76話 えりなside2
健斗が帰り私は鏡の前に立つ。 うん、私って相変わらず綺麗。 可愛いともよく言われるけど私って可愛いのかしら? 私って結構態度もそうだし美人だけどキツそうな顔してるのよね。
クラスでも私ってクール系な感じで通っている。 可愛いとはジャンルが違うけど私モテてるんだけどな。 でも健斗以外からモテたって面倒なだけだし。 はぁ……
それに比べて花蓮ちゃんは本当に可愛い部類なんだと思う。 私からしてみれば憎らしいとしか思えないけど……
健斗は可愛い方が好みなのかしら? 私だって顔面偏差値なら人並み以上なんだから!
人差し指で口の端を上げて可愛いと思える笑顔を鏡の前で作ってみる。
な、なんか違う…… 怖いわ、てかキモい。 こうじゃないのかな? 花蓮ちゃんのニッコリスマイルを思い浮かべ私もやってみる。
うーん、ちょっとぎこちない。 私ってやっぱりこういうの似合わないのかな?
花蓮ちゃん可愛い、地味子地味、私クール系美人、誰も被ってないけどそのせいで健斗の好みも可愛い系が好きなんだってわかった。 わかったのはいいんだけど。
クールな私が可愛い事したらギャップがあって可愛いって…… あれ? なんか変だ、考えててわけわかんなくなってきた。
そもそも健斗が可愛い顔してるのよねぇ。 あの美人なお母さんの子供だもんね。
「エヘッ!」
考えるのも疲れたのでひたすら鏡の前で笑う。 健斗が見たらゾッとしたりして。
「うふふッ」
なんだかそんな健斗を想像すると楽しくなってきちゃった。 そこで私は気付いた。
あ! 今私自然に笑えてなかった? そうか、健斗の事考えてたからか。 ていうか今更こんな事をして何になるんだろう? という思いもあったけど健斗をキュンとさせてやるんだと気合を入れた。
次の日健斗をいつものように待ち伏せする。 登校時間とか下校時間は私が健斗を独占できる時間だ、有効に使わなきゃ。 だけど健斗は何しても私にピンと来てないのよね、私ってそれほど花蓮ちゃんに負けてるんだって事を思い知る場面でもある。
だけど健斗はそんな私を優しく慰めてくれるから私もまぁいっかって思ってたけどそれじゃあ前に進まないわ!
それに私の見てない所で花蓮ちゃんとどこまで進んでいるのか。 地味子はよくわからないけどキスも花蓮ちゃんに先を越されたようだしこのままじゃ私花蓮ちゃんの次になっちゃうわ。
健斗をふん縛って無理矢理なんて事は出来ない事もないけどそんな事したら健斗はもっと私から心が離れてしまいそう。
変に健斗を意識したりしなきゃ簡単だったのに。
健斗を意識した途端私もなかなか手が出し辛い時もある。 花蓮ちゃんが私を恋愛弱者なんて言ってるけどこういう事か……
最初の時はまだ押せ押せで健斗をどうにかしようとしたけどことごとく失敗、そして花蓮ちゃんに持って行かれた。
やっぱりクソ女だわあいつ……
なんて1人で考えていると健斗が通り掛かる。 えっとニッコリ笑顔で健斗を出迎えなきゃ! 私はにへら〜ッと笑い健斗に挨拶をする。
「健斗! おはよーッ!」
「え? あ、お、おはよう」
………… なんか戸惑ってる?
「…………」
会話がないけどニコニコと健斗に笑顔を向ける。 見て見て、私笑ってるのよ? 健斗は私を遠慮しがちに見た。
「えりな、何かあったのか? やっぱりまだ落ち込んでるのか?」
「んー? 全然! 元気いっぱいよ!」
「そ、そうか……」
反応悪い…… キモかったのかしら? だったら私どうすればいいの?
「私変かしら?」
「あ、変というかえりならしくなかったからさ、いつもキツい目付きで相手を蔑んだような態度じゃん? だからびっくりしたっていうか」
「わ、私健斗を蔑んだりしてないわ!」
「あはは、最初は俺の事ゴミを見るような目で見てただろ?」
「いつの話よ! 確かにそうだったかもしれないけど今の私を見なさいよ!」
「あー、そうそう、それ。 高飛車な感じがえりなかな」
やっぱり変なんじゃない! 私らしくしててダメだったんだからこうしたのに。やっぱりこのまま私死ぬ運命なのかしら……
しょんぼりして下を向いているとおでこに健斗の手が触れ前髪がかき上げられる。
「へ? 健斗?」
「あ、いや。 なんとなく大丈夫かな?って。 昨日あんな事あったろ、なんだかんだで引きずってんだな」
それはもうどうでもいいの。 でも健斗にそう心配してもらえるのはちょっと嬉しいな。 だから甘えちゃおう。
「ダメだね私……」
「えりなも辛かったんだな」
「健斗、私は健斗が居てくれるなら大丈夫……」
これは本当。 だって、だって私はあの時……
それはいいか、もう済んだ事。 振り返っても仕方ない。 だから私は今度こそ……今度はちゃんと!




