66話 夏休みになって……
夏休みに入り俺は平和な休みの期間を満喫していた。えりな、沙耶、花蓮からメールは遊ぼうとメールは来るがしばらくの間俺は3人をやり過ごし家に引きこもっていた。
花蓮とは遊びたいけどパターン的に考えてえりなや沙耶までもし鉢合わせでもしたら目も当てられない。 なので1番は引きこもってゲームでもして休みを潰すのがいい。
「お兄おはよう〜ってまた朝からゲーム? えりなさんみたいな綺麗な彼女がいるなら一緒に遊べば? なんでそんな非リア充みたいに引きこもってんの?」
「いいだろ? てか勝手に入ってくるなよ。 あいつとは学校で毎日顔合わせてたんだ、休みの時くらい1人でいたいに決まってるだろ? お前こそ家にいないで友達とかと遊べよ」
「昨日遊んだし。 ていうかえりなさんなら家知ってるから来たりしてねぇ」
響紀がニヤニヤしてそう言った。 そんな噂しちまったら来ちゃうだろう……
でもここ1週間えりなと会ってない。 あいつなら家に無理矢理でも来そうな気がするのにどうしたんだろう? 休みになって冷静になったか? 俺より誰かいい男でも見つけたのかもしれないな。 なんて考えながらゲームに集中した。 そして花蓮が海に行こうと言っていたのも思い出す。
昼前になりうちの母さんがお昼何食べたい? と聞いてきたのでリビングの方へ行くとピンポーンとインターホンが鳴った。 俺は少し嫌な予感がしたのでトイレに隠れた。
「健斗〜! えりなちゃんが来たよ」
母さんが玄関の方から叫んだ。 予感が当たった、 てか今までどうしてたんだあいつ?
「ごめんねぇ、健斗今トイレに入ってるからえりなちゃんはリビングで待っててくれる?」
「はい、いきなりお邪魔しちゃってすいません」
そんな声が聞こえてきた。 まったくだ、本当に腹が痛くなってきた。 多分メールで連絡すると俺が察知してスケープゴートしようとするからいきなり訪ねてきたんだろう。
普通にトイレを済ませ何食わぬ顔で出て行く。
「よぉえりな、来たのか」
「お邪魔してます」
えりなは飛び切りの社交辞令スマイルを俺に向けて微笑む。 まだ猫被ってらこいつ……
「そういえばね、私料理の勉強して今日はアップルパイ焼いてきたの!」
えりなは包みを開けアップルパイを見せてきた。 ほぉ〜、なんか普通に美味しそうじゃん。
「へぇ、えりなさん料理勉強してたんだぁ、お兄良かったねぇ」
「そう、この前不評だったし…… せっかく夏休みに入ったんだからこれくらい出来るようになりたいなって思ってさ」
「あらあら、じゃあえりなちゃん健斗の為に作ったの? 健斗ったらそれじゃあ食べなきゃダメねぇ」
だから今まで来なかったのか? 料理出来るようになるまで?
「はい、健斗学校でモテモテでこのままじゃあ嫌われちゃうかもって……」
えりなが泣きそうな顔でそう言った。 こいつ…… 余計な事を……
「え? お兄学校でモテモテなの!? 信じらんない!」
「ええ? 健斗が? あらぁ、お父さんの悪い遺伝かしら? お母さんもお父さんがモテてかなり苦労したのよ」
響紀と母さんに白い目で見られる。 いや、普通の女の子にモテるんなら俺も全然ウェルカムなんだけどえりな達は美少女なんだけどことごとく性格がアレなんだ……
「だから私頑張って今までずっと練習してたの、健斗食べて?」
「ああ、わかったよ」
ここまで言われて食べないわけにいかないのでパクッと食べてみた。 美味しい…… 本当に美味しい。
「なんか凄く美味しい」
そう言うとえりなは伺うような表情から一転して本当に嬉しそうな顔になる。
「やったぁ! これで私の料理下手疑惑はなくなったわね!」
「えりなさん良かったね、私も食べさせて!」
「はい、どうぞ。 あ、健斗のお母さんも」
そう言ってえりなは響紀と母さんにもアップルパイを差し出した。
「あ、本当だ! 美味しい!」
「えりなちゃん凄いわねぇ、良いお嫁さんになりそうね」
「えへへ」
だから母さんは一言余計だっての! 本気にしちまうだろ!
「良いお嫁さんだって、健斗!」
「いや、まだ俺ら高校生なんだし今からそんなの考えるのは時期尚早だぞ……」
「あら健斗、お母さんもお父さんとは高校生から付き合ってたのよ?」
「だってさ、健斗」
だったら俺は今は花蓮と…… なんて言ったら大顰蹙だろうなぁと思い口を閉じる。 そしてそれからしばらくえりなは俺の家に居て昼飯までも作って夕方まで居た。
自分が料理出来るようになったのを俺に見せつける為に今まで会わなかったのか、凄い執念だ……




