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41話 お見舞い


花蓮と心地いい昼休みを過ごしあっという間に放課後になる。 そして俺は辺りに人が居なくなるまで学校をウロウロしていた。 理由は花蓮を待っているから。 そして花蓮もそれを承知しているので俺の様子をどことなく見ていた。



だけど今日の俺はえりなの家に行く。 えりなに花蓮が好きになったと正直に言い俺に付きまとうのはもうやめてくれと言うためだ。 そして昇降口の方に行き少しすると花蓮が現れた。



「健ちゃんさっきからそわそわしてるね。 どうかした?」

「ああ、ちょっと用事があってさ」

「…… ふぅん? 用事かぁ。 残念だなぁ、今日も健ちゃんと一緒に居たかったのに」

「え? 行かせてくれるの?」



そう言った俺に花蓮は一瞬キョトンとした顔になるがすぐに微笑んだ。



「あはは、行かせて欲しくないの?」

「あ、いや。 そういうつもりじゃ……」

「いいよ、行って来なよ? 私健ちゃんを無理に縛ったりしないよ? 健ちゃんの好きにしたいようにすれば良いよ、もちろん私が出来る事だったらなんでもしてあげるけどそうじゃないんでしょ?」

「花蓮……」



花蓮は「ちょっと寂しいけどまた明日健ちゃんに会えるからいいや」と言って先に帰って行った。 花蓮本当にお前って俺のして欲しい事なんでもわかるんだな。



花蓮の後ろ姿が見えなくなると俺もえりなの家へと向かった。 えりなは何かあったと勘付いては居るけど俺が花蓮を好きだと言ったらなんて言われるかな?



死ねとか最低とか言われるだろうな、それにえりなは命が掛かってるって言っていたがどうやら俺には荷が勝ちすぎるらしい。 俺なんかよりよっぽどいい人をえりななら見つけられるだろう。 えりなももっと自分を他の人に見せればドン引きはされても受け入れてくれる人だって必ず居るはずだ。



えりなの家に着くとまた2階から見てて待ってましたと言わんばかりにドアが開きえりなが出迎える。



「健斗、学校お疲れ! 遅いじゃない、心配したんだからね? さぁ、入ってよ」



お邪魔しますと言ってえりなの家に入ると相変わらず親は仕事に行っているのかえりなだけだった。 そしてえりなの部屋へ行き一息つく。



「えりな、前も誰も居なかったけど親はの共働き?」

「そうだよ? 何か飲み物でも飲む?」

「あ、お構いなく……」

「え?」


えりなは何か感じるのか俺の様子をしばらく怪訝な目で見ている。 そして俺に近付いた。



「家に入った時からわかってたけどあのクソ女の匂いがまたするんですけど!?」

「え? そ、そうか? なんでだろうな……」

「そ・れ・はッ!くっついてないと付かないと思うんだけど!? 健斗!」



そうだったよな、こいつ妙に鼻が効くから走りながら帰って汗でもかいて匂いを完全に消してくるべきだったかもしれない……



「健斗、私に何か隠してない? 怪しい臭いがプンプンするんだけど?」

「そ、それは…… 」



もうなんやかんやある前に言った方がいいかもしれない。 えりなだって時間はそんなにないはずだ。 なのに俺ばかりに構っていたらそれこそ命取りになりかねないし。



「実はさ…… 言いにくいんだけど」

「…… うん」

「新月…… いや、花蓮の事が好きだ」

「ッ!?」



来る…… 猛烈な罵倒ともしかしたら今回は刃物も飛び出すかもしれない! そう思い目を瞑って覚悟したが何も起こらない。 それに何吐息のようなものが聞こえてえりなを恐る恐る見ると大粒の涙を流して泣いているえりなの姿だった。




「ひぐっ……えぐっ、うぅ……」

「え、えりな?」

「ど…… どうして? 私…… 私だって健斗の事好きで、私なりに健斗に好きになってもらえるように頑張ったんだよ? 私に振り回されるのが健斗にとって嫌な事だってわかったから我慢した、結局それでも振り回してるけど…… 性格直せって言われたから健斗に出来るだけ酷い態度取って嫌われくないから努力した、なのにそれなのに何もしてない花蓮ちゃんなんかに…… 」



えりなは絞り出すようにそう言った。 えりなには本当に申し訳ないと思ってる。 俺だってえりなの態度が変わったりしたのには気付いてたさ、俺が危ない時にも助けに来てくれたり…… だけど俺は花蓮を好きになってしまったんだ。



「いつもそう…… 昔花蓮ちゃんと大喧嘩した時だって上野君の時だって、それに…… 今度は健斗。 私花蓮ちゃんに負けてばっかり。 ううん。 そんなのどうでもいい、健斗お願い、私を好きになって! 嫌な所全部直すから、言う事聞くから…… 」

「…… ごめんな、えりな」

「わ、私が死んじゃってもいいの…… ?」

「えりな、俺よりいい人がきっとえりなにも見つかるよ? こんな俺なんかに時間をかけてるのだってえりなが可哀想だ。」

「それでも…… それでも私は健斗が好きなの、ねぇ健斗! そう思うなら私を好きになってよ!」



えりなは縋るように俺の腕を掴むがこれ以上はえりなが悲しむ所なんて見たくない。 これも俺の都合のいい言い訳かもな……



「仮に…… 仮に健斗が花蓮ちゃんを好きだとしても花蓮ちゃんに騙されていたとしてもそれでも健斗は花蓮ちゃんを好き?」

「花蓮をそんな風に悪く言うな。 俺はもう帰るよ」

「待って! ごめん…… 花蓮ちゃんを悪く言ったのは謝るからまたお見舞い来てくれるよね?」

「…… ああ」



俺はそう言ってえりなの家を出た、振り向くとえりなは俺をずっと玄関から見ていた。 花蓮を見守る俺と少し姿が重なったような後味の悪さを感じた。






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