57話 花蓮とデート
「お兄! 朝だよ、起きなよ?」
響紀の声で眠たい目を擦る。 あ! 学校!? と思ったけど今日は休みだった。 時計を見ると朝7時半、休みの日なんだしもう少し寝かせてくれよと思い再度ベッドに入ろうとすると……
「起きなさい! 全く寝起きが悪いのお父さんにそっくりね!」
響紀が腰に手を当て気取ったようにそう言った。 お前は母さんかよ……
「なんと今日は朝ご飯可愛い妹の私が作ったのだぁ! だから食べて、ね、ね?」
「ふぁ〜、響紀が? どうせパンかなんかだろ?」
「失礼ね! お兄そんな事言ってるとえりなさんに嫌われちゃうよ!」
嫌われるもんなら嫌われてみたいわ! 心の中でそう突っ込むが響紀は何も知らないしな。 仕方なくベッドから起き上がりリビングに行くと母さんと父さんも既に起きていた。
「おはよう健斗、今日は響紀がご飯作ったのよ? 食べたら?」
「母さんに言われなくても散々響紀に言われたよ、はぁ〜」
「響紀ももう大人だな、母さんに最近似てきたしな」
父さんが感慨深そうにそう言った。 まぁ確かに母さんに最近態度まで似てきたしな。 そして響紀がドヤ顔でテーブルにサンドイッチが置いた。
「響紀特製BLTサンドで〜す! たーんと召し上がれ」
「やっぱパンだったな……」
「ちょっとは工夫してるでしょ! お兄のバカ!」
「健斗はえりなちゃんに作ってもらった方が嬉しいのかしら」
母さんがクスクスと笑いながらそう言う。 そんな日が来るのだろうか? ていうか考えるとゾクッとするわ! 自分の血を飲ませてくる奴の手料理は隠し味に血とか入れそう……
花蓮ってそういえば料理できるのかな? 出来そうな見た目はしてそうだけど食べてみたいな。 逆にえりなは料理とか作らなそうだ、沙耶は…… なんか睡眠薬とか入れられそうで怖い。
消去法で花蓮しか安心して食べられる奴いねぇじゃねぇか!
「お兄、難しそうな顔してどうしたの? 美味しくなかった?」
「あ、いや、響紀のサンドイッチは美味しいよ」
「え、本当!? やったぁ!」
「響紀のサンドイッチは? もうえりなちゃんの手料理でも食べたのかしら?」
「食べたわけないだろ? 母さんは変に勘ぐるなよ……」
朝ご飯を済ませ再び部屋へと戻り早いのでまたベッドに入り眠ろうと思ったら花蓮からメールが来ていた。
『健ちゃん、いきなりでごめん、今日私と遊べない? 用事とかなかったらだけど……』
そう来ていた。 ちょうどいい、俺も今日は花蓮と遊ぼうかと思っていたところだ。 でも少し寝てからにしようと思い返事だけ返しておく。
『少し寝てからでいい?』
『じゃあ遊んでくれるの?』
『ああ』
『やった! じゃあ私は準備してるから健ちゃんそれまで寝てていいよ』
やっぱり花蓮とのやり取りは心地良いな、俺に絶妙なタイミングでいつも花蓮は俺が望むような答えをくれる。 あれ? でもこれって俺がわがままな奴みたいに聞こえる…… まぁいいか。
俺はぐっすりと二度寝をして起きると11時を過ぎていた。 ヤバッ、流石に寝すぎた…… 俺は急いで準備をして家を出たのは12時を過ぎていた。
そして肝心な事に花蓮に連絡する事すら忘れていたので花蓮に電話をする。
「ごめん花蓮! 寝すぎた」
「あはは、そんなんだろうと思った。 学校の校門で待ち合わせしよ? 私もう居るからさ」
なんてこった、居るからってどれくらい居たんだ? 俺はダッシュで学校に向かうと花蓮らしき姿が見えた。
「健ちゃん、おーい!」
花蓮も俺を見つけて手を振っている。 そしてようやく花蓮のもとへ着いた。
「はぁ、はぁ…… 遅れてごめん」
「大丈夫だよ、私もそんなに待ってないよ? ほら、落ち着いて」
花蓮が俺の背中を優しく摩った。 不思議だな…… 花蓮ってえりなと沙耶との間の中では俺にとって1番印象が薄かったのに。 上野と付き合っていたし俺に花蓮の気持ちなんて行くわけないと思っていたのに今では1番落ち着ける存在になっている。
息を整え花蓮をもう一度よく見る。ピンクのパーカーにショートパンツ、元気な花蓮らしい。 そして学校にいる時よりもしっかりメイクしてもともと可愛い花蓮が更に可愛くなっている。
「可愛い? 健ちゃんがもっと私を好きになるように気合い入れちゃった」
クルッと回って花蓮は俺に微笑む。
「花蓮は最初から可愛いよ」
花蓮の頭をポンポンと優しく撫でる。
「そ、それってあまり変わり映えしないって事?」
花蓮は赤くなりながらそう言った。 花蓮は少しいつもと様子が違う。 いつも花蓮は積極的でこんな事くらいじゃ照れないのに。
「いや、今日は更に可愛いよ?」
「本当? よかったぁ、け、健ちゃんも最近凄くかっこいいよ……」
「あはは、なんで最後消え入りそうな声で言うんだよ? まぁお世辞でも花蓮にそう言われると嬉しいけどな」
「お世辞じゃないんだけどな」
「じゃあ行くか?」
「ひゃあッ」
花蓮の背中を軽くポンと叩くと花蓮はビックリして声をあげたから俺も驚く。
「え?」
「あ…… あはは、びっくりした」
「いや、俺の方がびっくりしたよ、てかどこ行くかも決めてなかったわ」
「ん〜、お昼だしどこかで食べようか?」
こうして花蓮とデート? なのかよくわないが街へと向かった。 忍び寄る影にも気付かずに……




