61話 えりなと家デート
えりなと一緒に家に帰ると時刻は16時半になっていた。父さんと母さんは居ない。 響紀の姿もないしどこかに遊びに行ったのかな?
まぁいい、母さん達に茶化されないで済む。 俺はえりなを部屋に連れて行った。 今日花蓮に痛い目に遭わされたのがショックだったのかそれとも俺と一緒にいるから満足なのかわからないがえりなは珍しく大人しかった。
普段からこれくらい静かだったら本当にクールで魅惑の美女なんだけどな。 まぁ俺以外にはそう見えてるかもしれないけど。
「何よ? 人の事ジロジロ見て。 何か私変?」
変と言えば変だらけだけど……
「いや、妙に大人しいなって思って。 黙っているとえりならしくないというかなんというか……」
「じゃあいつもみたいに健斗を振り回して欲しいの?」
「そんな事ないけどさ、まぁたまには今みたいなえりなもいいんじゃないか?」
「今日は改めて花蓮ちゃんが怖いなって思って…… でも健斗、私を助けてくれたよね? あの時」
まぁあんな所で騒ぎを起こしたらとんでもない事になりそうだったし助けないわけにいかないしな。
「私あの時怖かったけど健斗に助けてもらえて嬉しかったのよ。 それもあったから大人しく帰ったの」
「無茶すんなよ? 俺はあんな場面は何回もごめんだからな?」
「健斗が守ってくれるなら…… 悪くないかな」
「調子乗んなよ」
えりなの肩をポンと叩きベッドに座らせた。
「あ……」
触れた肩の手の上にえりなの手が乗る。
「なんだ?」
「もうちょっと触ってよ? 私を少し安心させて」
手を離そうと思ったけどえりなはそうさせてはくれないので俺はえりなの望み通り、というかして欲しい事がなんとなくわかったので俺はえりなを抱きしめた。
だけど俺が抱きしめるとは思ってなかったのか、えりなは俺の胸で少し驚いていたようだった。
「化粧が健斗の服に付いちゃう、てか付いた……」
「そんなの気にしてねぇよ、こうして欲しかったんだろ?」
「…… 健斗のくせに…… 最近生意気。 花蓮ちゃんに好きって言われて自信でも付いたの? 私に好きって言われた時は迷惑そうにしてたくせに」
まぁ最近はいろいろ考えるのが面倒になってきたからな。
「それはこっちのセリフだ、上野の事好きだって言っておいて急に俺が好きなんて言われたらな」
「だって気付いたらそうなってたんだから仕方ないじゃない、今じゃ最初から健斗を好きになってればよかったって思ってるわよバカ!」
「なんで最後に貶すんだよ…… 俺喉渇いたから飲み物持ってくるわ」
「私紅茶がいい、持ってきて」
図々しい奴だなと思いながらキッチンへ行き俺はコーヒーと紅茶を淹れる。 すると響紀が帰ってきた。
「あれ? お兄帰って来てたの? ていうか誰か来てる? あ、えりなさんでしょ!?」
「はいはい、正解だよ」
「あはは、ラブラブだねぇ。なんか少し妬ける! そうだ、今日お父さんとお母さん遅いからご飯食べててだって」
響紀の声が聞こえたのか何か気になったのか階段からひょっこりとえりなが顔を出した。 そして……
「こんばんは響紀ちゃん、勝手に話を聞かせてもらったけど良かったら夕飯私が作ろうか?」
「あ! えりなさんようこそ! 本当!? じゃあ私もお手伝いしちゃう、一緒に作ろう?」
「ええ、よろしくね!」
えりなはニッコリと響紀に微笑んだ。 朝母さんがえりなの手料理とか言ったから本当にそうなってしまった。
まぁ響紀も一緒に作るからえりなの料理の腕が微妙だとしても大丈夫だろう、朝は響紀にケチつけてたけど母さんの手伝いよくするようになったから普通に料理出来るはずだし。
えりなは俺が淹れた紅茶をその場で一口飲むと俺に美味しいと飛び切りの笑顔で言った。 あれ? なんかえりななのに可愛いな…… なんて元から可愛いんだけど可愛いと思ってしまった。 本人に直接言うと間違いなく怒るから言うのはやめよう。
「ん? どうかした健斗? あ、もしかして私の料理の腕を舐めているでしょ? これでも多少は出来るんだからね!」
「そうだよお兄! 私も多少は出来るんだからね!」
「2人してなんだよ? わかったわかった、楽しみにしてるよ」
「楽しみだって響紀ちゃん。 健斗をギャフンと言わせようね」
2人は何故か意気投合してキッチンへ気合を入れて立った。 なんかこんなに明るそうにしてるえりなをデパートでの修羅場があった事なんて嘘みたいに思えてきたな。




