表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/152

81話 それは好意?


「健ちゃん、それ懐かしいねぇ」



花蓮がそう言って俺の携帯の画像を覗き込む。俺が見ていた画像を見て花蓮は微笑んでいた。



「懐かしいってまだ1年も経ってないだろ?」

「そうだけどさ、こんな事もあったなぁって思い出じゃん? 」

「そうだな」



すると上野が俺の所へ来た。



「健斗、次移動教室だろ。 一緒に行こうぜ?」

「ああ」

「待って待って! 私も一緒に行く!」



花蓮が慌てて俺と上野にそう言った。 花蓮は自分の席に戻り教科書をガサゴソと探す。



再び俺は携帯の画像に目を落とす。 修学旅行でえりな、沙耶、花蓮が3人仲良くそこには写っていた。 最初からこうなれば良かったのにな。 俺はどうすれば良かったんだ?



俺は学校の窓から空を眺めて昔を懐かしむように思い出す。












_________________________________________












上野を振り切りどこかの公園で俺とえりなは休んでいた。



「あ、健斗あれに入ろう?」

「あれ?」



えりなが指差す方向を見ると像の滑り台だった。 鼻が滑り台になっていて胴体の中は空洞で中に入れる作りだ。 懐かしいな、昔響紀と一緒にあんなので遊んだな。



でもこの歳になってあんな所にえりなと2人で入るのかよ……



「ほら、立ちなさいよ」

「いや、いいって」

「いいから来なさい!」



えりなの汗ばんだ手が同じく汗をかいていた俺の手を掴む。 ヌルリとした汗の感触はあるのにえりなの手はやっぱり冷たいな。



ズルズルとえりなに引かれて遊具の中に入ると高校生2人が入るにはやはりそこは狭かった。 そして何より蒸し暑かった。



中にえりなと押し競饅頭状態だ、そしてそんな中にいるので中はサウナのようだ…… 入り口からも生温い風が入って来るので爽快感などない。



ポタポタと汗が落ちる。 えりなも頬から汗を伝せていた。 こいつ平気なのか? 俺この中具合悪くなりそう……



「健斗……」



少し黙っていたえりなだが口を開いた。



「ん?」

「さっきはありがとね。 嬉しかったわ」

「ああ、お前朝からおかしかったからな。 昼休み上野と何があった?」

「上野君がね、私と付き合おうって言ってきたのよ」



それであれか。 でも上野は本気でえりなと付き合おうとしたのか? なら花蓮を返せなんて言わないと思うけど。



「それでね、私思わず上野君をぶっちゃったの」

「それ気になってたけど何されたんだ? お前あんなに好きだった上野をぶつなんてな」

「だって上野君が健斗の悪口言うから、つい…… 手が出ちゃったのよ。 そんな事するつもりなかったのに」

「悪口なら散々お前は俺の事貶してただろうが。 意味わかんねぇ」



はぁ〜、相変わらずこいつの行動にはビックリするわ。 そんなんスルーしとけばいいのにな。



「だから私はいいの! ちゃんと健斗の事が好きで言ってるんだからノーカンよ!」

「はいはい、わかったよ。 まったく俺の悪口くらい無視してろよな」

「だったらなんで健斗こそなんで無視しないで私の事助けてくれたのよ?」

「いや、あんな乱暴にえりなを連れて行こうとしてる所見たら流石に無視できないだろ?」



するとえりなは俺の肩に頭を置いた。 更に暑くなったような気がした。



「そうだよね、健斗は優しいからそうなんだろうけどね。 私は好きじゃなかったら健斗の事で怒ったりしない」

「いや、俺って優しいわけじゃ……」



実際えりなと沙耶は俺の都合で動いてもらいって思ってたしな。 するとえりなは俺の顔を自分に向けさせた。 蒸し暑い遊具の中で髪の毛からも汗が滴り落ちているえりなの顔が異様に色っぽかった。



「じゃあさっき助けてくれたのは優しさじゃなくて私を好きだから?」

「わかんねぇわ…… 俺はお前が思ってるほど優しくもないし3人からの想いを受け止められるほど強くないし」

「わかんないか…… 」



そう言うとえりなはいきなりシャツを脱ぎ出した。



「はぁ!?」

「いいからッ!」



シャツを脱ぐとえりなの透き通るような白い素肌が露わになる。 汗で濡れている体はやはり色気を醸し出している。



「はぁ、少し涼しくなった」

「お、お前バカじゃねぇの!? こんな所誰かに見られたらどうするんだよ!」

「うるさい! ブラはしてるじゃない」

「いや、そこじゃないだろ……」



えりなはそんな俺の言う事は無視して俺の手を取った。



「触って……」

「え?」

「いいから触って」



えりなは俺の手を脇腹あたりに触れさせた。 するとゾッとするほどの冷たさだった。 生きてる体温じゃない…… そして反対側を触らせた。 逆にこっちは普通の体温のようだ。 それが更に異様さを物語っている。



「もう私にはあまり時間が残ってないの。 生きてるのか死んでるのかすら…… いえ、痛みは感じるから生きてるって事だよね? お願い健斗、私を選ぶにしろ選ばないにしろ私が居なくなる前に答えを聞かせて? 今じゃなくていいわ、あと1ヶ月ちょいは大丈夫だと思うし。 だけどハッキリ聞きたいの」



えりなは真剣だ…… なのに俺は花蓮にもえりなにも沙耶にも誠実になれていない。 なのに誰かを選ぶ? えりなが本当に死ぬ? 俺は目の前が真っ暗になった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 嘘だろー どうなるんだよあ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ