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42話 バレる関係


くそッ! えりなの家に行ってからとても激しくイライラしていた。 えりなにイライラしているわけではない。 仮にも自分の事を好きだと言ったえりなを傷付けてしまった事にだ。 そもそも迷惑ばかり掛けられていたあいつにそんな罪悪感を感じなくていいだろと思ったけどそう思うだけで……



あんな顔で泣かれて今まで横暴な態度だったえりなが俺にあそこまで。 でももうえりなに花蓮を好きだと告げた。 沙耶にも伝えないといけない。 沙耶も俺なんかに構うより他の男子を好きになった方が沙耶の為だ。



部屋で1人でイライラしているとドアがノックされた。



「お兄、入っていい? 」

「え? ああ、いいよ」

「お邪魔しま〜す! あれれ? やっぱりお兄まだ機嫌悪いみたいね? さっきからずっとそう。 もしかしてえりなさんと喧嘩でもしたのかなぁ?」



出来れば今はえりなの名前は聞きたくない。 聞けばえりなの顔を思い出してしまうから。



「あれ? 図星? まぁえりなさん気が強そうな顔してるもんねぇ。 拗れると後に引くよきっと」

「はいはい、ご忠告ありがとう。 てかなんだよ?」

「テスト近いからお兄私に勉強教えて? 最近お兄えりなさんばかりで私に構ってくれないんだもん」

「なんだ、そんな事か。 父さんや母さんに教えて貰えばいいのに」



最近はえりなとじゃなくて花蓮なんだけどな。 花蓮に会えばきっとこのイライラも消えるかな?



「もう! 大事な兄妹同士のスキンシップでしょ? ってお兄に言ってもわからないかぁ」

「教えてもらうくせにいい度胸だよな」



そして響紀に勉強を教え終わり風呂に入ろうとした時携帯にメールが入っていたので確認した。 花蓮からだった。



『健ちゃん用事無事に済んだ? なんか健ちゃん少し不安そうな顔してたから私も少し不安になってメールしちゃった』



流石花蓮だな、よく見てる。



『大丈夫だったよ、不安にさせてごめんな? 実は今日えりなの家に行って花蓮の事が好きだって言ったんだ』


『え? えりなちゃんの家にわざわざそれを言う為に?』


『ああ。 なんか黙っているとあいつ俺に縛られるんじゃないかってさ。 それにえりななら俺よりいい男なんてすぐ見つけられるさ』


『健ちゃんよりいい男子かぁ。 私にとって健ちゃんが1番だからえりなちゃんにとってもそうだったかもしれないしなかなか見つからなそうだね。 でも少し嬉しいな。 健ちゃんが私の事好きって言ってくれて。 あ、少しじゃないね、凄く嬉しいだった』



花蓮とメールしてると1時間があっという間に過ぎたのでそろそろ風呂に入るとメールを切り上げた。 花蓮にとって俺は1番なのか。 えりなにとってもそうだったのかな? だとしたら俺は残酷な事をえりなに言ってしまったのでは……



ダメだ、考えたってしょうがない。 風呂から上がり俺はベッドの中に入った。 えりなの泣き顔が頭から離れない。 でもこれでよかったんだ。 俺は花蓮が好きだ。





次の日学校に向かう最中いつものようにえりなの家の前を通ると相変わらずえりなは俺が通る所を見ていた。 そして俺を見つけると笑顔で手を振った。 思ったより元気なのかな? それならいいけど。 えりなの傷もだんだん良くなってきているし痣も落ち着いてきている。 来週の中頃辺りにはもう学校に来れるだろう。



学校へ着き上野と軽く挨拶をして自分の席に着いた。 上野を席からチラッと見ると上野は花蓮を見ていた。 やっぱり上野はまだ引きずっているんだな、そりゃそうか。 あんなに可愛い花蓮だもんな、別れるって言われた時は相当ショックだっただろう。



だけど上野と花蓮がまた付き合って欲しいかと言われたら…… ダメだ、花蓮を渡したくないという気持ちになってしまう。



上野が花蓮から視線を外すと花蓮は俺に目をやり今日もニコリと笑顔を向ける。 花蓮は俺と上野が険悪にならないようにしっかり気遣ってるんだな。




昼休みになりまた体育館裏で花蓮と弁当を食べる。 花蓮は昨日の事はあまり深く追求してこなかった。 多分聞きたいはずだけど俺が話したくないと思って敢えて聞かないでいてくれているのだろう。



「健ちゃん、はい!」



花蓮が両腕を広げ「来て」と言った。



「え?」

「あ…… 健ちゃんがそうしたそうだったから。ううん、嘘。 私がなんか抱きしめてあげたいなって思って」



花蓮は少し照れながらそう言った。 そうだよ、花蓮。 俺は花蓮に甘えたかったんだ、昨日のえりなの泣き顔とイライラを消したくて。 花蓮に見透かされてるのかな俺。



俺は花蓮の体に身を委ねた。 花蓮は優しく俺の頭を撫でる。 慰めるような、安心させるような感じで。



「健ちゃん辛い時は私こうしてあげるから。 遠慮しなくていいよ? 私も健ちゃんの役に立ってるんだって思えて嬉しいから……」

「花蓮は本当に優しいな」

「私が優しいのは大好きな健ちゃんだけだよ。それにね、健ちゃんが私の事好きって言ってくれたの本当に嬉しいの」



やっぱり花蓮と居ると不安な気持ちやイライラもどこかへ消えて行く。 だがそんな穏やかな時間は突然終わりを告げた。



体育館裏の角から誰か来たようだ。俺は花蓮から離れるとそこには上野の姿があった。



「健斗、お前何してんだ?」

「上野! なんでここに!?」

「お前がここ最近何かおかしいと思ったんだ。 余所余所しくなったよな? 俺に対して。 気付かないと思ったか? 何してんだと思ってつけてみれば花蓮、よりにもよって……」

「上野君! これは私のした事であって健ちゃんには何もッ」

「花蓮は黙ってろ!」



そして当然の事ながら怒りの眼差しを俺に向けていた。




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