52話 疑いのえりな
「健斗……」
「え、えりな!? なんで俺の家に? てか父さんと母さんは?」
「来たらすんなり通してくれたわ。 そのまま直接健斗の部屋に行っていいって。 まぁそんな事はどうでもいいわ」
いや、よくない…… 父さんと母さん何も考えてないのかよ!? いくらそういう事に許容があるって言っても何か変な事あったらどうするんだ?
えりなはドアを閉め俺の部屋に入ってきた。
「さっき私の家に来た時随分と花蓮ちゃんと仲良さそうだったじゃない?」
「だってそれは俺だって花蓮の事は好きだし」
「あー、それは聞きたくない! 本当に花蓮ちゃんとハグしかしてないの? 健斗の反応見るからに凄く怪しかったのよねぇ」
するとドアがノックされガチャッと開き母さんが飲み物やお菓子を持って入ってくる。
「ごめんねえりなちゃん、わざわざ来てもらったのにこんな物しか出せなくて」
「いえいえ、そんな事ないです。 こちらこそいきなり来てしまってすみません」
態度がガラッと変わり先程まで俺を問い詰めていたえりなは一気に社交辞令モードとなる。 えりなといい花蓮といい切り替え早いよな……
「えりなちゃんゆっくりしていってね? 健斗、変な事してえりなちゃんに嫌われちゃダメよ?」
そう言って母さんは出て行った。
変な事って…… 変な事しそうなのはえりななんだけど。
母さんが出て行くとえりなは社交辞令モードから一転、険しい顔に戻る。
「で? どうなのよ? 2人で隠れてコソコソ何してたの? 花蓮ちゃんにまんまと騙されてあんな事やこんな事してたんじゃないでしょうね?」
「い、いや、花蓮は騙すとかそういう感じじゃなくて……」
確かに花蓮は嘘ついてるけど…… それはキスをしたっていう事を隠してるだけであって俺を好きだと言ってくれている態度には嘘はないと感じていた。
でもえりなにそんな事言うと返って逆効果になりそうだし……
「キス……」
「へ?」
「そう花蓮ちゃんが言った時に健斗妙に顔が強張ったような気がしたけど?」
しまった…… また反応してしまった。
「ほら! また変な反応してる! 」
「だ、だっていきなりキスとか言えばそんな反応になるだろ!?」
「いいえ、怪しいわ。 花蓮ちゃんがおかしいのはまだしもなんで健斗も隠し事するような態度なわけ? 健斗は、健斗は…… 」
ワナワナとえりなは震えて俺に詰め寄る。
「どうして花蓮ちゃんなんかの言いなりになるのよ? 私健斗にそんな風に隠し事されるのが1番傷付くのよ? 確かに健斗は花蓮ちゃんの事好きなのかもしれないけど私だって健斗の事が好きなのよ?」
「えりな……」
悲しそうな顔をしてそう言うえりなは俺の目の前に来ると今度は鋭い目付きになり俺を見据える。
「それで…… 花蓮ちゃんとどこまでしたの? キスしたの? まさかそれ以上?」
「お、俺は…… 」
俺が言う前にえりなは俺をドンと押し倒して俺の両手を抑えた。 えりなの顔が俺に徐々に迫る。
「ねえ健斗…… あんな約束なんてただの自己申告なのよ? 誰も見てなければ何をしてもいいの。 花蓮ちゃんはああは言っても約束なんて守る気あるはずない。 だけど私は健斗が花蓮ちゃんに協力している事が私は1番許せない」
そう言うとえりなは俺にキスをした。 学校に居た時花蓮とキスをしたばかりの俺は今度はえりなと…… えりなの抑え付けている手がじんわりと熱くなっていくのを感じた。 俺が熱くなっているのかもしれないが次第に汗ばんでいく、そしてえりなか俺の心臓かもわからないがドクンドクンと激しくなっていくのが伝わる。
「お兄ー! えりなさん! お邪魔…… ええッ!?」
キスをしている最中に響紀が俺の部屋に入ってきた。 そしてえりなに抑え付けられキスをされている俺とえりなの姿をみて驚愕する。
「お兄…… えりなさん…… な、何してるの……」
響紀、なんて所に来てしまうんだ…… だけどこれで離れざるおえない。と思ったが俺の予想に対してえりなは響紀に見られてもまったく御構い無しにそのまま俺と唇を重ねている。
その場に硬まる響紀とキスをしたまま動かない俺とえりな。 どれくらいの時間が経ったろう? 一瞬のようだけど凄く長く感じた。 ゆっくりとえりなは俺から唇を離すと顔を真っ赤にさせて微笑を浮かべていた。




