58話 とあるカフェにて
「健ちゃん何食べたい?」
「俺朝食べてすぐ寝たからあんまり腹減ってないんだよなぁ」
「ええと、それじゃあそこのカフェで食べようか?」
花蓮が指差す方を見るとノストロモと看板のカフェがあった。 まぁいいかと思って花蓮と一緒に店に入る。 少しレトロな所だな……
「なんか独特な雰囲気のお店だね? これはハズレだったかなぁ……」
花蓮がそう言って店の中をキョロキョロしていると……
「げッ!? 花蓮?」
「ん? あれぇ…… ほのかじゃん、久し振り! 何してんの?」
「な、何してんのって…… 彼とデートしてるだけよ」
花蓮の知り合いらしい女の子が居た。 向かいの席には彼氏らしき男が居る、ちょっとチャラい感じの男子だ。そしてほのかって女の子も少し派手目な女の子。 だけどほのかという女の子は花蓮を見て怯えているようだった。
「あはは、そんな硬くならないでよ? 中学振りじゃん、彼氏さんもなかなかかっこいいじゃない」
「花蓮の彼氏こそかっこいいじゃない」
何かほのかは花蓮に言わされてる感あるので俺はそこまで嬉しくない。 そしてほのかの彼氏と目が合ったので軽く会釈をする程度に挨拶をする。 失礼だけどチャラそうで意外とまともそうだった。
「あ、健ちゃんごめんね、この子私の中学校の時の同級生のほのか」
「あ、どうも。 俺は足立健斗、花蓮と同じ高校に通ってるんだ、よろしく」
「あたしは葛西ほのか。 聞いての通り花蓮と同じ中学だったの。 それでこっちは私の彼の桜井康平君」
軽く自己紹介をした俺達だけどほのかはやっぱり花蓮の顔色を伺っているようだった。 花蓮とほのかって何かあったのかな?
不意にえりなが言ってた容赦なくボコボコになんて言葉を思い出すけどまさかなと思い花蓮に目をやる。 ほのかは何か気にしているけど花蓮の様子も至って普通だしまぁ俺には関係ない事だ、気にするだけ面倒だ。
それに花蓮やえりなくらい見た目がいいと俺みたいな男子が知らない女同士の妬み嫉みがあるのかもしれない。 動機は違うけどえりな、沙耶、花蓮の険悪ムード見てるとわかる気がする。 まぁ何かしらこいつらが中学の時何かあったのは確かだけど地雷に触れるようなもんだ。
俺はこれから上手くやってみせる。 いつまでも振り回されてたまるか。
「あたしらちょうど食べ終わったしさ、もう行くね? 花蓮の邪魔するのも悪いし、康平君行こう?」
「えー? もう行っちゃうの? しょうがないなぁ。 じゃあね、ほのか」
ほのかは足早にカフェを後にした。 それにしても最後までオドオドしていたな。 見た目的にそんな風に見えないのに。
「さて行った事だし俺達も何か頼もうぜ?」
「そうだね、健ちゃん何食べる?」
「ん〜、BLTは朝食べたしなぁ、じゃあこのチキンドリアでいいや」
「じゃあ私も同じの食べようっと」
花蓮はニコニコしながらメニューを閉じて店員を呼び注文をした。
不意に花蓮の目が俺の後ろの方へ向く。 そして花蓮の眉間に少しシワが寄った。
「はぁ、健ちゃん後ろの席にストーカーがいるよ」
「え?」
花蓮の言葉に俺は後ろを振り向くと……
「えりな…… なんで居るんだよ?」
そこには帽子を深く被って眼鏡を掛けて変装していたえりなの姿があった。 そして花蓮に見つかりバツが悪そうにしている。
「だって…… 健斗が急いで私の家を横切ったの見えたから何事かと思ってついてきたら予想通り悪い虫に捕まってたから」
「その悪い虫って私の事かな? えりなちゃん」
「他に誰が居るってのよ? 花蓮ちゃんと一緒に居られると健斗の貞操が危ないのよ!」
なんだかピシッと空間に亀裂音が聞こえた気がした。 勘弁してくれよ…… こんな所で恥ずかしい。 花蓮がそんな俺を見て切り返す。
「まぁ後ろのストーカーは気にしないで健ちゃんは私と楽しもうか」
「はぁ!? 誰がストーカーよ! この性悪女!」
「性悪女だって、健ちゃん私えりなちゃんにこんなに言われてショックだよぉ」
そう言って花蓮は向かいの席から俺の隣に座って肩を寄せてきた。
「えりな、こんな所で喧嘩するな」
「け、健斗!? 花蓮ちゃんの味方するの?」
「味方も何もお前の勝手な思い込みでついてきたんだろ? まったく……」
面倒なので俺はえりなに花蓮に見えないように目配せをして合図をし、これは心にもない事を言っているんだぞ? とえりなに合図する。 だがそんな都合良く伝わるはずないのでえりなはキョトンとしている。
くそ、俺が勘付いて欲しくない時はいち早く勘付くくせにこういう時は伝わらないんだな……
そんな微妙なやり取りをしていると注文していたチキンドリアが来たのでとりあえず食べる。 食べている間後ろからえりなの刺すような視線を感じ隣に来た花蓮はその視線にも全く動じる事なく俺にくっつきながら、しかも俺にドリアを冷まして食べさせてくる。 ギスギスした昼食になってしまった。
そして昼食を済ませた俺と花蓮はデパートに行く事にした。 えりなにはもうついてくるなよと言ったがえりなが大人しくこのまま帰るはずがない。 どうせ尾行するに違いない……




