で疲れたので宿で部屋の連中と食事を摂り温泉に入って寝た。 初日はみんな疲れたのかこういう時恒例な枕投げなどなく眠りに就いた。 明日はこいつらと自主研修だな。 えりな達とは研修で被ってる場所とかあるなら時間が合えばバッタリあったりしてな。
次の日午後から自主研修となり金色の寺や人力車など見たり乗ったりして楽しんでいた。 だけどえりなと一緒だったらもっと楽しいのだろうなと考えてしまう。 バッタリ会うかもななんて考えていたが遂に自主研修の時は会う事はなかった。
そしてその日も終わり食事の後温泉に入り、俺は急に思い立ち宿の中のお土産売り場で家族のお土産を買いその後宿の中を歩いていると風呂上がりらしきえりなと会った。
「健斗、どうしてこんな所に? でもちょうど良かった。 私健斗の事探してたのよ」
「俺を探してた? なんで?」
「ん〜、ここで話すのもあれだしそっち行こう?」
「え? ああ」
ふとなんとなくだけどえりなの顔に触れてみた。
「ひゃっ! ビックリするじゃない!?」
「ああ、なんとなくな……」
風呂上がりだというのにえりなの顔はとても冷たかった。 えりな、本当に崖っぷちなんだな。
人気のない所へ行くとえりなは少し視線が定まらなかったが決心したように俺を見た。 そして俺もえりなを見つめた。
「健斗、あのね……」
「えりな、あのさ」
言葉が重なった。 だけど俺から言わせてもらう。
「明日で修学旅行も終わりだろ?」
「うん……」
「それで帰ったら週末で休みだろ、日曜日に俺と会ってくれないか? えりなに大事な話があるんだ」
「…… うん。 わかった、絶対会う!」
えりなは強く俺にそう言った。
「で…… えりなが言おうとした事は?」
「あはは、私も似たような事。 修学旅行終わったら健斗に会いたかったの」
えりなはそう言って俺を強く強く抱きしめた。
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私は今日健ちゃんに全然会えなかった分宿の中で健ちゃんを探していた。 健ちゃんどこに行ったんだろう?
私がグルグルと宿の中を探しているとようやく健ちゃんらしき姿を発見した。 だけど…… そこにはえりなちゃんも居た。 2人は人気がない場所に行った。
私は嫌な予感がして2人を追った。 そして影から話が聞こえる所まで近付き隠れた。 最近こんな事してばっか…… 2人の声が聞こえる。
え? 2人の話している内容はそれはまるでお互いに好き同士の話、そして修学旅行が終わったら告白でもするかのような流れ…… なんで? いつの間にえりなちゃんに? 私は? 健ちゃん!!
そうか…… 全部えりなちゃんが…… やっぱりもう限界。
させるもんですか…… 私はえりなちゃんに対する憎悪がもう抑える事が出来ない。
絶対健ちゃんとは結ばせない。 殺してやる……




