62話 えりなの扱い
「さぁて! 響紀ちゃん、早速作るわよ!」
「はーい! 」
なんだか普段見ないえりなを見ているようだ。 料理に余程自信があるのだろう、本当に俺をギャフンと言わせる気だ。
ちょっとそんなえりなはなかなか見れそうにないから俺はキッチンへと行きえりなの料理している姿を見た。
テキパキとえりなは包丁で野菜をぶつ切りにしていく。 様々な形に切られていく野菜を見ているとまるで野菜の曲芸でも見ているようだ。 そして手際よくえりなの手からは香辛料や調味料の粉がまるで雨のように降り注ぐ。
「ってえりなさん! 分量は!? ていうかそもそもこの野菜の切り方何! それに味見は?」
「え? フィーリングで…… 健斗男の子だし野菜は大きめに切って、味見は今からしようかと」
えりなは小皿に味噌汁をとり味見をした。 するとえりなの表情が険しくなる。
「うえ〜、何これ……」
「えりなさんが作った物じゃない! なんか最初からおかしかったけど自信満々に進めるからある意味これでいいのかな?って思っちゃったよ」
流石の響紀も呆れたように言った。 えりなって料理出来なかったんだな。
「もう! 私がメインで作るからえりなさんは補助に回って下さい!」
「は、はい……」
今は大分落ち着いたけどまだ若干俺に高圧的な態度を取っているえりなは響紀にタジタジしているのを見ていると笑えてくる。
「えりなさんの料理の腕がこんなにポンコツだったなんて」
「ポ、ポンコツ……」
「あ…… でもまぁ少し欠点あった方が可愛いよ! ね? お兄?」
「え?! 俺に振るのかよ? うん、そ、そうだな」
てかそんな腕でよくあんな自信満々に俺をギャフンと言わせようなんて思ったな。 こいつやっぱりある意味バカだわ。
えりなは響紀にああでもないこうでもないと散々言われ焦りながら料理の手伝いにシフトした。
響紀のお陰でなんとか料理の体裁を保った夕飯が出された。
「まさかえりなさんがお料理こんなに出来ないなんてね。 私のお母さんに弟子入りした方がいいかもね」
「う…… 」
「ま、まぁ、えりなの手伝いもあった事だし一応料理したな」
少し早い夕飯を食べ終え俺とえりなは片付けを終え部屋に戻る。 えりなは料理が下手な事が露呈したのが恥ずかしかったのか少し気不味そうだ。
「言っとくけどコツは掴んだんだからね! 次はこうはいかないわ!」
「はいはい、期待してるよ」
「何よ? そんなにガッカリ? 私が料理出来なくて」
えりなはムスッとして俺を睨む。
「いや、いつも高飛車なお前が響紀に言いたい放題言われてて少し面白かったし」
「思いっきりバカにしてるじゃない! 健斗が私にエッチな事しようとした写真あるんだからね!」
「あー、はいはい。 ごめんな」
「花蓮ちゃんには言わないでよ! 私が料理出来なかったなんて」
相変わらずの花蓮への対抗意識…… 別に俺的にはそこはあまり気にならないけどな、第一えりなを見た後だと花蓮だって料理出来るかわかんないし。 あ、でも花蓮弁当は作ってるし料理出来るか……
「響紀だって言ってただろ? 少し欠点あった方が可愛げがあるって」
「ふん! そ、そうね、こんなに美人な私が全てパーフェクトだったら嫌味になるものね」
欠点は料理だけと思っているらしい。俺にそう言われたパーフェクト(笑)のえりなは腕を組んで得意げな表情に早変わりしていた。 あれ? 扱い易いかも……
「えりな……」
「へ? え? ええッ!?」
えりなの後ろに回り背中からえりなを抱きしめた。 突然されたからえりなはすっかり硬直している。
「な、何? もしかして私をちゃんと好きになった?」
「いや、まぁ可愛いなって思ったからさ」
「そ、そう!? 私が可愛いのは当たり前だけどね」
えりなはカチコチになりながら俺の二の腕に頭を置き、回している腕に手を添えた。 やっぱりこいつはえりな自身からから行くととんでもないキチガイアピールの仕方をしてくるけど俺からこういう事すると普通の女の子らしい反応になる。
て言っても自分でやっていてこういう事やってると寒気がする。 イケメンだったら様になっていると思うけど…… これは出来るだけ2人きりの時しかやりたくないな。
その後俺はえりなに自分から接してえりなが程良くトロけた顔になったのでもうこの辺でいいだろうと思ったので家に帰した。




