47話 えりなとの帰り道
花蓮の提案で次から花蓮もお見舞いに同行する事になった。そして沙耶の家を出て花蓮とも別れ俺は帰り道が一緒なのでえりなと帰る事になる。
「はぁ、花蓮ちゃんまで一緒に来るなんて本当にろくな事提案しないわ。 勢いで押し切られた感もあるし…… ねえ健斗はあれでいいの?」
「んな事言っても俺あの場で何も出来なかったし、それになんだかんだ言っても花蓮の奴は頼りになるし」
「むぅ…… 私に頼ってよ! 花蓮ちゃんには負けたくない」
「えりなは相変わらずだなぁ、まぁ思ったより元気そうで安心したよ」
そう言うとえりなはキョトンとした顔をしてだんだん顔が赤くなっていく。
「不覚だわ、健斗の前であんなに泣いてあんな事言っちゃうなんて。 ああ、なんて恥ずかしい……」
「なぁえりな、お前どうするんだ? 俺やっぱり花蓮の事が好きなんだ」
「私もやっぱり健斗が好きなんだけど? ていうか私の事救えるの健斗しかいないのよ? 見なさいよ」
えりなは腕を見せると刻印がこの前見たよりもほんの少し消えかかっている。 だけど本当に俺なのだろうか? でも前にこいつ言っていたな、屋上から俺を見つけた時に俺だった事に何か意味があるんじゃないかって。 こいつって思い込み激しそうだしそんなギリギリの状況だったからだけで…… まぁ考えても仕方ないか。 本当の所は俺なんかにわかるはずもない。
「確かに前より消えかかってるな、だけど俺じゃなくて上野でもいいんじゃないか? 花蓮も言ってだだろ? 上野ともう別れたって。 今日上野に花蓮と一緒に居る所見られてさ、上野は当然怒って俺とはもう絶交だって」
「へぇ、ドジね。 でも私もう上野君より健斗の方が好き、だって健斗と居るととっても居心地いいんだもの。 なのにこんなに私が健斗の事好きだって言ってるのに花蓮ちゃんなんかと!」
えりなは俺の正面に回り俺を睨みつける。 だって仕方ないだろ? えりなが俺を好きになったように俺も花蓮を好きになっただけだ。
えりなが俺と居ると居心地いいように俺も花蓮と居ると安心するしやっぱり好きだって思ってしまうから。
「健斗、私も花蓮ちゃんみたいになれば好きになってくれるの? 」
えりなは睨んでいる目から縋るような上目遣いになり俺を見つめる。 えりなが花蓮のように? どうなんだろう? えりなはえりなで花蓮は花蓮だ。
「うーん、えりなが花蓮のようになってもなんか違うような気がするけど……」
「だったら私どうすればいいのよ? このまま死んじゃえって事?」
「そんな事言ってないだろ? 第一えりなとここまで関わって死んで欲しいなんて俺が思うかよ? お前は俺と心中しようとしたけどな」
「あ、あれは魔が差しただけだって! それにあの時は私だって少し怖かったんだから仕方ないでしょ!?」
仕方なしで無理心中を図るなんてそのうち新聞にでも載りそうだな……
えりなの家に着きえりなに別れを告げ俺は自分の家に足を進めると後ろからタッタッタッと走る音が聞こえ振り返るとえりなが俺に飛び付いてきた。
倒れそうになるが後ろに壁があったのでなんとかなったけどえりなの奴急にどうしたんだ?
「健斗、こうなっちゃっても私やっぱり健斗が好き! 健斗の後ろ姿見てたら急に切なくなって……」
道路でえりなに力一杯抱きしめられる。 えりなは俺の胸の中に顔を埋めていた、脇の辺りの匂いをクンクン嗅いでいるような気がする。なぜそんな所を…… なんか臭うのか? なんて思ってしまう。 だけどえりなはどんどん顔が上がってきて首にきた。 そしてえりなの唇が首筋に当たる、これ以上はヤバい。
誰かに見られているかもしれないのでそろそろ離してくれないと恥ずかしい、そんな事を思っていると……
「お兄!? こんな所で何やってんの? もしかしてえりなさんと?」
「え!? 響紀、お前こそどうして?」
「どうしてってそこのスーパーでプリン買って来ようと思ったら…… ってそんなのどうでもいいや」
響紀が現れえりないつの間にか顔が俺の胸元辺りに戻っていた。俺の胸から顔を少し横にズラして響紀をチラッと見た。
「やっぱりえりなさんだ! やっぱりお兄とラブラブなんだ。 ほえ〜」
「こんばんは響紀ちゃん。 うん、そうなの。 私健斗の事が好きなんだけど健斗はそうじゃないみたい」
「え!?」
そう言ってえりなは俺に向かってペロッと舌を出してバイバイと言って家の方に戻って行った。
余計な事言いやがってあいつ…… 響紀を見ると俺をジト〜ッとした目で見ていた。
「お兄もしかしてえりなさんとああいう事しておいて他にも誰かいるの?」
「いや、そんなんじゃないからな。 えりなの冗談だよ。 本気にすんな、さっさとプリン買ってきたらどうだ?」
「詳しく聞きたいなぁ。 あ、そうだ! お兄一緒にスーパー行こう? 」
そう響紀に言われるがこいつはその間に根掘り葉掘り聞く気だな。 はぁ、まったくえりなの奴……
案の定響紀からえりなの事や他の子の事も聞かれたが花蓮と沙耶の事は言えなかった。




