88話 和解
沙耶が急に俺の家に来てえりなが居る中、俺はなんとか沙耶を誤魔化そうとしたがえりなの制服が見つかり沙耶に見事に看破されてしまった。
そしてえりなまでもが沙耶の目の前に現れてしまった。 自宅で事案発生とかやめてくれよ、頼むから……
「美咲さん、また私の健斗君と……」
いや、俺いつから沙耶のものになっちゃっまの?
「ねえ地味子、こういうのもうやめない?」
「やめる? 私は健斗君を譲りたくない」
「それは勿論私もよ? でもそういう事じゃなくて私と地味子が争うのをよ。 健斗だって私と地味子が争う所なんて見たくないと思ってるわよ?」
えりなにしては物凄くまともな事を言っているような気がする。 どういう心境の変化だろう?
「地味子、私と地味子もっと仲良く出来るはずよ? 前に花蓮ちゃんも言ってたでしょ? 同じ人を好きになった者同士じゃない?」
「だって…… みんな仲良くどころか他人を蹴落そうとしてばかりで」
「うん、それは私も花蓮ちゃんもいけない事ばかりしてたからそうね、その通りだわ。 だけど私と地味子なら仲良くなれる、そう思ったの。 一度殴り合った仲でしょ?」
なら花蓮とだって。 と思ったけど花蓮の場合はえりなが一方的にやられてたから違うのかな?
「そんな事言って美咲さん私を出し抜こうとしてるようにしか見えない、信用出来ない」
「まぁいろいろあったものね、信用出来ないのは当たり前。 だけどしようとしなきゃ何も始まらないでしょ? 私もし健斗が地味子を選んだら応援するわ」
「え?」
「だってそれは健斗自身の意思だし私がどうこうしたってどうにも出来ないでしょう? それに健斗が選んだのに健斗を好きな私がなんやかんやしたら健斗を否定する事になる。 だから地味子を選んだら私はあんたを応援してあげる」
えりなはこちらをチラッと見て任せなさいと言った目線を俺に送る。 そうか、えりなも穏便に済ませようとしてくれてるのか……
「ほら、私達あの時はどうだかわからなかったけど友達でしょう? 」
えりなが後ろから沙耶がスプラッターした呪いのウサギの胴体を取り出した。 てか持ってたのかよ……
胴体から綿が飛び出していてそれはまるで臓物が飛び出しているかのようだ。
「あ……」
沙耶もそう言ってウサギの生首を取り出す。 てかお前もそれ持ってるのかよ……
ウサギの生首と胴体を見せ合う2人はなんだか良い事言ってるように見えるがそれが逆に怖い。
「ほらね? 地味子だってちゃんとそれ持っててくれてるでしょ。 本当は仲良くしたいって思っているんじゃないの?」
「わ、私は、私はこんなんだから友達とかあんまり居なくて急に男子から話し掛けられるようになってからも……」
そうだ、沙耶ってあんまり女子の友達もいなかったような気がした。 モテるようになってから更に日々野のくせにって言う女子もいたしな。
「地味子、だったら本当の意味で私と友達になりましょう? まぁ私もまだ健斗を譲るつもりはないけどね、前みたいに過激に争うのはやめよう? 私最近手ぶらなのよ?」
そういえばえりな毎回凶器持ち歩いてたのにな。 俺を脅す為に…… てかそんな物持ち歩かないのが普通なんだぞ。
「わかった、美咲さんがそう言うなら私も美咲さんと本当に友達になりたい、私も健斗君は譲らないけど」
「うん、望むところよ。 じゃあ握手しよう?」
えりながそう言って沙耶に手を差し出すと沙耶はえりなの手を握った。
「わっ! 美咲さんの手冷たい……」
「ああ、冷え症なのよ。 気にしないで」
そしてえりなは沙耶をギュッと抱きしめた。
「地味子これから仲良くしようね!」
「え!? あ、うん…… 美咲さん」
2人は和解した? 1番そういうのとは無縁そうなえりな自身が沙耶と仲良くしてみせた。
本当に心境の変化でもあったんじゃないかって思ってしまうほどだ。 いきなりで変な行動とったりはするけど…… だけどそれは立つ鳥跡を濁さずみたいな感じで引っかかりはする。
その後はえりなと沙耶は俺に絡んで2人で言い合いはしていたけど前みたいに嫌な空気を出すような事はなかった。
「地味子、もう帰るの?」
「うん、健斗君ともいっぱいお喋りしたし美咲さんとも仲良くなれた気がしたし」
「気がしたんじゃなくて仲良くなった! でいいでしょう? てか地味子いない間に私と健斗ラブラブしちゃおうかなぁ」
「だったら私も学校で健斗君の隣だしその時ラ、ラブラブするもん」
いや、話を勝手に進めるなよ、 ラブラブって…… でも前みたいに険悪にならないで本当に良かった。
沙耶が帰りえりなもそろそろ帰る支度をしていた。
「なあ、えりな。 今日はありがとうな、何事もなく済んだのは珍しくえりなのお陰だよ」
「褒めるんならちゃんと褒めなさいよ。 それに私だって地味子となら仲良くなれそうだし仲良くしたいって思っただけよ」
えりなは俺の胸を指で突いてそう言った。 なんだかえりなが少し違って見えて来たのは昨日のえりなの独白を聞いたせいなのだろうか?




